芥川、初期の短編集です。
やはり表題の3作はいいですね。
「羅生門」、生きる為に仕方ないんだと主張し、死人から髪の毛を抜く老婆。
それならばと下人も生きていく為に老婆の着物を剥ぎ取る。
エゴの正当化であり、しかしやむを得ないシビアな現実もあります。
ま、結局はどいつもこいつもということですが。
なんだか食物連鎖のようです。(笑)
「鼻」は鼻が異様に大きく顎の下まで垂れ下がっている内供の話。
鼻を小さくする方法を見つけてその通りになるのですが、やはり周りから笑われる。
他人というのは意地悪いものです。
「芋粥」は飽きるほど芋粥を食べてみたいと願う五位。
その願いを叶えてやろうと恐ろしいほど大量の芋粥を出され、見ただけで満腹になり、願いが叶ったどころではなくなります・・・・。
芥川は歴史に材を取った教訓的な話が多いですね。
それをビシッと決まった文章の短編で読ませる。
そして人間の寂しさのようなものを感じさせるあたり、芥川の味わい深さかと。
ラベル:小説