シリーズ第11弾です。
表題作の「勝負」では大治郎が田沼意次に谷鎌之助との試合を命じられます。
鎌之助がこの試合に勝てば牧野越中守の下へ仕官がかなうのです。
以前に牧野越中守から大治郎にその話があったのですが、大治郎は断りました。
なので牧野家に仕えるには「秋山を打ち破った者でなければならぬ」となったのです。
谷鎌之助は一刀流の使い手で、江戸中に名の知られた実力者です。
しかしそれでも大治郎の相手ではありません。
ですが小兵衛は「負けてやれ」といいます。
妻の三冬さえも「負けておやりなさいませ」と。
いくら相手に仕官の待遇がかかっているとはいえ、わざと負けるなどと相手に失礼だと大治郎は思います。
そんな中、鎌之助の義父の村田屋徳兵衛までもが百両の金を差し出し、「勝ちをゆずっていただきたい」と。
もちろん大治郎は断ります。
いよいよ試合当日を迎えるのですが・・・・。
シリーズも後半に差し掛かってきまして、いろんな意味で変化というか動きを感じますね。
まずこの表題作で大治郎と三冬のあいだに子供が生まれます。
そして小兵衛が枯れながらも湿ってきたといいますか。
以前に比べますと情にもろくなり涙もろくなってきました。
といいましても悪党どもをやっつける手際に衰えはありませんが。
このシリーズを読みましていつも思うのが、「いつまでもこの世界に浸っていたい」と。
残りは5巻です。(プラス番外編2巻)
続けざまに一気に読むのも可なのですが、そんなに早く卒業するのはもったいない。
なのでぼちぼちと読み進めています。
ラベル:時代小説