2013年10月17日

「音もなく少女は」ボストン・テラン

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貧困な家庭に生まれ、耳が聴こえない少女イヴ。

父親のロメインは母親のクラリッサに暴力を振るうろくでもない男です。

しかも麻薬の売人。

取引にイヴを利用するような男です。

そんなイヴとクラリッサはフランという過去に傷を持った女性と知り合い、家族のように付き合うことになります。

フランはイヴにカメラを与え写真を教えます。

イヴはつねにカメラを持ち歩き、あらゆる写真を撮ります。

そしてチャーリーという恋人ともめぐり逢うのですが・・・・。

久しぶりの翻訳もの。

この作者は他の著書で2001年の「このミステリーがすごい!」で第1位に選ばれ、「日本冒険小説協会大賞」にも選ばれ、「イギリス推理作家協会新人賞」も受賞しておられるとのこと。

しかし巻末の解説で北上次郎氏は冒頭に「この長編がボストン・テランの作品であることを忘れていただきたい」と書いておられます。

つまりそれまでとはまったく違う作風ということなんでしょうね。

私の場合、忘れるどころが初めて読む作家さんなので都合がよかったのかどうなのか。

たしかにミステリーというのとはちょっと違う気もします。

ハードボイルドでもありません。

まあジャンル分けしたところでなんの意味もないでしょう。

荒廃した街の貧困な家庭に生まれ、聾者として生きていく女性の生々しく哀しい運命の物語です。

物語の展開はイヴやその他の女性にとって冷徹です。

ですがそれだけにはっきりくっきりと女性たちの生き様が浮かび上がってくるのですね。

どっしりとした一冊でした。

ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ほ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする