高校生で数千人のオーディションを勝ち抜き、プロのヘヴィーメタルギタリストとしてデビューした太郎。
CDを30万枚売り上げた実績があります。
しかしバンドはすぐに解散。
大学生の今は売れないギタリストと成り下がりました。
このままでは食べていけません。
他の大学生と同じく就職活動を始めます。
しかし元有名人だからといって面接で有利になるわけでもなく。
太郎は厳しい現実に突き当たります・・・・。
その時代の景気にもよりますが、なかなか厳しい就職活動。
ましてや太郎はかつて栄光を掴んでいるんですね。
ですが売れている時代に出入りしていたテレビ局の面接にもことごとく落ちます。
とにかく業種を選ばず片っ端から受けていき、すべて玉砕。
就職活動をしながらその合間に見つけた作曲のオーディションに姉の名前で応募するのですが、それさえも落ちてしまいます。
しかし面接で受かる基準てなんなんでしょうね。
普段他人に挨拶もしないような連中が面接会場の社員には「こんにちは」と元気よく挨拶する。
「わたくしは」なんて言葉を使って自分をアピールしてる。
そんな言動に胡散臭さを感じますが、やはり太郎もそのように振舞ってしまいます。
ただの学生ではなく、過去に有名人だった人物を主人公に据えるというのがいいですね。
そんな主人公に現実の厳しさをぶつける。
就活に忙しい太郎ですが毎日のギターの練習は欠かしません。
そしてギタリストとしてもう一度復活する希望も持っています。
就職という現実とギタリストという夢。
それを大げさではなくリアリティのある話運びで読ませてくれます。
なんだかんだいいつつも、主人公の生真面目さがいい。
ラベル:小説