2014年08月10日

「どうで死ぬ身の一踊り」西村賢太

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大正時代に生きた作家、藤澤清造。

主人公(作者)はその生き様に共感し、藤澤に関係するあらゆる物を収集しています。

部屋の中は藤澤関連だらけ。

墓標さえ譲渡してもらい部屋に飾ってあります。

藤澤清造全集を自腹で刊行しようとしているのですが一向に進まず。

とにかく自己中心的で、同棲している女には暴力ばかりの日々です・・・・。

読んでいて同性の私からしても腹が立ってきますね。(笑)

しかし相変わらず小物ぶりが笑えます。

トイレの便座が上がっていないとか、カレーにカツを乗せているのが気に入らないとか。

そんなことで女を怒鳴り、暴力を振るってる。

その前にいろんな原因があってのことですが。

文学としてはどうなんだろうと思いますが、独特の路線を走る私小説作家であり作品ではあります。

ラベル:小説
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2014年08月08日

「セーラー服とエッフェル塔」鹿島茂

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世の中にはいろんな疑問があるわけで。

普通の人なら通り過ぎてしまうそんな疑問に執着し、仮説を立て、検証する著者。

例えばSMには『亀甲縛り』というのがあります。

なんでこんなややこしい縛り方をする必要があるのか。

自由を奪うだけなら手足を縛るだけでじゅうぶんです。

そして外人にはこんな器用な縛り方はできません。

ということで『亀甲縛りは日本独特の文化である』という仮説を立てます。

外国のSMは皮と鞭です。

ところが日本は縄や紐。

なのでSMにおいても家畜文化の外国は動物系であり、農耕文化の日本は植物系であると。

んでまあ、いろんな仮説立てつつ検証していき、たどり着いた先は『亀甲縛りのルーツは行李(結び)であろう』と。

そんな調子で『日本人というのは、なぜあれほどセーラー服が好きなのだろう』とか、『ナポレオンはなぜいつも胃のあたりに手を当てているのだろう』といった疑問に仮説を立てつつ紐解いていきます。

雑学的な面白さのある一冊です。

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2014年08月06日

「犬神家の一族」横溝正史

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暑い毎日が続きますので冷んやりしたものでも読もうと横溝正史です。

「犬神家の一族」。

信州財界の大物、犬神佐兵衛。

巨大な財を残して他界しました。

佐兵衛には腹違いの3人の娘がいます。

松子、竹子、梅子。

それぞれに息子がいます。

佐清、佐武、佐智。

娘たちの関心は佐兵衛の遺産です。

しかし遺言状には骨肉の争いを誘うかのような内容が書き記されていました。

佐兵衛の恩人であった野々宮大弐の孫娘である珠世に全財産を譲ると。

但し珠世は、佐清、佐武、佐智の3人の中から婿を選ばなければならないと。

しかし松子の息子である佐清に関しては、復員してきたものの戦争中に顔に怪我を負ったとのことで不気味なマスクを被っており、本人かどうかわかりません。

互いを牽制しあう雰囲気、そして珠世の動向。

やがて佐武が殺され、そして佐智・・・・連続殺人が始まります・・・・。

ざっくりいうとそういう内容ですが、事件を解決するのはお馴染み金田一耕助。

そして定番の連続殺人事件であります。

『斧・琴・菊』というキーワードがあるのもお約束といっていいでしょう。

んでまあ結局は犯人は誰か、そのトリックやアリバイはどうかという、古典的な推理小説です。

ラストはもちろん探偵(金田一耕助)の長演説。(笑)

水戸黄門とかが好きな人には「待ってました!」的なパターンかもしれませんが、私にとっては「はいはいはい・・・・」と。

まあこれもお約束ですのでケチつけてもなぁとは思うのですが。

でもそれはそれとして、今まで何冊か読んだ横溝作品の中ではいちばんわかりやすかったという感想です。

ただ犯人がなぁ。

無理あるんじゃないですかね。

ラベル:小説
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2014年08月04日

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭一樹

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山田なぎさは13歳の中学2年生。

パートタイマーの母と引きこもりの兄の3人家族。

ボロボロの公団住宅の1LDKに住むなぎさには自分の部屋もありません。

なので自分で生活していくのに必要な力、“実弾”を求めています。

そんななぎさのクラスに転校してきたのが海野藻屑。

自分のことをぼくと言い、人魚だと主張する変な女の子です。

父親は昔よくテレビに出ていた芸能人の海野雅愛。

ちょっと変人です。

なぜか藻屑はなぎさに付きまといます。

そして嘘ばっかり吐くのです。

ある日飼い犬が父親に鉈でバラバラにされて殺され、山に捨てられたといいます。

そんな嘘を追い詰めてやろうと、なぎさは藻屑に犬が捨てられたという場所へ案内させます。

本当の話なら証拠を見せろと。

最初は渋っていた藻屑ですが、やがて案内された場所に着いたなぎさは、鉈で割られた犬の死体を見て嘔吐します・・・・。

これ、とんでもない猟奇小説ですね。(笑)

ライトノベルで表紙も挿絵もかわいらしいですけども。

いきなり海野藻屑のバラバラ遺体が発見されたという新聞記事で始まるネタバレ的な出だし。

なので内容はそこに行き着くまでのプロセスです。

そしてびっくりしたのが、この小説を読んでいるあいだにおきた長崎県佐世保市の女子高生殺人事件。

女子高生が同級生を殺害した事件です。

なんと犯人の少女は自分のことを「ボク」と呼んでいたとか。

そして遺体の切断。

この犯人の少女、絶対にこの小説に影響を受けていますね。

それにしても思ったのは桜庭一樹という作家はオタクだなぁと。

オタクの匂いがぷんぷんする作家さんです。

ラベル:小説
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2014年08月02日

「木野評論臨時増刊 文学はなぜマンガに負けたか!?」

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「文学はなぜマンガに負けたか!?」

まさにこのタイトルがテーマであり、いろんな人たちが執筆しインタビューに答えておられます。

巻頭の対談では編集長で作家でもある鈴木隆之氏、永井豪氏、里中満智子氏、高橋源一郎氏

マンガ原作者の立場としては高橋三千綱氏や関川夏央氏。

巻末の対談では宮崎駿氏、梅原猛氏、高坂制立氏、網野善彦氏など。

錚々たるメンバーであります。

内容のすべてがこのテーマというわけではないんですけども。

しかしこのテーマについてインタビューに答え、あるいは執筆しておられるのを読みますと、皆そんなことは思ってない。(笑)

主旨が肩透かしになっている感があります。

編集の立場としては意外だったのか予想通りだったのか。

予想通りの確信犯な気もしますけどね。

なにを基準に勝ち負けを決めるのかということですが、発行部数でいえばこれはもう文学なんてマンガの足元にも及びません。

でもマンガと文学は同じ『本』という形で表現されるのでライバル視されがちですが、まったく別物です。

対比しても意味ない。

ただ最近の文学の作家はマンガの影響を受けておられるのは明らか。

よしもとばなな氏なんて少女マンガの影響がずいぶんと評論の話題になったりもしました。

そりゃマンガを読んで育ってきた世代ですから当然のことでしょう。

文学とマンガ、今後も考察されるテーマでしょうね。

posted by たろちゃん at 03:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする