元書店の店長が書いたエッセイです。
といいましても書店の素晴らしさを書いた内容ではなく、むしろ否定的な内容ともいえます。
もちろん著者は本が好き。
書店にアルバイトとして入り、そのまま正社員になったという経歴です。
しかし現実は厳しすぎた。
会社である以上、経営陣の方針というものがあります。
ノルマも課せられます。
給料は安く、その割りに仕事はハードで満足に休みも取れません。
万引きもあとを絶ちません。
そしてついには近所に大型店ができ、みるみるうちに売り上げが下がっていきます・・・・。
本や書店が好きなゆえに理想と現実のギャップに板ばさみされる苦悩があります。
書店員という仕事にさえ見切りをつけたくなるほどに。
これはこれで書店の店長が経験した現実なんですね。
で、巻末には何人かの書店員が文章を寄せておられます。
この本の内容をそれはそれとしつつ、でも書店員っていい仕事だよ的な内容。
そりゃまあ、まったくその通りだとも書けんし、かといって全否定するわけにもいかない。
難しいところです。(笑)
他の書店員が書かれた本も読んだことがありますが、やはり苦労はあるけれどもやりがいのある仕事ですみたいな持っていきかたなんですよね。
それに比べると本書はけっこうダークです。
どのジャンルの仕事もそうだと思いますが、決してお花畑ではありません。
このようなダークな心情を吐露した著者の決心は立派だと思います。
ラベル:本・書店