2015年01月07日

「夢を与える」綿矢りさ

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フランス人と日本人のハーフの父親と日本人の母親のあいだに生まれた夕子。

そのかわいさで幼稚園の頃からチャイルドモデルをすることになります。

最初は通販カタログのモデルなどでしたが、転機は食品会社のチーズのCMです。

1年に2回新しいCMを撮り、半永久的に夕子の成長を撮り続けるというコンセプト。

ただし契約時の条件が会社のイメージを損ねるようなスキャンダルは絶対に起こさないということ。

マネージャー役の母親は固く約束し、仕事を引き受けます。

このCMで夕子は“ゆうちゃん”として親しまれ、ブレイクすることになります。

やがて高校生になった夕子は無名のダンサーに恋をします。

周りの反対を押し切って付き合い始めるのですが・・・・。

国民的なアイドルとなった少女の栄光、そして一気に崩れ落ちていく悲惨な姿を描いています。

アイドルといえどもやはりひとりの女の子ですし、所詮は子供です。

大人のビジネスの世界で無垢な心だけではやっていけません。

主人公の痛々しさが切ない。

綿矢氏の作品を読むのはこれで4冊めですが、今までの中ではいちばんよかったです。

主人公は「夢を与える」という言葉に違和感を持ち、そのおこがましさについて作中でも触れています。

これはそのまま作者の考えであり、そのあたりの感性はさすがだなと思いました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 『わ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする