2013年12月11日

「自縄自縛の私」蛭田亜紗子

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短編5編収録。

表題作がデビュー作です。

自分で自分を縛るのが趣味(?)な30代の女性。

最初は部屋の中だけでやっていたのですが、やがて出勤時にも服の下に縄を仕込むようになります。

それを上司に見られてしまったり。

『自縄自縛ブログ』というのも開設し、同じ趣味の中年男性と知り合いメールのやり取りをするようになるのですが・・・・。

その他の作品もやはり特殊な性癖を持つ人物の話です。

セックス相手の精子の入ったコンドームを冷凍保存する女、ラバーコスチュームで全身を包む女、婚約者のマンションに他所の男を連れ込んでセックスする女、など。

それぞれ独立した話ですが、他の話と接点があったりもします。

誰にも他人には言えないような癖があったりするんだなと。

フェチといいますか。

それぞれの人間のミクロな部分を覗き見るような作品集です。

どの作品にもなんだか孤独感というか寂しさというか渇望のようなものを感じます。

主人公たちの性癖はそれらを満たすためのオアシスなんでしょうか。

ラベル:小説
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2013年12月09日

「蠅の王」ウィリアム・ゴールディング

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イギリスの少年たちが乗った飛行機が攻撃を受け、無人島に不時着します。

大人は誰もいません。

子供たちは隊長を選び最初のうちは秩序ある生活をしていたのですが、やがて対立が起きます。

烽火(のろし)をあげ続けて通りかかる船に発見救助してもらうのを第一と考える、穏やかなタイプのラーフ。

そのようなことにはあまり関心がなく狩猟隊を組んで狩りばかりしている、攻撃的なタイプのジャック。

対立は深まりジャックの側には狂気さえ芽生え、ついには殺戮まで行われてしまいます・・・・。

子供たちだけで生活をしていくという孤島ものです。

組織が結成されたり対立が起こったり、生活していくための知恵を絞ったり。

まあ当然のストーリー展開なわけですが、それはそれでいいとしましょう。

ただ私が納得できないのが根本の設定です。

飛行機が不時着したということなのに、なぜその飛行機がないのか。

少年たちを降下させてからどこかに飛んでいったというようなセリフがありますが、パラシュート部隊じゃあるまいし。

風で飛んでいったというようなセリフもありますが、そんなアホな。(笑)

そして不時着したのなら操縦士他の大人たちが何人かはいるはずでしょう。

それがいない。

そのあたりが大雑把で、孤島での子供たちだけの物語を書きたいがため、取ってつけたような舞台を用意されてもなぁという印象です。

ラベル:海外小説
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2013年12月07日

「旅する胃袋」篠藤ゆり

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著者が経験した11の旅。

旅においてその土地での食は欠かせません。

とにかく食に対して好奇心旺盛な著者。

地元の人たちが普段食べている店での食事はもちろん、宿泊した宿の厨房に入り込んでみたり。

そりゃそうですよね、せっかくよその国に行くのですからその土地の食べ物を食べませんと。

しかも旅の行き先はアメリカやヨーロッパではなく、インドやら中国、パキスタン、タイなど。

標高4000メートルのお寺で僧からバター茶をご馳走になってりもしておられます。

食エッセイではあるのですが、その前にまず地元の人とのふれあいがあります。

山奥に暮らす人たちは皆素朴であたたかい。

そしてその人たちが生きる源である普段の食事をご馳走してくれる。

言葉は通じなくても「美味しい」と表現すると皆嬉しそうな顔をする。

いいですねぇ。

グルメや美食などと表現されるような食事ではなく、ほんとにその土地の人たちに根付いた普通の食事。

食の原点ですよね。

ラベル:グルメ本
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2013年12月05日

「スカートの下の劇場」上野千鶴子

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「ひとはどうしてパンティにこだわるのか?」

これがこの本のテーマです。

女性の下着だけでなく男性の下着についても論じられています。

下着の起源から始まってどのように進化してきたか。

どのように扱われているか。

面白いのは下着の権限を握っているのは家庭の主婦であるということ。

子供のうちは母親が買ってきた下着をあてがわれるわけですし、年頃になって自分で選ぶようになっても洗濯をするのは母親です。

娘がどのようなパンティを穿いているのかつねに監視されているわけです。

なのであまりド派手なのやエロいのは「こんな下着を誰に見せるつもり?」と母親の倫理に引っかかるのですね。(笑)

ただ女性の下着というのは男性に見せるためだけに選ばれるわけではないというのはちゃんと書かれていますが。

この本が出たのが1989年。

今とはまた事情が違います。

女性の下着についてもセックスについても驚くほどオープンになりましたしね。

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2013年12月03日

「長生き競争!」黒野伸一

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主人公の白石聡は76歳。

何十年も離れていた地元に帰ってきます。

それがきっかけで小学生時代の同級生たち5人とよりが戻り、定期的に行われている飲み会に顔を出すことになります。

そこで提案されたのが「長生き競争」。

健康に留意し、誰がいちばん長生きするか賭けようじゃないかと。

男5人女1人のそんな賭けがスタートします。

そこに20歳のエリという聡の家に転がり込んできた居候の女も加わって・・・・。

老いだの高齢化だのといったテーマを扱っているのですが、ユーモアのある優しい切り口です。

ですがやはり死を扱っているということでシビアでもあります。

平均寿命を迎える歳になり、メンバーにはどのような変化が訪れるのか。

それは決して小説の中だけではなく当たり前に有り得る現実として読者に突きつけられます。

じゃあ年寄りではない20歳のエリは・・・・?

死を目前とした人物たちのさまざまな生活や思いが描かれています。

なんたら殺人事件といったような小説ばかり読んでいる人にぜひ読んで欲しい作品です。

「人が殺される話ってそんなに楽しい?」

つねに私が思っていることです。

ラベル:小説
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