2013年08月06日

「ひとさらいの夏」冨士本由紀

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短編集です。

表題作の主人公、41歳の江美子は映画評論家。

といっても最近は仕事も激減しています。

そんな江美子が愛人の勤める企画会社が倒産したため、外部のスタッフとして参加していたしがらみで2千万円の負債を背負うことになりました。

愛人は自分の保身はしっかりと固めている狡さを見せます。

そして年老いた親からは面倒を見て欲しいと要求されるし、首を吊りたいような状況です。

しかし自己破産などせずに意地でも負債を返そうと懸命に仕事する江美子。

そんなある雨の日、15歳の少年が江美子の家の庭に逃げ込んできます。

江美子はその少年を匿い、やがて関係を持つようになるのですが・・・・。

41歳の女性が15歳の少年と心を通じ合わせ関係を持つというのが私にはちょっと理解できないのですが、男女逆に考えるとわからないでもないような。

でもやっぱり体はともかく心はなぁ、と思ってしまいます。

ただお互いなにかから逃れたいような切羽詰った状況の者同士、年齢を超えて通じるものがあるのかもしれません。

はっとするようなラストが用意されています。

一番最初に収録されている「氷砂糖」もよかったですね。

これもラストに思わず「えっ」と声を出してしまいました。

「僻む女」はけっこうストレートに女性の心理が出ているのではないかと思います。

それをちょっとサスペンスな感じに仕上げており、女の駆け引きの怖さみたいなのを味わえました。

他もどれも明るい話ではありません。

それだけにハッピーエンドな話よりも読み終えて余韻がありました。

いい作品集だと思います。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ふ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする