短編集です。
6編収録。
時代はどれも昭和40年代でしょうか。
舞台は大阪です。
表題作の「花まんま」は幼い兄妹の話です。
「俺」の妹のフミ子は、自分は繁田喜代美という人物の生まれ変わりだと言い出だします。
俺が小学校5年生でフミ子が2年生のときです。
夢のなかに前世の記憶が出てくるというのです。
フミ子が前世で住んでいたという彦根へ2人は出かけていきます。
そこで見かけたガイコツのように痩せ衰えた老人は、まぎれもなくフミ子の前世の父でした。
2人の取った行動は・・・・。
いやあ、心に沁みましたねぇ。
どの作品もちょっと不思議な設定で、SFといいますかファンタジーといいますか。
でもその設定をご都合主義に利用していません。
なんでもありなのをいいことに都合よくファンタジーで片付けてしまうような作品もありますけども。
最初に書きましたように時代が昭和40年代ということでまた味わいを添えているんですね。
そして個人的には地元大阪が舞台ということでなおさらです。
表題作と並んでよかった「トカビの夜」。
パルナスのCMソングなんて出てきます。
関西ローカルですねぇ。
在日朝鮮人を扱った話なのですが、差別やそれを超えた子供同士の純粋な友情が描かれています。
私も子供の頃は周りにたくさんの在日朝鮮人がおり一緒に遊んでいましたので、共感できる部分が多々ありました。
他の作品もよかったです。
ノスタルジックな雰囲気のある、粒揃いな短編集だと思います。
ラベル:小説