2014年01月10日

「都立水商!」室積光

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新宿歌舞伎町に設立された「東京都立水商業高等学校」。

通称「都立水商」。

なんと水商売を専門に教育する高校です。

ホステス科、マネージャー科、バーテン科、ソープ科、ヘルス科、ホスト科、ゲイバー科。

集まってきた新入生は中学時代に問題を抱えていた生徒ばかりです。

先生たちの奮闘、そして生徒たちはどのように成長していくのか・・・・。

いやはやなんとも馬鹿馬鹿しい設定の小説を書いたものです。

ところがこれがバツグンに面白いんですね。

決して思い付きの企画倒れに終わっていません。

というよりも設定を超えた感動すらあります。

水商売の学校物だからといってフーゾク的な話ばかりが詰め込まれているわけではありません。

いちばんの読ませ所はやはり野球部の快進撃でしょう。

これはもう爽快な青春小説です。

そして作者の高校野球に対するチクリとした風刺も読み取ることができますね。

江夏や長嶋といった実在の人物が出てくるのもぶっとんだ設定の中にリアリティを添え、話を締める効果があるように思えます。

この作品は作者のデビュー作とのこと。

すごいですね。

笑いあり感動ありの素晴らしいエンターテイメント小説でした。

ラベル:小説
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2014年01月08日

「部屋いっぱいのワイン」細川布久子

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著者がパリで行われたワインのコンクールで優勝するシーンから始まります。

といってもソムリエの代表選考会とか世界大会といった大きなものではありませんが。

フィトウというややマイナーなワインの試飲会です。

しかし参加者は著名なワインジャーナリストたち。

そんな中での優勝ですから立派なものです。

賞品として1年間フィトウにあるブドウ畑の所有者となり、1年後その畑で収穫されたブドウで作ったワインを150本贈呈され、しかもエチケット(ワインラベル)には畑の所有者として名前が明記されるとのこと。

ワイン好きにはたまらない名誉ですよね。

そんな導入部から始まって、著者のワインを中心としたパリでの生活の奮闘ぶりやいろんな人たちとの出会いが書かれています。

著者がワインと出会ったのは作家の開高健氏がきっかけだったそうです。

ちなみに単行本で出版されたときのタイトルは「エチケット1994」。

著者の名前が明記されたエチケットからのタイトルですが、もちろん開高健氏の短編集「ロマネ・コンティ・一九三五年」へのオマージュでありましょう。

本書の最後の文章も開高氏への思いで締めくくられています。

ラベル:グルメ本
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2014年01月06日

「貝紫幻想」芝木好子

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東京に暮らし、出版社の編集部に勤めている圭子。

鎌倉でひっそりと隠居のような生活をしている母の雪子のもとに週1度帰ってきます。

ある日京都から雪子の異母弟である泰男が鎌倉を訪ねてきます。

泰男は京都の大学で講師をしており、幻の染料である『貝紫』を追い求める研究家です。

泰男に惹かれながら同じく『貝紫』の魅力にも惹かれていく圭子。

圭子と泰男は血の繋がった叔父と姪という間柄でありながら、男と女として惹かれあい愛し合ってしまうのです。

実は母の雪子も若い頃病死した天才画家の兄にそのような気持ちを抱いたことがあり、いまだその呪縛にとらわれています。

なんとか2人の禁忌の愛を諦めさせようとする雪子ですが・・・・。

近親の愛に『貝紫』という幻の染料を追い求めるというロマンを絡ませ、やや耽美的で深遠な世界を描いています。

芝木作品の中でもかなりの長編であり、力作ですね。

無教養なもので『貝紫』という染料があることをこの作品を読むまで知りませんでした。

いい本を読ませていただいたと思います。

ラベル:小説
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2014年01月04日

「ラーメンの真髄」石神秀幸

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「TVチャンピオン」のラーメン選手権で第3回、第4回と優勝した著者。

そしてラーメン評論家となり、いまやラーメン評論の第一人者といえます。

本書では著者がラーメンに興味を持ち始めたいきさつから始まり、ラーメンがどのように進化してきたか、そしてご当地ラーメンの紹介やらラーメンの常識・非常識についてなどが書かれています。

堅苦しさはなく非常に丁寧で論理的なわかりやすい文章です。

ラーメンというとやはりB級グルメというイメージがありますが、著者は必ずしもそうではないと力説されます。

手間をかけたラーメン屋もあれば手を抜いたレストランもあると。

ラーメンマニアな人たちは他の料理を知らずラーメンだけに特化して語っている場合が多いのですが、著者は他のジャンルの料理もよく研究しておられるようです。

なのでラーメンについての知識は深いながらもオタクな雰囲気がないんですね。

そのあたりもこの本が読みやすい理由のひとつかと思います。

ラベル:グルメ本
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2014年01月02日

「職業外伝 白の巻」秋山真志

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世間にはいろんな職業があります。

中には今となると特殊とさえいえるような職業もありまして、後継者もおらず消え入る寸前な職業もあったりします。

そんな職業に就いておられる人たちに取材したルポタージュです。

その職業というのは、イタコ、映画看板絵師、鵜匠、荻江流家元、琵琶盲僧、蝋人形師、チンドン屋、流し。

どれも時代とともに需要がなくなっていく職業だなぁと思えます。

だからといって単純になくなってしまってもいいというものではないでしょう。

それぞれ時代の文化があって、そこから生まれた仕事です。

今の時代に合わないからといって消滅してしまうのはあまりにも惜しい。

どれも貴重なプロフェッショナルな仕事です。

ぜひぜひこれらの素晴しい職業が末永く続きますようにと思います。

じゃあおまえがどうにかしろよ、なんて言われてしまうとどうしようもないのですが。

このような本が多くの人たちに読まれ、若い人たちが目を向けてくださるといいですね。

posted by たろちゃん at 04:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする