2015年04月21日

「いかりや長介という生き方」いかりや浩一

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「8時だョ!全員集合」という番組で大活躍したザ・ドリフターズ。

そのザ・ドリフターズを長年リーダーとして引っぱってきたのがいかりや長介です。

もともとはミュージシャン。

そしてコメディアンとなり、晩年は俳優として渋い演技で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞に輝くまでになります。

しかしその後突然余命の告知を受け、闘病生活が始まります・・・・。

著者はいかりや長介氏の長男です。

息子から見ていかりや長介はどのような人物だったのか。

妻との死別や3度の結婚、父親として息子へ見せる生き様。

孫ができたときのかわいがりよう。

非常に厳しいところがあった反面、とても優しい人でもありました。

そんな魅力が実にしっかりと描かれているんですね。

いい一冊でした。

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2015年04月19日

「文人悪食」嵐山光三郎

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近代文学の文人たちは食についてどのようなスタンスでいたのか。

作品の中で書かれている食や、あるいは伝えられているエピソードなどから、それぞれの文人が物を食べるということにどのように向き合っていたのかを検証した一冊です。

さすがに文人という人たちは食べることについてもこだわりを持っています。

正岡子規なんて壮絶ですね。

かなりの大食であり、死を間近にした病床においてさえ食べることが苦痛でありながもひたすら餓鬼のように食べ続けます。

すさまじい執念です。

夏目漱石も死ぬ直前に「なにか食いたい」と言ったとか。

いやはや。

檀一雄のように『檀流クッキング』なんて料理本まで出している人もいますね。

これはエッセイであり料理のレシピ本でもあります。

腕前もプロ並みだったようで。

さて、本書で紹介されている文人は37人。

錚々たる顔ぶれです。

それぞれのエピソードをたっぷりと楽しめます。

食に対しての姿勢はやはりその文人のイメージと重なる気がします。

ちなみにタイトル悪食という言葉が使われていますが、ゲテモノ食いな人たちということではありません。

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2015年04月17日

「マラケシュ心中」中山可穂

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最近歌壇で注目されている緒川絢彦は35歳。

男性の名前ですが実は女性です。

それを知るのは歌壇でもごく一部の人間だけ。

絢彦は歌会でファンだという30歳の小川泉と出逢います。

泉は絢彦が女性だとは知らずに出逢うわけですが、絢彦が実は女性だとわかっても落胆することなく見つめてきます。

そんな泉に心を奪われる絢彦ですが、泉は人妻であり、その夫というのが絢彦の恩師であり歌壇の重鎮でもある小川薫風なのです。

泉への想いはつのる一方なのですが、そんな気持ちに気付いた周りからはさすがに反対されます。

理性では叶わぬ恋であり手を出してはいけない相手であると知りつつも、絢彦は想いを抑えきれません。

自身の性癖を告白し、自分を愛してはくれないのですかと泉に迫るのですが、セックスを伴う愛ならそれは受け入れられないと拒否されてしまいます。

だからといって泉をあきらめることなどできない絢彦は激しく葛藤します・・・・。

いやもう。

いつも同じ感想になってしまうのですが、熱く激しいですね、中山可穂の作品は。

以前にも書いたと思うのですが、スタートからトップギアで全開です。

「感情教育」を読んだときこれが中山氏の到達点だと思いましたが、本作を読みますとまだまだなんのそのといった感じですね。

報われない恋に懊悩する絢彦の泉に対しての言葉『生殺しよりは即死を』なんて、これ凄まじ過ぎます。

中山氏の描く世界はいつも女性同士の恋愛です。

それゆえになんでしょうか、男女の恋愛を描いたそこらの小説よりもよほどその想いはピュアで情熱的です。

じゅうぶんな読み応えに堪能し、その緊張感から解放された読後はちょっと腑抜けになってしまうほど。(笑)

寡作な作家さんですが、ぜひぜひこれからも追いかけていきます。

ラベル:小説
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2015年04月15日

「和食の知られざる世界」辻芳樹

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現在は海外でも和食が人気のようです。

その理由にヘルシーというのがまず挙げられますが、しかし最近はラーメンなんかも人気のようですね。

ただラーメンはともかくとしまして、和食がはたしてちゃんとした形で海外に広まっているのかという問題があります。

日本人からすれば「こんなのは和食じゃない」というような料理が平気で和食としてまかり通っていたりする。

著者はそこに懸念を持っておられるんですね。

じゃあどこからどこまでが和食なんだという話になります。

ただ日本人自体、外国の料理を取り入れて自分の国の料理とするのが得意な民族です。

一般的なカレーライスやとんかつなんて完全に日本流にアレンジされた料理ですよね。

外国人からすれば和食でしょう。

そして本格的な和食店にも外国料理の技術や素材が取り込まれています。

線引きは難しい。

本書では海外における和食事情や日本国内の和食店の現状を取り上げ、これから和食はどういう方向に進んでいくのかということを検証しておられます。

そして辻調グループの代表としてなにができるのか。

そのひとつのベクトルとしてデイヴィッド・ブーレイというニューヨークのトップシェフと手を組んで、「Brushstroke(ブラッシュストローク)」という和食店を2011年にニューヨークにオープンさせました。

今後、和食はどのように進化していくのでしょう。

伝統的な和食が海外からの脚色された和食に席巻されてしまう可能性もあります。

寿司でいえばカリフォルニアロール的な。

回転寿司ではすでに昔ながらの寿司の面影なんてないですからね。

寿司飯の上に焼肉やハンバーグが乗っていたりします。

日常的に本格的な和食(高級という意味ではありません)を知らない世代が料理人になっていくわけですから、数十年後には一部の料理でずいぶんと違ったものになっているかもしれません。

なので著者が代表をしておられる料理学校で、きっちりと昔ながらの和食を教育して伝統を維持していただきたいと願います。

ラベル:グルメ本
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2015年04月13日

「剣客商売 十番斬り」池波正太郎

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シリーズ第12弾。

表題作は「十番斬り」。

秋山小兵衛が友人で町医者の小川宗哲宅を訪れると、宗哲は診察中でした。

もろ肌を脱いだその患者の体を見た小兵衛は、ずいぶんと武芸の修行を積んだらしいと見抜きます。

しかし余命は長くないだろうと、小兵衛は宗哲と同じ見立てです。

死病に冒されているその患者、村松太九蔵は自分でもそのことをわかっています。

あの世に旅立つのを静かに待っているつもりだったのですが、何やら思い立ったことがあり、いま少し生きたいと宗哲を訪ねてきたのです。

その理由とは・・・・。

「逃げる人」では小兵衛の息・大治郎が主役。

夕暮れの蕎麦屋で酒を楽しむことも覚え、だんだんと小兵衛に似てきています。

わけありの老人と知り合ったのですが、思わぬ問題を抱え込むことになり・・・・。

いつもながらどの話も味わい深い。

孫の小太郎は数えで2歳となっています。

当たり前のことですが巻を追うごとに皆が少しずつ歳を取り、成長していってるんですね。

いよいよシリーズも終わりに近付いてきました。

楽しみであり寂しくもあり・・・・。

残りをゆっくりと読んでいきたいと思います。

ラベル:時代小説
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