桐原芽衣は派遣のOLです。
上司の久保真太郎に憧れているのですが、これが鬼の久保と言われるほど仕事に厳しい。
いつも仕事の失敗に説教されています。
2人で残業していたある日、芽衣はいきなり真太郎から告白を受けます。
そしてキスまでされて・・・・。
まさに妄想小説ですね。(笑)
真太郎が芽衣に想いを寄せていたという設定になんのエピソードもない。
憧れの男にいきなり告白されるという女にとってお花畑のような空想をストレートに書いているわけです。
単刀直入といいますか。
もうちょっとなにか前置きがあってもいいのではないかと。
この作者、細かいところをきっちりと詰めるのが苦手なのか、例えば2人が勤める会社がどういう仕事をしている会社なのかがわからない。
説明といえば『ここは、全国に数ヶ所の研究所を抱えている会社だ』でおしまい。
小学生がノートに書いている小説じゃないんだから・・・・。(笑)
2人のイチャイチャを描くのにそんな説明は不要と潔く削ぎ落としたのか。
でも真太郎たちは何も研究していませんし、研究所勤務じゃないし。
なのになぜか研究発表会なんてのがあったりして。
背景がすべてハリボテなんですね。
とにかく2人はお互いに嫉妬し、芽衣は「私なんか彼にふさわしくないんだ」なんていじけ、その都度真太郎の真摯な言葉で愛を確かめ合い、ということをしつこいくらい積み重ねていきます。
まあそのあたりの苦さと甘さはたっぷりと味わえます。
若い女性読者ならけっこうナルシズムが刺激されるのかもしれません。