2015年01月21日

「いい街すし紀行」里見真三 写真・飯窪敏彦

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北海道から九州まで、25店の寿司屋を紹介しています。

カラー写真もふんだんに添えられて。

やはりどの店も地元のネタを使っておられたり、その店ならではの食材をネタにしたり。

北海道ならタラバやハッカクとか。

青森ならさすがにホヤの刺身なんて一品があります。

山形県はハタハタ。

宮城県はフカヒレ。

私の住む大阪ではフォワグラを寿司ネタにしている店もあります。

この店には私も何度か訪問して食べたことがありますけども、合うんですよね、寿司にフォワグラ。

しかしこうやっていろんな店の寿司を見ると、シンプルですが完成された料理なんだなと思います。

目で堪能できる美味しい一冊でした。

ラベル:グルメ本
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2015年01月19日

「伊豆の踊子」川端康成

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主人公は高等学校の学生で二十歳。

天城峠で旅芸人の一行と出会います。

その中にいた十四歳の踊子に主人公は惹かれ、途中まで旅を共にします。

踊子もまた無邪気に主人公を慕うようになります・・・・。

旅芸人という職業の人たちが蔑まれていたという時代背景があるわけですが、そんな中で踊子の無垢な美しさに恋心を抱き道中を一緒にするんですね。

プラトニックな恋愛を端正な筆で描いています。

ただ読みようによっては鼻持ちならないともいえます。(笑)

主人公は高等学校の学生ですが、現在でいう東京大学です。

しかも今の学生とは値打ちが違う。

茶屋の婆さんから「旦那さま」なんて呼ばれるような立場です。

片や『物乞い旅芸人村に入るべからず』なんて村の入口に立て札されているほど低く見られている旅芸人。

主人公は宿で二階から「これで柿でもおあがりなさい」などといって階下にいる旅芸人の主人に金を投げたりしている。

稼ぎもない学生の分際で。(笑)

上から目線です。

でもそんな身分差は関係なく踊子に思いを寄せる主人公。

ま、このあたりを美談として読むべきなんでしょう。

ケチを付けてしまいましたが、こういうプラトニックな恋愛も今となっては新鮮で美しいものだと思ってしまいます。

ちなみに表紙のイラストは漫画家の荒木飛呂彦。

バタくさい絵は川端とあまり合っていないように思いますが。

ラベル:小説
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2015年01月17日

「先崎学の浮いたり沈んだり」先崎学

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著者は現役の棋士です。

現在は九段でB級2組。

失礼ながらトップレベルの棋士というわけではありません。

ですがエッセイはそこそこ面白い。

将棋の世界の裏側や棋士の本音というのはなかなか一般人が知ることのないものですが、それを軽妙に綴っておられます。

まあ将棋に興味のない人にとってはさほど食指の動く内容ではないかもしれませんが。

解説で酒井順子氏が『プロ棋士より将棋の上手いエッセイストは絶対にいないと思いますが、プロエッセイストよりエッセイが上手い棋士はここにいる』と書いておられます。

なるほど。

そして著者は将棋というネタ元を持っておられるわけで。

しかしエッセイストとして棋士の泣き笑いを描くのもけっこうですが、先崎さん、本職のほうでもぜひもうひとふんばりを。(笑)

ラベル:エッセイ
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2015年01月15日

「夏天の虹 みをつくし料理帖」高田郁

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想いびとである小松原と添うことになった澪。

しかしいまだに心は揺れ動いています。

どうしても『つる家』で料理人として生きていく道を捨てきれないのです。

悩みぬいた末、澪は決心して自分の思いを小松原に伝えます・・・・。

前作の「心星ひとつ」で大きな展開を迎えたわけですが、今回はさらなる展開です。

まずは料理番付。

関脇だった『つる家』が今回は『登龍楼』と並んで大関になるかどうかということだったのですが、結果は・・・・。(冬の孔雀 滋味重湯)

そして澪の嗅覚が失くなってしまいます。

なので味も感じることができません。

これは料理人として致命的です・・・・。(一陽来復 鯛の福探し)

「夏天の虹 哀し柚べし」では又次がもう『つる家』を手伝うことができなくなります。

皆で又次を送り出すのですが、その後・・・・。

これはもう怒涛の展開でしたね。

まるでジェットコースターのよう。

いよいよシリーズも完結に近付いているとはいえ、しかしこの展開は・・・・。

澪の身に降りかかるいろいろな災難が哀れで切なくて。

泣けてしまいました。

でもラストは空に架かる大きな虹です。

澪の前途が明るくありますように。

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2015年01月13日

「ヒゲのウヰスキー誕生す」川又一英

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『ニッカウヰスキー』の創業者、竹鶴政孝。

“マッサン”としてNHKの連続テレビ小説で話題になりました。

そんな国産ウイスキーの父と呼ばれる人物の半生を描いた本です。

造り酒屋『竹鶴酒造』の三男として生まれましたが、ウイスキー造りを志し大阪の『摂津酒精醸造所』に就職します。

しかし当時の国産ウイスキーは模造品です。

摂津酒造社長の阿部喜兵衛は本格的なウイスキーを日本でも作ろうと、竹鶴をスコットランドに留学させます。

本場のウイスキー造りを学び現地で知り合ったリタを妻にして2年後に帰国したものの、戦後の恐慌に伴いその時の『摂津酒精醸造所』には本格ウイスキーに設備投資する余裕がありませんでした。

ウイスキーを造ることができないのならこの会社にいても意味ありません。

阿部に恩を感じながらも竹鶴は『摂津酒精醸造所』を退社、中学校で化学を教えながら浪人生活を送っていましたが、1年後同じく国産ウイスキーの生産を考えていた『寿屋』(現サントリー)の鳥居信治郎に声をかけられウイスキー製造の責任者として迎えられます。

ですが会社の事情でビール造りの責任者も兼任させられ、鳥居との考えの違いもあり10年ほどいた『寿屋』を退社。

竹鶴はいよいよ自分で会社を作ろうと決心し、北海道は余市に『大日本果汁株式会社』を設立します。

いきなりウイスキーに特化するには資金や製造体制の上でも力不足なのでジュースの製造会社としてスタートし、ジュースを売りつつじっくりとウイスキーの原酒を育てていくという考えです。

この『大日本果汁株式会社』を略して『日果』、つまり『ニッカウヰスキー』という社名の由来となります・・・・。

しかし昔の人のバイタリティや情熱というのはすごいですね。

今のように気軽に海外に行ける時代とは違い、大正時代に海外に留学するなんて相当な決心だったと思います。

だからこその偉人であるわけですが。

竹鶴のウイスキーに懸ける思いもそうですが、結婚して日本で暮らし日本人になりきろうとして竹鶴を支えた妻のリタも素晴らしい。

どれほど竹鶴はリタに感謝したことでしょう。

現在ではごく当たり前のように品質のいい国産ウイスキーを楽しめるわけですが、このような人物の功績に敬意を払いつつ、思いを馳せて味わわなければなりませんね。

posted by たろちゃん at 03:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする