デイブ・マッコーリーはアメリカの田舎町にある大学で日本文学を教えています。
日系の教え子であるエミが愛人です。
エミにはミュージシャン志望の日本からの留学生、ユウキというボーイフレンドがいます。
エミが日本に帰国したのを追いかけて講演を理由に日本にやってきたデイブ。
「ラブウェイ・鶉町店」というエミの祖父が経営する店でエミを待ち伏せするのですが・・・・。
いやあ、すごい小説ですねこれは。
話が何重にもなっています。
まずはデイブとエミの関係がメイン。
そして主人公のデイブは田山花袋を研究しており、花袋の「蒲団」を下敷きにした「蒲団の打ち直し」という小説内小説が挟まれます。
これが読ませどころといえましょうか。
そしてエミの曾祖父であるウメキチと介護をする画家のイズミとの関係。
またデイブとイズミも関わりを持ちます。
これらがなんといいますか螺旋状に絡まりまして物語が進んでいきます。
デイブ、エミ、ユウキの三角関係はもちろん「蒲団の打ち直し」の時雄、芳子、田中という三角関係に重なりますし、ウメキチ、イズミ、同居人のハナエの関係もそう。
ウメキチの回想に出てくるツタ子や米兵、キクゾウとの関係もやはり。
田山花袋の「蒲団」をベースにこのような小説を発想するというのがすごいですし、それがまた厚みのある作品として成功しています。
これが作者のデビュー作なんですから恐れ入ります。
才能なんですねぇ。
2010年に「小さいおうち」で第143回直木賞を受賞されましたが、なるほどなと納得。
ラベル:小説