L文学とはなんぞや。
作者が女性で主人公も女性で読者も女性な小説。
そしてなにより女性を元気にする文学とのことです。
L文学のLにはレディ、ラブ、リブの意味も含まれています。
というわけで「赤毛のアン」や「あしながおじさん」、「若草物語」など海外の少女小説を始祖とし、国内ではコバルト文庫がL文学の走りであるなどの分析がなされています。
作家でいえば誰なのか。
コバルトでいえば正本ノン、氷室冴子、久美沙織あたりが第一世代か。
そして新井素子の登場。
その後、唯川恵、山本文緒、藤本ひとみ・・・・と続いていきます。
コバルト作家以外にもその定義は広げられ、吉本ばなな、林真理子、山田詠美、江國香織、恩田陸・・・・などなど名前を挙げるときりがありません。
この本が出たのはもう10年以上前ですが、今からすればわざわざ「L文学」なんて定義付けてジャンル分けする意味などないですね。
斎藤美奈子氏もせっかく「L文学」なんて言葉を作ったものの定着しませんでしたし。(笑)
そんなジャンル分けなどしなくとも、いまやごく自然に受け入れられています。
当時においてもそんなことする必要あったのかなと思います。
ちょっと気負いすぎの感あり。
私も昔からコバルトは読んできましたが、特に他の小説と区別することはなかったですけどね。
他の文学作品が上でコバルトが下とかではなく、上下ではなく並列として見ていました。
純文学があればエンターテイメントもある。
その中にSFもあればミステリーもあり、エロ小説もあり、恋愛・青春小説としてコバルトもある。
そんな感じでした。
この本の前半はL文学についての系譜や分析ですが、後半は作家の紹介やブックガイドとして参考になります。
ラベル:書評・作家