2013年11月25日

「深爪」中山可穂

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連作短編集です。

表題作の「深爪」は翻訳家で独身女性のなつめと、自宅でピアノ教室をやっている主婦の吹雪の恋愛です。

深く愛し合うがゆえに独占欲や嫉妬で何度も喧嘩をしてはよりを戻す二人。

なつめは吹雪に離婚して欲しいと迫り、吹雪は家庭を壊して幼い息子の嵐や夫のマツキヨに迷惑をかけたくないと拒みます。

しかし夫のセックスを頑なに拒否し続けることで、夫婦の関係はぎくしゃくしたものになっていきます・・・・。

「落花」は吹雪の視点で書かれています。

なつめと別れ、家を飛び出して新しい恋人と暮らし始めた吹雪。

夫と離婚して息子を引き取ろうとするのですが、夫はどちらも認めません。

「魔王」は吹雪の夫であるマツキヨの視点です。

この作者が男の視点で書くのは珍しい。

女に妻を奪われた立場のマツキヨは、それでも一生懸命息子である嵐の世話をします。

母親を恋しがる嵐のために女装までして。

調停により吹雪と親権を争うことになるのですが・・・・。

いつもながら中山可穂の小説は熱く激しいですね。

最初からトップギアで全開といった感じです。

この作品では「魔王」で男の視線を導入し、女性同士の恋愛だけでなく家族や夫婦、親子の絆といったことが描かれています。

それだけに熱さはややクールダウンした印象も受けますが、物語としての奥行きは深まったように思えます。

やっぱりいいですね、中山可穂。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする