時代は昭和初期です。
カフェーで女給をしている人妻と帝大生が出会います。
帝大生は谷崎潤一郎を敬愛しており、男女の仲になった人妻をサディスティックに辱めるのです。
人妻は乳首を煙草の火で焼かれ、うんこまみれにされ・・・・。
身も心もボロボロになるような扱いを受け、しかしそれでも人妻は帝大生と離れることができません・・・・。
どうしようもない男にひたすら尽くす女というのはよくあるパターンです。
現実にしてもフィクションにしても、ひとつのジャンルといってもいいでしょうね。
この作品ではそれを昭和初期に時代を置き、谷崎を絡め、旧字旧仮名を用いて独特の世界を創ることに成功しています。
今回この作品を読んでみてわかったのは、やはり字面で感情移入が左右されるのだなということ。
正直、内容は把握できるものの、旧字旧仮名使いのせいでいまいち感情移入できなかったのです。
まあこれは私の修行不足。
この文字使いあっての作品ですからね。
併録されている「カタカナ三十九字の遺書」もよかったです。
ひたすら主人に尽くした女中の話。
口をきけず理不尽な扱いを受け、贖罪する姿が切なすぎます。
ラベル:小説