七瀬舞衣は2週間前から四宮大学の庶務課に勤める社会人1年生です。
庶務課の今年度の目標として『学生のモラル向上の実施』というのが掲げられ、モラル向上委員に任命されたのは理学部化学科のMr.キュリーこと沖野春彦准教授。
舞衣は沖野に協力することになります。
まず第一の事件が最近キャンパスのあちこちに穴が掘られるという出来事。
今回は農学部応用生命化学科の畑が掘り返され、しかも埋蔵金の在り処を示したメモが現場に残されていたというのですが・・・・。
まずタイトルですが、明らかに「探偵ガリレオ」のパクリですよね。(笑)
2匹目のどじょう狙いといいますか。
ただガリレオは未読なので内容の比較はできませんけども。
こういうのって他にもありますね。
「ビブリア古書堂の事件手帖」が当たったとなれば、その後どどどっと類似の作品が出てくる。
舞台を喫茶店にしてみたり画廊にしてみたり、その他いろいろ。
出版社は商売ですからまあわかりますが、作家としてどうなのよと思います。
それはともかく。
これは5話が収められた連作短編集ですが、すべてMr.キュリーこと沖野が化学の知識を駆使して事件を解決するという内容です。
第一話の埋蔵金云々にはずっこけましたが、しかし読み進めるとなかなか面白い。
第二話の「化学探偵と奇跡の治療法」なんてホメオパシーという治療法を取り上げ、「何の根拠もないおまじない」とぶった切っておられます。
化学者の面目躍如といったところでしょう。
設定としては探偵と若い女性の助手というひとつのパターンを踏襲しています。
この掛け合いがステレオタイプではありますが、いいんですよね。
七瀬舞衣のキャラがいい。
ただ沖野の気持ちが舞衣に早く接近しすぎ。
続編を出せるか出せないかの状況で作者としては気が焦ったのかもしれませんが、こういうのはじっくりいきませんとね。
しかし中公文庫がこんな本を出すんですねぇ。
商売商売。(笑)