2014年04月30日

4月の一冊

今月は上下巻も含めて10冊。

いつもより少なかったです。

でも月10冊読ればと思っていますので上出来です。
 
・「文学賞メッタ斬り! ファイナル」大森望 豊崎由美
・「駅弁大会」京王百貨店駅弁チーム
・「B級ニュース図鑑」泉麻人
・「終りなき始まり(上・下)」梁石日
・「二人がここにいる不思議」レイ・ブラッドベリ
・「勘違いしそうに青い空」冨士本由紀
・「L文学完全読本」斎藤美奈子 編・著
・「にっぽん蔵々紀行」勝谷誠彦
・「きつねのはなし」森見登美彦

「文学賞メッタ斬り! ファイナル」、いつもながら面白かった。

これで最後というのは残念です。

「駅弁大会」、業界の裏話的な内容ですね。

こういうのは興味をそそられます。

「B級ニュース図鑑」、さぞかし笑わせてくれるかと期待して読んだのですが、意外とおとなしかった。

もっと馬鹿馬鹿しいほうがよかったです。

「終りなき始まり(上・下)」、作者の自伝的小説。

ヒロインのモデルは芥川賞作家の故・李良枝氏なんですね。

「二人がここにいる不思議」、いろんな味付けの作品が楽しめる短編集。

でも私にとっては翻訳小説臭がプンプンとしていまいちでした。

「勘違いしそうに青い空」、だらしない男の日常をドライに描いています。

目の前の境遇を受け入れていく主人公がいい。

「L文学完全読本」、JリーグやらJポップやら、そういうのにあやかろうとして造語されたのでしょうか。

見事にすべりましたね。

「にっぽん蔵々紀行」、日本酒の蔵元を巡った紀行です。

落ち目な日本酒ですが、まだまだ捨てたものではないですね。

「きつねのはなし」、シュールでちょっとホラーな短編集。

味わいのある内容でした。

今月はいつもより少ない冊数でしたが、そんな中で選ぶ一冊。

「勘違いしそうに青い空」ですかね。

女にだらしない男ではあるのですが、でも根は生真面目で憎めない。

いいキャラだと思います。

ということで今月の一冊はこれ。

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2014年04月28日

「きつねのはなし」森見登美彦

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短編4編収録。

連作というわけではありませんが、同じ人物が出てきたりもします。

表題作は芳蓮堂という京都の古道具屋でアルバイトをしている大学生の話。

古道具屋主人のナツメさんから風呂敷に包まれた品を渡され、天城さんの屋敷に届けた私。

それから何度も通ううちに天城さんの見えない糸に絡み取られたようになり、財布に入れていた彼女の写真をつい天城さんに渡してしまいます。

その後彼女の行方がわからなくなり・・・・。

シュールで黒くてちょっと耽美的で。

伝奇小説的でもあり。

収録されている作品すべてそのような雰囲気です。

心の隙を衝いてくる怖さのようなものがありますね。

ただどれもはっきりとした話の辻褄といいますか、納得できる説明や着地点があるわけではありません。

そのような話なのだと受け入れるしかないでしょう。

京都という舞台がいいんでしょうね。

これが大阪だとこの雰囲気は出てきません。(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 『も』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月26日

「にっぽん蔵々紀行」勝谷誠彦

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著者が日本全国の蔵元を訪ねる日本酒ファンにとっては垂涎ものの紀行です。

太田和彦氏などは全国の居酒屋巡りをしておられますが、こちらは造り手を直接訪ねての唎き酒。

蔵元とっておきの酒なども味わえていやはや羨ましい。

しかし著者が伝えたいのは蔵元の酒造りに対する熱意です。

蔵によっていろんな造り方があります。

最新のシステムを導入して機械管理しているところもあります。

しかし共通しているのは単に合理化して楽して儲けようなどとは一切思っておられないということ。

いい酒を造るのにそのシステムが必要で効果的ならば躊躇せず取り入れる。

そのぶん人手をかけるべきところはきっちりかける。

蔵元によっていろんなこだわりが伺えます。

この本で紹介されているのは25府県。

続編と併せて全国制覇とのこと。

その続編も購入済みですのでまた楽しみに読ませていただきましょう。

さて、今回読んで圧巻だったのはやはり「地酒列車」でしょう。

24時間かけて秋田から米子1100キロに地酒を飲む為の特別列車を走らせるという企画。

途中の駅でイベントを行い、その都度土地の蔵元の協力による地酒を積み込み、ひたすら飲み続けるというイベントです。

酒飲みの熱意に拍手。(笑)

ラベル:グルメ本
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2014年04月24日

「L文学完全読本」斎藤美奈子 編・著

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L文学とはなんぞや。

作者が女性で主人公も女性で読者も女性な小説。

そしてなにより女性を元気にする文学とのことです。

L文学のLにはレディ、ラブ、リブの意味も含まれています。

というわけで「赤毛のアン」や「あしながおじさん」、「若草物語」など海外の少女小説を始祖とし、国内ではコバルト文庫がL文学の走りであるなどの分析がなされています。

作家でいえば誰なのか。

コバルトでいえば正本ノン、氷室冴子、久美沙織あたりが第一世代か。

そして新井素子の登場。

その後、唯川恵山本文緒、藤本ひとみ・・・・と続いていきます。

コバルト作家以外にもその定義は広げられ、吉本ばなな、林真理子山田詠美江國香織恩田陸・・・・などなど名前を挙げるときりがありません。

この本が出たのはもう10年以上前ですが、今からすればわざわざ「L文学」なんて定義付けてジャンル分けする意味などないですね。

斎藤美奈子氏もせっかく「L文学」なんて言葉を作ったものの定着しませんでしたし。(笑)

そんなジャンル分けなどしなくとも、いまやごく自然に受け入れられています。

当時においてもそんなことする必要あったのかなと思います。

ちょっと気負いすぎの感あり。

私も昔からコバルトは読んできましたが、特に他の小説と区別することはなかったですけどね。

他の文学作品が上でコバルトが下とかではなく、上下ではなく並列として見ていました。

純文学があればエンターテイメントもある。

その中にSFもあればミステリーもあり、エロ小説もあり、恋愛・青春小説としてコバルトもある。

そんな感じでした。

この本の前半はL文学についての系譜や分析ですが、後半は作家の紹介やブックガイドとして参考になります。

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 02:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月22日

「勘違いしそうに青い空」冨士本由紀

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主人公の栗田匡は47歳。

元は大手建設会社のサラリーマンでしたが現在は無職。

そして鬱病。

20歳以上も年下の都詩という美人な彼女がおり、ほとんど彼女に養ってもらっているような生活です。

そんな匡のところに10年以上前に付き合っていた元カノが入院している精神科から手紙が届きます。

彼女の入院費を支払ってくださいと。

ずっと無視していたもののなぜかふらりと見舞いに行き、よりを戻してしまいます。

もちろん都詩には内緒で。

あげくのはては都詩の母親(といっても42歳で匡より若いのですが)にまで手を出してしまいます。

そんな節操のないダメ男の行く末は・・・・。

主人公の視点からわりと飄々とした感じで書かれているのですが、けっこう内容はシビアです。

ダメ男な小説といえば町田康や西村賢太を思い浮かべたりもしますが、それらの作品はけっこう笑えます。

町田康なんかは突き放してますし、西村賢太は言動がギャグです。

しかしこの作品はそのどちらでもない。

笑えません。

いい加減で好き放題やってきたツケがあとになってじわじわと真綿で首を絞めるがごとくやってきます。

でもいいヤツではあるんですけどね。

だらしないけど悪人じゃない。

お金がないのに元カノに救いの手を差し伸べてあげたりする。

逆境の中でも精一杯生きています。

後半はそんな主人公に雑踏の中の孤独といいますか、陽射しの中の寂しさといいますか、そのようなものを感じましたね。

自分の人生には自分で責任を取り現実を受け入れる。

ダメ男ではありますがそんな潔さもあり、私は憎めなく思いました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ふ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする