勝間はラーメンの食べ歩きが趣味のサラリーマン。
社員の母親が亡くなったということで、山陰の田舎まで葬式に出るよう課長に命令されます。
横浜から飛行機と山陰線を乗り継いで到着するのですが、2時間ほど早く着いてしまいました。
くたびれた田舎町ですが駅前に食堂があり、勝間はそこでラーメンを食べることにします。
普通のラーメンを注文しているのにひたすらキノコラーメンを食べさせようとする店のおやじ。
結局キノコラーメンを食べさせられるはめになるのですが、これが実に美味しいラーメンでした。
しかし注文時のいきさつもあり素直に美味しいとは言えず、いろいろと意見してしまいます。
それがきっかけでとんでもない展開に・・・・。
表題作を含めて6編が収録されているグルメ小説集。
作者は73歳で作家デビューされたとのこと。
すごいですね。
いくつになっても何かを追いかけること、夢を持つことは必要だなと思えます。
それはそれとして、小説のレベルとしては素人以上プロ未満といったところでしょうか。
あとがきに青春時代から「ドタバタナンセンス小説やノンリアル小説を書きたい」という願望があったと書いておられます。
そもそも小説というのはなんでもありですし、作者の言うドタバタナンセンスやノンリアルとなるとなおさらなわけですが、だからといってどこに着地してもいいというわけではない。
要は広げた風呂敷のたたみ方ですよね。
表題作のラストは、私は白けた気分で「ふーん」と読みました。
他の作品もグルメを絡ませるのに無理を感じます。
仕事柄世界各国の食を経験され、それを活かして小説にということなのでしょうけど、話とグルメが乳化していないんですよね。
もっとグルメに特化するか、もしくはまったくグルメから離れた作品をお書きになってもいいのではと思いました。