2014年09月09日

「FUTON」中島京子

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デイブ・マッコーリーはアメリカの田舎町にある大学で日本文学を教えています。

日系の教え子であるエミが愛人です。

エミにはミュージシャン志望の日本からの留学生、ユウキというボーイフレンドがいます。

エミが日本に帰国したのを追いかけて講演を理由に日本にやってきたデイブ。

「ラブウェイ・鶉町店」というエミの祖父が経営する店でエミを待ち伏せするのですが・・・・。

いやあ、すごい小説ですねこれは。

話が何重にもなっています。

まずはデイブとエミの関係がメイン。

そして主人公のデイブは田山花袋を研究しており、花袋の「蒲団」を下敷きにした「蒲団の打ち直し」という小説内小説が挟まれます。

これが読ませどころといえましょうか。

そしてエミの曾祖父であるウメキチと介護をする画家のイズミとの関係。

またデイブとイズミも関わりを持ちます。

これらがなんといいますか螺旋状に絡まりまして物語が進んでいきます。

デイブ、エミ、ユウキの三角関係はもちろん「蒲団の打ち直し」の時雄、芳子、田中という三角関係に重なりますし、ウメキチ、イズミ、同居人のハナエの関係もそう。

ウメキチの回想に出てくるツタ子や米兵、キクゾウとの関係もやはり。

田山花袋の「蒲団」をベースにこのような小説を発想するというのがすごいですし、それがまた厚みのある作品として成功しています。

これが作者のデビュー作なんですから恐れ入ります。

才能なんですねぇ。

2010年に「小さいおうち」で第143回直木賞を受賞されましたが、なるほどなと納得。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月07日

「文筆生活の現場 ライフワークとしてのノンフィクション」石井政之 編著

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ノンフィクションライター12人の仕事と生活(収入)の実態です。

いろんな雑誌に記事を書いたり本を出版したり、フリーランスのライターというのはなかなか華のある仕事のように思われがち。

しかし現実は相当に厳しい。

下世話ではありますが、まず誰もが気になるのがやはり収入でしょう。

もちろんピンキリでしょうが、具体的に去年の売り上げは3,112,263円と数字を挙げておられる人もいらっしゃいます。

それが本当かどうかは確かめようがありませんけども。

朝日新聞の記者をしておられた人は、月収50万円あったのが退社後2万円になったとか。

まあとにかく厳しい。

そんな状況でなぜフリーランスのノンフィクションライターをやっているのかといえば、やはり皆さん書くことがお好きなんですね。

そしてしっかりと自分の中にテーマを持っておられる。

書かずにはいられないパッションといいますか。

やたら収入だけ見て職業やパートナーを選ぶ人が多い中、そんなのは度外視してひたすら自分の信念を貫く人たちがいます。

大変だとは思いますが、実に魅力的な人たちではないですか。

posted by たろちゃん at 04:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月05日

「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉

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宝生麗子は国立署の刑事です。

しかし実は世界に名を轟かせる『宝生グループ』のお嬢様。

ちょっとマヌケな上司、風祭警部は『風祭モータース』の御曹司。

コンビで難事件に挑みますがいつも壁にぶち当たります。

麗子には影山という執事兼運転手がいます。

難事件を相談すると慇懃無礼な口調で麗子を小馬鹿にしつつ、しかし鋭く事件の謎を解き明かしていきます・・・・。

バカミスとまでは言いませんが、まあそれに近いノリのミステリーですね。(笑)

ユーモアミステリーといいますか、文章は読みやすく笑いもあります。

通なミステリーファンは苦笑するかもしれませんが、一般読者には抵抗なく受け入れられる作品ではないでしょうか。

やや古典的でベタですが正統派の謎解き小説であるのはたしかです。

なのでミステリー入門に適した一冊ですね。

ラベル:小説
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2014年09月03日

「食い意地クン」久住昌之

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著者は「孤独のグルメ」の原作者です。

出版されたのはもう何年も前で根強いファンに支持されてきた作品ですが、最近ドラマ化もされ広く知られることとなりました。

ドラマ中ではありませんが原作者も出演しておられますね。

さて、そんな著者の食エッセイ。

といっても美食などという言葉とは程遠く、身近な食べ物に対しての執着ぶりを書いておられます。

『ねこまんま』とか『立ち食いそば』とか。

あるいは『カップヌードル』、『ナポリタン』、『納豆』、『おにぎり』、『弁当』、『カレーライス』などなど・・・・。

そうそう、こういうのがいい。

高級な幻のなんたらとかン万円のステーキなんていわれても、それはそれで羨ましく思いますが共感はありません。

やはり庶民の原点はこういう食べ物ですよね。(笑)

グルメではありませんが食い意地は人後に落ちない。

そう自負する人は多いんじゃないでしょうか。

皆が共感できる内容だと思います。

ラベル:グルメ本
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2014年09月01日

「しょーとほーぷ」西山繭子

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凜は小学4年生。

1年前にお父さんが家を出て帰ってこなくなり、母と2人で暮らしています。

お父さんは自分のことが嫌いになったんだろうかと凜は考えています。

なので家を出て行ったのかと。

ある日、塾に行く前に寄ったファストフード店で隣のテーブルに若い男の3人組が座ります。

金に困っているようで「強盗でもするか」などと冗談を話し合っています。

それを聞いた凜は思わず「私を誘拐しませんか?」と声を掛けるのです。

自分が誘拐されれば、もしお父さんが自分のことを好きだったら身代金を払ってくれるだろうと。

それを確かめたいというのです。

男3人組とその中の1人と同棲している彼女、そして凜。

5人の物語が始まります・・・・。

午後4時から真夜中0時までの“短い希望”の物語。

まさしくショートホープですね。

内容でちょっとテーマというかタイトルを強調し過ぎている感はありますけども。

とてもほのぼのとした読み心地です。

そんな中に親と子の絆、子供にはわからない大人の世界などが描かれています。

ちなみに作者の父親は作家の伊集院静氏ですが、氏への想いを込めておられるのかなと考えたりもしました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする