2013年10月31日

10月の一冊

今月は14冊。

そのうち小説が9冊。

いつもより多かったです。
 
・「ぼくの美味求新」三國清三 
・「許されざるプロポーズ」水島忍
・「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ
・「神楽坂ホン書き旅館」黒川鍾信
・「理由」宮部みゆき
・「剣客商売 春の嵐」池波正太郎
・「魯山人の美食手帖」北大路魯山人 平野雅章 編
・「音もなく少女は」ボストン・テラン
・「「料理研究家」たち」宮葉子
・「浮世でランチ」山崎ナオコーラ
・「姥捨てバス」原宏一
・「青春クロスピア」唯川恵
・「(ぶんこ版)糸井重里の萬流コピー塾」糸井重里
・「切れた鎖」田中慎弥

「ぼくの美味求新」、約30年前に書かれているのに、そのセンスの現代性にはびっくりです。

著者は現在でも第一線でご活躍中。

「許されざるプロポーズ」、あれこれ誤解がありつつも、最後はハッピーエンド。

でもまあそれなりに読ませました。

「桐島、部活やめるってよ」、桐島本人はいっさい登場せず、周りの人間を描いていきます。

なかなか新鮮な内容でした。

「神楽坂ホン書き旅館」、映画関係者や作家が仕事をした昔の名残を残こす貴重な旅館。

当時の資料ともなる本ですね。

「理由」、女性作家ではありますが実に骨太な小説を書く作者。

その醍醐味を味わえる一冊です。

「剣客商売 春の嵐」、シリーズ初の長編でした。

スペシャルバージョンといったところでしょうか。

「魯山人の美食手帖」、芸術家であり美食家でもあった魯山人。

傲慢ではありますが憎めないキャラでもあります。

「音もなく少女は」、海外小説です。

耳が聴こえないという生涯を持った少女の生き様が悲しく切ない。

「「料理研究家」たち」、女性に人気の料理研究家という職業。

目指しておられる方はご一読を。

「浮世でランチ」、14歳と25歳の生活を交互に書き、人生を問いかけるような小説。

でも堅苦しくも説教臭くもありません。

「姥捨てバス」、現代版『姥捨て山』・・・・といえるのかどうか。

ラストは私にはちょっと消化不良でした。

「青春クロスピア」、読んでいてとても恥ずかしい小説です。(笑)

でもこの時代、この世代はこうだったんだなぁと。

「(ぶんこ版)糸井重里の萬流コピー塾」、コピーなんだか1発ギャグなんだか。

ひまつぶしにはいい。

「切れた鎖」、思いのほかシュールな作風でした。

純文学の書き手としては実力派なんだなと。

さてさて、今月の一冊ですが。

やはりこれといって抜きん出た印象の作品はありませんでした。

しかし瑞々しいセンスを感じさせてくれた「桐島、部活やめるってよ」がちょっとよかったかな。

今月はこれで。

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2013年10月29日

「切れた鎖」田中慎弥

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短編3編収録。

表題作の「切れた鎖」がページ数の半分以上を占めています。

昔、海辺の村で栄えた『桜井の家』。

コンクリートで財をなしました。

しかし今はその繁栄もありません。

その桜井の家の女である梅代は、出戻りの娘美佐子と孫の美佐絵と3人で暮らしています。

家の裏にはいつの間にか建った在日朝鮮人の教会があります。

昔、養子の夫がその教会にいた女と深い仲になり家を出ていき、それ以来ずっと教会を憎悪しながら、現在は娘、孫娘との生活を営んでいます・・・・。

他の収録作もそうですが、どれも暗いですね。

曇天のイメージです。

そしてシュール。

作者の田中慎弥氏といえば、芥川賞受賞式で「もらっといてやる!」と不機嫌に言ってのけたことで一躍有名になりました。

今回氏の作品を初めて読んでみたのですが、ちょっと予想外。

暗いだろうなとは思っていましたが(笑)、このようなシュールな作品を書かれていたとは。

「蛹」など地中のかぶと虫の幼虫の視点で書かれています。

「不意の償い」は被害妄想のオンパレードですし。

読んでいてふとイメージしたのが中上健次中村文則西村賢太といったところ。

いちばん遠いのは西村賢太でしょうけど。

この不穏で鬱屈したような作風は貴重ですね。

他の作品もぜひ。

ラベル:小説
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2013年10月27日

「(ぶんこ版)糸井重里の萬流コピー塾」糸井重里

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文芸春秋に連載されていた糸井重里主催のコピー塾の文庫化です。

萬流というのはセン流より面白いからマン流なのだとか。

内容は与えられたテーマに対して読者がコピーを作るというものです。

出来によって松・竹・梅とランクが付けられ、それによって点数が与えられ、一定の点数になると名取→師範と認定されます。

コピーの定義のようなものは私にはわかりませんしそのようなものがあるのか知りませんが、短い言葉で的確に商品やイメージを伝える文章だと思っています。

で、この本の内容を読んでみましたら。

う~ん、コピーというよりも一発ギャグといったほうがいいような・・・・。

もちろんすべてではありませんが。

でもダラダラしたキレの悪い文章や、ただ笑いを取るためだけに考えられたようなのが多すぎ。

まあコピー界の家元である糸井センセイが選んでおられるのだから、それなりのレベルなんでしょう。

本題に入る前の家元と番頭のやりとりも面白くありません。

読んでいてひまつぶしにはなりました。(笑)

posted by たろちゃん at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月25日

「青春クロスピア」唯川恵

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田村七瀬は高校2年生。

親友の小野弘美に引っ張られて男子バスケットボール部のマネージャーをやることになります。

弘美の目当ては部長の遠山俊介。

七瀬は女嫌いで知られる榊原圭吾がなんとなく気になるのですが・・・・。

大人の女性の恋愛と生き方を描く直木賞作家、唯川恵の長編デビュー作です。

ご存じない方は「えっ、これが!?」と思われるでしょうが、唯川氏はもともとコバルトでデビューされた作家さん。

そう、唯川恵、山本文緒角田光代彩河杏)はコバルト出身の直木賞作家御三家なんですね。

角田氏はあまりコバルト時代の経歴に触れて欲しくないような感じですが。

さてこの作品ですが、設定といい文章といい、いかにも当時のコバルトですね。

まさしく王道といったところ。

簡単に先が読めてしまいますし、こっ恥ずかしさ120%です。(笑)

もうちょっとひねろうよと思うのですが。

でもそんなストレートな青春小説が清々しくもあります。

今となっては貴重な一冊です。

ラベル:小説
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2013年10月23日

「姥捨てバス」原宏一

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主人公の「おれ」は白ナンバーのおんぼろバスで、相棒と無認可の観光バス事業を営んでいます。

いっときは大儲けもしたのですが、現在はバブルも弾け飛んで干上がってしまいました。

そこで相棒が起死回生に思いついたのが、ババアをターゲットにした清貧ツアー。

婆さんを娯楽などなにもない山奥の温泉につれていき、質素に過ごしてもらうというもの。

しかしツアー客の一人が失踪し、それがきっかけとなったのかあのツアーは「姥捨てツアー」だとの噂が立ち始め、それを逆手にとって売り物にし始めたおれと相棒ですが・・・・。

相変わらず設定が面白い原宏一。

今まで読んだ中ではいちばんレベルが高かったかも。

といっても3冊目ですけどね。(笑)

本作は姥捨て山の現代版といったところですが、さすがに現代の婆さんはパワフルです。

金と暇のある旅行好きの年寄りを上手く題材にしておられます。

ですけど、う~ん、なんだかしっくりとまとまっていない気がするのはなぜでしょう。

コメディーっぽい設定なのにしんみり系に偏ってしまうせいでしょうか。

まあ設定に関しては私が勝手にそう思っていただけかもしれませんけど。

ラストも私にとっては消化不良でしたし、最後まで読んでタイトルもちょっと違うんじゃないかなという気がしました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする