2015年02月08日

「黄色いリボン」有吉玉青

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OL4年目の風子は自分を擦り減らすような毎日に疑問を抱き、なにかをやれるような自分になりたいとボストンの大学院に留学します。

しかし現実は厳しい。

ひたすら学校と寮の往復で街は色彩を失い、試験には失敗して単位も取れず。

いったいなにしに自分は留学したのか。

自分を見失いそうになる中、テレビでイラクがクウェートに侵攻したというニュースが流れます。

ブッシュ大統領はサウジに軍隊を派遣し、湾岸戦争が始まります。

出征兵の無事を祈って街には黄色いリボンが溢れるのですが、戦争の当事者であるこの国も風子の日常もなんら変わりありません。

テレビでは毎日空爆の映像が流されています。

しかしまったくリアリティがない。

この国は本当に現在戦争をやっているのか。

風子はそんな状況と自分の居場所に非現実感と戸惑いを抱きます・・・・。

作者のデビュー作です。

外国に留学するという日本での日常から脱した状況にこれまた湾岸戦争という一般人には現実感のない出来事を重ね、主人公の彷徨う心理を描いているわけですが。

実際のご自身の経験からこれを小説にしようと筆を取られたそうですが、ちょっとベタすぎましたかね。

タイトルにしてもそう。

小説としてはもう少し練って発酵させないと味わいが出ないのではと思います。

しかしこれはこれで作者にとっては書いておくべき作品であったでしょう。

デビュー作ならではの思いのこもった若々しさといえましょうか。

ラベル:小説
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2015年02月06日

「化学探偵Mr.キュリー」喜多喜久

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七瀬舞衣は2週間前から四宮大学の庶務課に勤める社会人1年生です。

庶務課の今年度の目標として『学生のモラル向上の実施』というのが掲げられ、モラル向上委員に任命されたのは理学部化学科のMr.キュリーこと沖野春彦准教授。

舞衣は沖野に協力することになります。

まず第一の事件が最近キャンパスのあちこちに穴が掘られるという出来事。

今回は農学部応用生命化学科の畑が掘り返され、しかも埋蔵金の在り処を示したメモが現場に残されていたというのですが・・・・。

まずタイトルですが、明らかに「探偵ガリレオ」のパクリですよね。(笑)

2匹目のどじょう狙いといいますか。

ただガリレオは未読なので内容の比較はできませんけども。

こういうのって他にもありますね。

「ビブリア古書堂の事件手帖」が当たったとなれば、その後どどどっと類似の作品が出てくる。

舞台を喫茶店にしてみたり画廊にしてみたり、その他いろいろ。

出版社は商売ですからまあわかりますが、作家としてどうなのよと思います。

それはともかく。

これは5話が収められた連作短編集ですが、すべてMr.キュリーこと沖野が化学の知識を駆使して事件を解決するという内容です。

第一話の埋蔵金云々にはずっこけましたが、しかし読み進めるとなかなか面白い。

第二話の「化学探偵と奇跡の治療法」なんてホメオパシーという治療法を取り上げ、「何の根拠もないおまじない」とぶった切っておられます。

化学者の面目躍如といったところでしょう。

設定としては探偵と若い女性の助手というひとつのパターンを踏襲しています。

この掛け合いがステレオタイプではありますが、いいんですよね。

七瀬舞衣のキャラがいい。

ただ沖野の気持ちが舞衣に早く接近しすぎ。

続編を出せるか出せないかの状況で作者としては気が焦ったのかもしれませんが、こういうのはじっくりいきませんとね。

しかし中公文庫がこんな本を出すんですねぇ。

商売商売。(笑)

ラベル:小説
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2015年02月04日

「マンガホニャララ」ブルボン小林

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マンガについての評論といいますかコラムといいますか。

週刊文春やらなんやらに連載していたものをまとめた本です。

内容についてはなんとも紹介のしようがないのですが。

しかしいろんなマンガをよく読んでおられますねぇ。

いちばん最初に紹介されている読売新聞の『課長 島耕作』が社長に就任したという記事には笑いました。

いや、笑うところじゃないか。

たしかにありましたね、そういうことが。

それほどマンガというのは大きな影響力のあるメディアなんですよね。

昔は『あしたのジョー』で力石徹が死んで葬式が行われたというのもありましたし。

巻末にはピエール滝との対談、そして『ドラえもん』のスネ夫自慢148連発なんてどうでもいいような(失礼)表まで掲載されています。

ちなみに著者のブルボン小林氏は芥川賞作家の長嶋有氏です。

ラベル:漫画本
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2015年02月02日

「書店ガール2 最強のふたり」碧野圭

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吉祥寺の老舗書店ペガサス書房の閉鎖により、同じ吉祥寺に新規オープンした大型の新興堂書店に転職した西岡理子と小幡亜紀。

理子は店長という立場で、亜紀は文芸書の担当です。

亜紀が仕掛けた本が本屋大賞を受賞し、プレゼンテターにも選ばれます。

その授賞式で亜紀が倒れたとの知らせが現場に同席していた副店長の田代から理子に届きます。

慌てて駆けつけた理子ですが、その原因は亜紀の妊娠でした。

めでたい話ではあるのですが、文芸書の担当者として仕事が面白くなり名の知られた書店員になりつつある亜紀にとって、妊娠により現場から離れることに不安があります。

しかも漫画誌の編集長である夫や姑は子供が生まれれば母親はずっとそばにいてあげるべきという考え。

夫と衝突しつつ、しかもそんな中で夫の仕事にも大きなトラブルがあります・・・・。

この話がまずは前半の山ですね。

そして後半では産休に入る前に亜紀がフェアを仕掛けたいと言います。

新興堂書店が入居しているマルシェ吉祥寺の広場を使ってなにかできないかと。

ちょっとノリが軽いなと思う理子ですが、理子や亜紀と同じくペガサス書店を退職し現在は新興堂書店の近くの小さな書店に勤める尾崎と会います。

その尾崎の店が新興堂書店のせいで売り上げが落ちて閉店するというのです。

しかも尾崎は他の店に移ることなく書店員を辞めると。

心を痛める理子はそんな尾崎と書店員として最後に一緒に仕事をしたいと、亜紀の提案を膨らませてなんとか実現させようと動きます・・・・。

前作に引き続いて書店員という仕事を熱く描いていますね。

亜紀のエピソードにより女性の仕事と家庭というテーマも扱っておられます。

今回は田代という男性の副店長が登場し、理子の恋心もちらりと。

これは既婚者の亜紀と違って仕事に生きる独身女性の心の揺れです。

そんな味付けをしながら、イベントの成功に向かって話が進んでいく。

困難を乗り越えての主人公たちの活躍に、パターンだなと思いながらもしっかりと感動しました。(笑)

パート3もぜひ読みたいと思います。

ラベル:小説 本・書店
posted by たろちゃん at 06:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする