2015年03月10日

「神様のラーメン」多紀ヒカル

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勝間はラーメンの食べ歩きが趣味のサラリーマン。

社員の母親が亡くなったということで、山陰の田舎まで葬式に出るよう課長に命令されます。

横浜から飛行機と山陰線を乗り継いで到着するのですが、2時間ほど早く着いてしまいました。

くたびれた田舎町ですが駅前に食堂があり、勝間はそこでラーメンを食べることにします。

普通のラーメンを注文しているのにひたすらキノコラーメンを食べさせようとする店のおやじ。

結局キノコラーメンを食べさせられるはめになるのですが、これが実に美味しいラーメンでした。

しかし注文時のいきさつもあり素直に美味しいとは言えず、いろいろと意見してしまいます。

それがきっかけでとんでもない展開に・・・・。

表題作を含めて6編が収録されているグルメ小説集。

作者は73歳で作家デビューされたとのこと。

すごいですね。

いくつになっても何かを追いかけること、夢を持つことは必要だなと思えます。

それはそれとして、小説のレベルとしては素人以上プロ未満といったところでしょうか。

あとがきに青春時代から「ドタバタナンセンス小説やノンリアル小説を書きたい」という願望があったと書いておられます。

そもそも小説というのはなんでもありですし、作者の言うドタバタナンセンスやノンリアルとなるとなおさらなわけですが、だからといってどこに着地してもいいというわけではない。

要は広げた風呂敷のたたみ方ですよね。

表題作のラストは、私は白けた気分で「ふーん」と読みました。

他の作品もグルメを絡ませるのに無理を感じます。

仕事柄世界各国の食を経験され、それを活かして小説にということなのでしょうけど、話とグルメが乳化していないんですよね。

もっとグルメに特化するか、もしくはまったくグルメから離れた作品をお書きになってもいいのではと思いました。

ラベル:グルメ本 小説
posted by たろちゃん at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月08日

「ニューヨーク料理修行!」安藤幸代

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著者はフリーのアナウンサー。

30歳を過ぎて語学習得のためニューヨークに留学することにします。

プロゴルファーの宮里藍選手のアメリカ女子プロゴルフツアーに同行し密着取材をしていたということもあり、著者にとってアメリカは親近感のある国です。

なので留学ということで真っ先に浮かんだ街が大好きなニューヨーク。

ですが途中で料理留学に進路変更。

言葉もままならない中、ベジタリアン専門の料理学校で学ぶことに・・・・。

誰しも学校を卒業して社会人となり、何年かしてから自分の人生これでいいんだろうかなんて考えることがあるんじゃないでしょうか。

現在の仕事が思っていたのとは違ったり、あるいはやり残したことがいつまでも尾を引いたり。

著者は海外留学という夢を持っておられたそうですが、30歳を過ぎて一念発起、海外留学を実行されるんですね。

立派だと思います。

そして語学を習得するためにはその国の文化を知る必要があると。

ならば食文化だと食いしん坊を自認する著者は、料理の世界に飛び込むわけです。

料理学校での1年間をたいへん生き生きと描いておられます。

もちろんいろんな苦労も含んでのことですが。

ベテランの有名料理人たちも海外での修行時代を綴ったいろんな本を出しておられますが、それらとはまた違った魅力のある一冊だと思います。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月06日

「パトロネ」藤野可織

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妹が『私』と同じ大学に入学し、『私』のワンルームマンションに同居することになります。

そして写真部に入った妹を追いかけるように『私』も入部します。

にもかかわらず『私』を無視し続ける妹。

『私』は皮膚炎を患い、変な医者に通うのですが一向によくなりません。

やがて妹は部屋を出て行き、知らない少女が住み着きます・・・・。

この作家の作品は初めて読んだのですが、こんなシュールな作風だったんですね。

現実の世界がだんだんと非現実的な世界に覆われていきます。

解説で星野智幸氏が“ざらつき”と“つるつる”の対置ということを書いておられます。

「ああ、そうなのか」と。

まったく読めませんでした。

全然修行が足りませんね。

タイトルの「パトロネ」も読む前はパトロンのことなのかなと思ってましたし。(笑)

私としては併録されている「いけにえ」のほうが面白く読めました。

地味な美術館の常設展示室の一画にある小部屋。

鉛筆画の画家の展示室なのですが、そこに悪魔のような小さな生き物が現れて。

その悪魔目当てにボランティアで監視員を引き受けた主婦・・・・。

これもやはりシュールであり、そしてちょっとブラック。

現実に非現実が紛れ込んでくるというのは表題作と同じですね。

どちらも見た目は穏やかな水面なんですけども、その下にはちょっとした濁流があるみたいな。

それを淡々と描いておられるように思います。

ラベル:小説
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2015年03月04日

「悪趣味の本」別冊宝島編集部 編

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なにをもって悪趣味というのか。

大方の人が顔をしかめるようなことですかね。

でもそんな世界にもやはり人はいるわけで。

この本ではさまざまな悪趣味を取り上げています。

なんと最初に悪趣味として紹介されているのが蛭子能収氏。

漫画家でありタレントでもあり、年収は1億円を超えるといわれています。

同じく漫画家の根本敬氏によれば、彼の存在そのものが悪趣味であると。(笑)

現在の倫理において昔のように小人や奇形児を見世物にするわけにはいかないので、代わりにあの変なおっさんを出しているのだと。

たしかに彼の言動はぶっ飛んでおり、常軌を逸しています。(このあたりのエピソードはネットで検索しても出てきます)

この本によると関わった人も多数死んでいるようです。

その他登場する人物としては、佐川一政とか小人プロレスの人とか。

ジャンルでいえば、ホモ、ちょんの間、寄生虫、エログロ、などなど・・・・。

常識人を自認する人たちはそれらに顔をしかめるかもしれませんが、でもその世界を真剣に研究したりそれを職業にして生活している人もいるわけで。

しかしこのようなジャンルにこそ人間の本音といいますか正体といいますか真理といいますか。

そういうのが生々しく垣間見えるのですね。

誰もが自分の中に悪趣味の一つや二つ抱えているんじゃないでしょうか。

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2015年03月02日

「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」藤谷治

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全身タトゥーだらけの由果は三十路。

まわりにはヘンな連中が集まっています。

恋人の健次、路上で弾き語りをしている京一、その京一の追っかけで金持ちのお嬢様千石さん、芸術的な車の運転をする浩一郎。

皆おなじ会社の仲間です。

毎日千石さんのベンツV230で一緒に出勤しているのですが、その車の中でバカ話を披露し、爆笑するのが習慣となっています。

そんな日常にタトゥーフェチの野茂部長が絡んできて、話はややこしいことに・・・・。

う~ん。

どうも私は話に乗れませんでしたね。

面白くない若手漫才師の漫才を聞かされているようで。

はしゃぎ具合が痛々しい。

そして物語の仕掛けとして、語り手である『ぼく』って誰なんだという疑問が浮かぶようになっています。

冒頭に伏線が張られておりメタフィクション的な手法ではありますが、でも『ぼく』の視点がブレてないですか?

やたら洋楽の歌詞の引用があるのもなんだかなぁ。

クサイ。

私にとってはすべてが空回りのように思えたのですが、それはつまり私には合わない小説だったということでしょう。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ふ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする