2014年05月10日

「てふてふ荘へようこそ」乾ルカ

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高台の頂上付近にあるアパート『てふてふ荘』。

敷金も礼金もいらず、家賃は1ヶ月13,000円。

しかも最初の1ヶ月は家賃が無料。

見た目はぼろく風呂とトイレは共用ですが、大家によりアパート内はとても清潔に維持管理されています。

なんとも破格の条件で入居した就職浪人でフリーターの高橋真一。

しかし翌朝目覚めてみるとこのアパートにはとんでもない事情があることがわかり・・・・。

1号室から6号室まであるアパートの住民、大家、そして“同居人”たちが織り成す物語です。

章ごとに各部屋の住人の生活が描かれていきます。

どれもちょっと切ない話ではありますが、心温まる話でもあります。

そして最後の章である『集会室』で迎えるラストは・・・・。

巧いですねぇ。

どの章もひとつの物語としてよくできており、最後はきっちりとそれらをまとめてピンポイントで着地点を決めておられます。

ちょっぴりほろっとさせられ、爽やかな感動がありました。

読んでよかったと思える一冊でした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月08日

「スパムメール大賞」サエキけんぞう

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どうやってメールアドレスを知るのか、どこからともなく送られてくるスパムメール。

ネットをやっている人なら100%経験しているでしょう。

著者に届いたスパムメールをいろいろと紹介しておられるのがこの本です。

出会い系がほとんどですが、やはり男性を釣るための内容が多い。

無料で即女性を紹介するとか、それどころかエッチしてなおかつ女性が大金をくれるという逆援助ですね。

著者の元に届いたメールの中には「あなたは30億円で落札されました」というのもあったとか。

んなアホな。

私もこの手の類は好きでして、一時期相手をして遊んだことがあります。

面白いパターンとしては、誘いのメールにのらりくらりと返事をしていたところ、「逢う気がないのならいい加減にしてください!」と逆ギレのメールが届いたこと。(笑)

これはサクラの女性が直接メールのやり取りをしていたんでしょうね。

珍しい例だと思います。

つーかサクラが本音を出すなよと思いますが。

他には届いたメールにひたすら返信ボタンをクリックして、相手から来たメールをそのまま返信し続けました。

その結果「あなたの会員登録は削除されました」という返事が来てそれ以降メールが来なくなったこと。

爆笑しましたね。

ただしこういう遊びは要注意です。

迂闊に記載されているアドレスをクリックするとウィルスに感染したり、勝手にサイト登録されたり、請求書が送られてきたり。

なのでこの本の著者もそのようなことは推奨しておられません。

では私からもひとつ笑えるスパムメールを紹介しておきましょう。

『はじめまして。いきなりですが、助けて欲しいんです。
私は原野恵理子、31歳のOLです。
他に頼れる人がいなくて。。

実は、伝説の男、会釈山本が3年ぶりに
来日するという件で困っています。

いきなり会釈山本と言っても何のことやら分からないと思うので説明します。
私が以前勤めていた会社の同僚で、全く空気を読まない男性でした。
3年前のある日突然海外に行ったのですが、
その会釈山本が来月来日するんです。何故この期に及んで。。
当時私に猛モーションを仕掛けてきていたのですが、
今でも忘れずに、連絡を入れてきたんです。
何度断っても空気を読まないので諦めずにアタックしてくるんです。
私に彼氏がいれば、あの会釈山本も諦めると言ってるので、
どうか偽装でいいので彼氏のフリをしていただけないでしょうか?
お願いします。

会釈山本の伝説について、ほんの少しですが述べておきます。

・44歳独身、以前の職場ではアルバイト。
・もちろん、社員と思われていた。
・本人も社員のふりをしていた。
・松屋でトロロ単品だけで8時間ねばった。
・トロロの器をベロベロ舐めていた。
・松屋に出禁にされた。
・ラムネが好きでいつもビンを手にしてる。
・ラムネのビーダマを取り出そうと3時間頑張る。
・結局割った。
・過去駅前で配っていたヤフーのモデムを20個ぐらい所有。
・本人曰く「断らない俺のダンディズム」
・昼食をどれにするか長時間悩む。
・悩んだ果てに日替わり定食。
・本人曰く「ボヘミアンな俺のセンチメンタリズム」
・アフロを禁止されて翌日にはスキンヘッドに変更する等やることが極端。
・海外に行った理由は、自分探し。
・カラオケでは宇宙刑事ギャバンだけを40回選曲。
・「若さ若さって何だ!?」で凄い感情と力を込める。
・でも店員が入ってくると歌声が小さくなる。
・持ってるカードは楽天カードのみ。
・タクシードライバー限定のオフ会に、身分を偽って出席した。
・全体的にきこりっぽい、山が似合う雰囲気。でも登山経験は無かった。
・雰囲気を買われて登山に誘われ、初登山がサンダルで富士山。
・二合目でリタイア。筋肉痛で三週間欠勤。
・会釈はあまりしない。

これは、伝説の会釈山本に関する情報のほんの一部に過ぎません。
もしかしたら、第三者のそちらとしては
上記会釈山本情報を読んでも特にどうとも思わないかも知れませんが、
一方的に好意を持たれている私としては、非常に苦しい立場にあります。

お願いします。
彼氏のフリをしてください。
彼氏のフリと言っても、会釈山本本人の前に貴方が登場する等という
ことはありませんので。そんなハイリスクをおかす必要はない方法があります。
詳しい方法は、返信をいただけたら
伝えますので、少しでも何かを感じたら
メールを下さい。協力をお願いします。
心から、待っています。
私としては、死活問題なんです。』

最近このような笑えるスパムメールがまったく無くなってしまったのは寂しいことです。

ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 02:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月06日

「「街的」ということ お好み焼き屋は街の学校だ」江弘毅

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著者は「ミーツ・リージョナル」の元編集長。

この「ミーツ・リージョナル」という関西ローカルの雑誌、細かで地元密着な情報は他の情報誌に比べて抜きん出ています。

カタログ的な一般の情報誌に比べ、店の懐に入り込んだような記事を紹介されるのです。

淡々と店を紹介するのではなく、もう一歩踏みこんで店を楽しもう、店の人を楽しもう、そんな店がある街を楽しもうという姿勢なんですね。

そのような雑誌を育てた著者の功績は大きい。

そんな著者が街について語っておられます。

読みましておっしゃることごもっともで、主張はよくわかります。

ですが他の著書も読みまして以前から思いますのが、オヤジの愚痴っぽいんですよね。(笑)

「おまえらなんもわかっとらんな。なんも街の楽しみ方をわかっとらん」という、でも俺はわかっとるんや目線。

そして堅苦しい言い回しを使った文章。

『カテゴライズされた了解事項の範囲内』、『スパイラル的な構造を下支え』、『表現としての変数群がむちゃくちゃに倒錯した場の総体』などなど。

街やお好み焼き屋を語るのも新書となるとなかなか学術的です。(笑)

「お好み焼き屋は街の学校だ」というのもなるほどと思いますが、「まあそんな興奮せんとビールでも飲んで豚玉食べなはれ」と肩をたたいてあげたくなります。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月04日

「プレーンソング」保坂和志

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付き合っていた女の子と一緒に住もうと思って2LDKの部屋を借りたものの、引越しする前に振られてしまい1人で住むことになった「ぼく」。

ある日部屋の掃除をしていたら窓から覗き込んでいた子猫が気になり、それから餌を与えたり話しかけたりするのですが子猫は気まぐれです。

コミュニケーションが取れているんだかいないんだか。

そんなある日友人のアキラが彼女を連れてやって来て、ぼくの部屋に居付くことになります。

2人の面倒を見られるくらいの給料はもらっているからまあいいかと。

そんなのらりくらりしたぼくの冬から夏にかけての物語です。

なんとも説明の仕様がない小説ですね。

内容がない。

ふわふわと毎日を過ごすぼくや友人たち。

このふわふわさとか曖昧さか優柔不断さは徹底されています。

主人公の名前はいっさい出てきません。

会社に勤めていますがなんの仕事か明らかでない。

毎朝決まった時間にきっちり出勤しているわけでもなさそうです。

ぼくの周りに集まってくる友人たちもブラブラしているだけの人たちです。

焦燥感などまったくなく、猫に餌をやったり競馬をしたり、のどかな毎日。

ただそれだけを書いた小説なんですね。

山あり谷ありのエンターテイメント小説もあれば、このようなただ日常を描いただけの小説もまたありなんだなと思いました。

雰囲気的には村上春樹をもっと薄くした感じですかね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ほ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月02日

「片側の未来」広瀬もりの

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千夏は21歳のOLです。

なぜかお気に入りの男性には振られ続け、今回もまた告白したものの断られてしまいました。

落ち込んで帰宅した翌朝目が覚めてみると、なんと元同僚の槇原くんが旦那様で、しかも2人の女の子の母親になっていました。

そこは6年後の世界で、その6年間の記憶がすっぽりと抜け落ちているのです。

OLからいきなり2児の母親として、専業主婦として、槇原くんの妻として、千夏はどのようにすればいいのか頭はパニック・・・・。

6年のキャリアがある夫婦でありながら、千夏にとって槇原くんはただの同僚というのがミソですね。

愛なんてないのにこれから一緒に生活していかなければならない。

新婚ものとはまた違った初々しさとかドタバタ感とかがあります。

そして懸命な槇原くんにだんだんと惹かれていく千夏の気持ちの変化が読ませどころになるのでしょうか。

この作品はエタニティ文庫の赤マークということで『一定以上の性描写あり』というカテゴリー。

夫婦ですから当然槇原くんはエッチを要求してくるわけですが、千夏にとっては昨日(6年前)までただの同僚。

そんなことをするなんて考えられないのですが、いつまでも拒否し続けるわけにもいかず。

ということでエッチなシーンも散りばめてあるのですが、フェラの描写がないのは片手落ちといわねばなりますまい。(なにがだ 笑)

まあ結局は『長身でスーツが似合い周りの奥様が羨ましがるカッコイイ旦那様の奥さんがわたしなんかでいいの?』というお決まりな謙遜ナルシズムカタルシスな話だったりするわけですが。

けっこう楽しめましたけどね。(笑)

posted by たろちゃん at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ひ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする