2014年06月23日

「葡萄が目にしみる」林真理子

Cimg2425

東京から急行で2時間ほどの山々に囲まれた町。

家が葡萄畑を営んでいる乃里子は高校受験を控えた中学生。

時代はグループサウンズの頃です。

見た目があまりパッとしない乃里子はクラスでも地味な存在。

ですがクラスメートの女子たちが当たり前のように女子高に進学する中、乃里子は共学の高校に進みます。

嫉妬されつつも晴れて高校生に。

生徒会役員の保坂に想いを寄せ、ラグビー部スターの岩永とはいろいろと葛藤があり。

恋愛や友情の高校生活を過ごします・・・・。

非常にピュアな青春小説です。

コバルトというか時代的にはその前の小説ジュニアを思わせる内容ですね。

誰それがすでに“経験”したという話を聞くだけでドキドキするような。

乃里子のモデルはもちろん作者自身でしょう。

この作者のすごい(というほどでもないのですが)ところは、自分が女として魅力がないということをきっちりと自覚しておられる(おられた)ということ。

しかしそれでも自惚れともいえる自意識を持っておられるということ。

客観的に自分を見つめ、赤裸々にその心理を描写する開き直りがあるということ。

そして相当な成り上がり志向と有名人やギョーカイへの憧れを包み隠さず小説に昇華しておられます。

この作品でも前半は小説ジュニアなわけですが、大学卒業後はやはりギョーカイです。(笑)

まあこれは業種は違えども作者の実際の経歴でもあるわけですが。

しかしラストに“青春時代の復讐”みたいなのがなかったのは、作者の青春時代への淡い思い入れか。

成り上がって勝ち誇ったラストにもできたわけですが、そうはしなかった。

それでいいと思います。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする