2014年02月17日

「味のぐるり」入江相政

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タイトルからわかるように食エッセイです。

著者は長年侍従を務めてこられました。

だからといって皇室の食について書かれたわけではありませんが。

むかしの東京の味をいろいろと紹介しておられます。

このような本をお書きになるくらいですから、やはり子供の頃からとにかく食べることが好きだったとのこと。

そして食べ物についての本を書かれる人が皆さん口を揃えておっしゃるのが、「私は食通ではない。ただ食べることが好きなだけだ」。(笑)

まあ食通なんて肩書きは自分で名乗るようなものではありませんけども。

謙遜もありましょうし本音でもありましょう。

タイトルも味そのものと取り組んだことを書くのではなく、味の周りの出来事をそこはかとなく書きつづるという意味で、とのこと。

交友にいろいろと著名な人たちも登場し、ひとつの時代を感じさせる本でもあります。

 

ラベル:グルメ本
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2014年02月15日

「エスプレッソとバニラ」伊東悠香

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桐原芽衣は派遣のOLです。

上司の久保真太郎に憧れているのですが、これが鬼の久保と言われるほど仕事に厳しい。

いつも仕事の失敗に説教されています。

2人で残業していたある日、芽衣はいきなり真太郎から告白を受けます。

そしてキスまでされて・・・・。

まさに妄想小説ですね。(笑)

真太郎が芽衣に想いを寄せていたという設定になんのエピソードもない。

憧れの男にいきなり告白されるという女にとってお花畑のような空想をストレートに書いているわけです。

単刀直入といいますか。

もうちょっとなにか前置きがあってもいいのではないかと。

この作者、細かいところをきっちりと詰めるのが苦手なのか、例えば2人が勤める会社がどういう仕事をしている会社なのかがわからない。

説明といえば『ここは、全国に数ヶ所の研究所を抱えている会社だ』でおしまい。

小学生がノートに書いている小説じゃないんだから・・・・。(笑)

2人のイチャイチャを描くのにそんな説明は不要と潔く削ぎ落としたのか。

でも真太郎たちは何も研究していませんし、研究所勤務じゃないし。

なのになぜか研究発表会なんてのがあったりして。

背景がすべてハリボテなんですね。

とにかく2人はお互いに嫉妬し、芽衣は「私なんか彼にふさわしくないんだ」なんていじけ、その都度真太郎の真摯な言葉で愛を確かめ合い、ということをしつこいくらい積み重ねていきます。

まあそのあたりの苦さと甘さはたっぷりと味わえます。

若い女性読者ならけっこうナルシズムが刺激されるのかもしれません。

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2014年02月13日

「リコン日記。」井原美紀

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女グセの悪い男と結婚してしまった著者。

しょっちゅうの浮気で5人目の愛人まで登場する始末。

とにかくこの夫は堂々と浮気の証拠を家に持ち帰ってきます。

愛人からもらったラブレターとか。

そして休日にデートに出かけるのもお気に入りのセクシーパンツを穿いていくというマヌケぶり。

馬鹿なのか天真爛漫なのか。

著者はさすがにそんな夫には耐え切れなくなるのですが、離婚して子供を2人抱えて生活していく自信がありません。

なによりもまだ夫を愛しているのです。

なんとか家庭を立て直そうと努力するのですが・・・・。

同性として夫の浮気癖はわかりますが(おいおい 笑)、しかしひどいですね。

それどころか、なんと著者は殺されかけたのです。

最近体の調子が悪いので、夫の会社の「奥様健康診断」というのを利用したところ、結果がなかなか届きません。

夫にその話をしたところ「大丈夫だったよ」という返事。

結果は自宅に郵送してもらうことになっていたのですが。

しばらくして夫のスーツのポケットから自宅宛に送られてきた診断書を見つけます。

診断結果は第3期の子宮ガン。

そんな重大なことをもみ消そうとしていたなんて・・・・。

もうとにかくとんでもない男です。

それでもなんとかやり直そうとする著者が健気というよりも馬鹿すぎます。

まあ結局はちゃんと縁を切るんですけどね。

なんとも壮絶な内容なのですが、著者の筆はどこまでもユーモラスなんですよねぇ。(笑)

ラベル:エッセイ
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2014年02月11日

「食物のある風景」池波志乃

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女優である著者。

夫は俳優の中尾彬氏ですね。

祖父は古今亭志ん生、父は金原亭馬生と、なんともまあ芸能の血筋を受け継いでおられます。

そんな著者が生まれ育ったのが東京の谷中。

まずは子供時代の懐かしい食べ物について書かれます。

駄菓子屋、どんどん焼き。

下町の味です。

そのあとは沖縄について多くの頁を割いておられます。

年の半分は沖縄に住んでおられるとのこと。

なのでいろんな沖縄の料理を紹介しておられます。

これも昔ながらの“おばあ”の味です。

やはりそういう味に回帰するというか、落ち着きますよね。

先端の料理もいいけども、昔ながらの食がいい。

その土地に根ざした昔ながらの料理。

子供の頃に馴染んだ懐かしい味。

そういう「食物のある風景」を大事にしていきたいなと思えました。

ラベル:グルメ本
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2014年02月09日

「体の贈り物」レベッカ・ブラウン

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連作短編集。

主人公はエイズ患者を世話するホームケア・ワーカーです。

いろんな患者と出会うわけですが、彼らには確実に目の前に死があります。

そんな彼らの言動をひとつひとつしっかりと受けとめながら主人公は接していきます。

作者はそのような設定を決して大げさに描いたりはしません。

むしろ淡々と言っていいような抑えた文章で綴っておられます。

例えば“不治の病にかかった彼女を支える彼氏”みたいな設定でお涙頂戴の長編小説があったりもします。

そういうのとは対極の作品集です。

各作品のタイトルにはすべて『贈り物』という言葉が付いています。

「汗の贈り物」、「充足の贈り物」、「涙の贈り物」というふうに。

しかしこれらも実にさりげなく、隠し味程度の意味だったりもします。

地味ではありますが、読んでいてじんわりと染み入ってくる作品集です。

ラベル:海外小説
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