サンディエゴに住む外科医の奈津川四郎は、母親が頭部に怪我をして重体だということで日本に帰国します。
母親は連続主婦殴打生き埋め事件の被害にあったというのです。
四郎は兄弟や友人たちを巻き込んで事件の解決に乗り出します・・・・。
いやはや、すごい新人が現れたものです。
って今頃なに言ってんだと馬鹿にされそうですが。
すみません、今頃になってやっと読んだんです、舞城王太郎。
これがデビュー作。
このがむしゃら感、疾走感、はちゃめちゃ感、しかし緻密感、どうよって感じですね。
バカバカしさに筒井康隆、親子や兄弟の息詰まるような関係に中上健次、言葉のノリにモブ・ノリオなどの作家を思い浮かべたりもしました。
ミステリー、スラップスティック、純文学の要素さえも含んでいます。
決してノリだけで突っ走っているのではなく、作者は冷静に物語をコントロールしておられますね。
お見事です。
読む人によっては途中で投げ出すかもしれないこのような作品を、下読みから上まで持っていき受賞させたメフィスト賞はさすがというかなんというか。(笑)