2015年06月29日

6月の一冊

今月の読書は14冊でした。

・「あまからカルテット」柚木麻子
・「食通に献げる本」山本容朗
・「ホルモー六景」万城目学
・「百魚百味」岩満重孝
・「お父ちゃんのゲゲゲな毎日」水木悦子
・「学園のパーシモン」井上荒野
・「暴力団」溝口敦
・「剣ヶ崎・白い罌粟」立原正秋
・「唇のあとに続くすべてのこと」永井するみ
・「世界屠畜紀行 THE WORLD'S SLAUGHTERHOUSE TOUR」内澤旬子
・「その女アレックス」ピエール・ルメートル
・「文士の魂・文士の生魑魅」車谷長吉
・「二度はゆけぬ町の地図」西村賢太
・「アジア怪食紀行 「発酵仮面」は今日も行く」小泉武夫

「あまからカルテット」、話に食べ物を絡ませた女性の友情や恋や仕事のストーリー。

素人探偵物といった趣もあります。

「食通に献げる本」、いろんな作家や文化人が書いた食エッセイのオムニバス。

この一冊で何人もの作品が読めてお得。(笑)

「ホルモー六景」、「鴨川ホルモー」の番外編。

まずは前作を読んでからどうぞ。

「百魚百味」、著者が日本全国を旅しての食エッセイ。

タイトルどおり魚に特化した内容です。

「お父ちゃんのゲゲゲな毎日」、漫画家水木しげる氏の日常を娘さんが書いておられます。

憎めないキャラですねぇ、水木氏。

「学園のパーシモン」、ちょっとオカルトとか都市伝説のようなものが入った暗い雰囲気の学園小説。

出来としては、う~ん、どうですかね。

「暴力団」、このジャンルでは第一人者ではないかと思われる著者による新書。

とてもわかりやすく解説されています。

「剣ヶ崎・白い罌粟」、短編集ですが私はやはり「白い罌粟」がよかった。

ちょっと他の作品とは雰囲気が違いましたが。

「唇のあとに続くすべてのこと」、主人公が過去に不倫していた上司が事故死。

だんだんと主人公に捜査の手が近付いてくるのですが・・・・上手く作者に捻られましたかね。

「世界屠畜紀行 THE WORLD'S SLAUGHTERHOUSE TOUR」、屠畜というあまり一般にはよく知られない世界のルポタージュ。

著者のスタンスがいい。

「その女アレックス」、誘拐監禁された被害者である女が実は・・・・という小説。

翻訳物にありがちな鬱陶しい言い回しもほとんどなく読みやすかったです。

「文士の魂・文士の生魑魅」、先日亡くなられた車谷長吉氏の書評集。

氏らしい書評だと思います。

「二度はゆけぬ町の地図」、私小説作家西村賢太の短編集。

でも氏の小説って私小説というよりもしっかりとエンターテイメントしていますよね。

「アジア怪食紀行 「発酵仮面」は今日も行く」、アジア各国を食べ歩き、もちろん内容はタイトルにあるとおり怪食です。

美食などという気取った所から対極におられるスタンスがいい。

では今月の一冊をば。

しかし決定的にこれというのがなかったですね。

う~ん、そのジャンルや内容の希少性ということにおいて「世界屠畜紀行 THE WORLD'S SLAUGHTERHOUSE TOUR」が収穫と言えましょうか。

今月の一冊はこの作品を選びます。

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posted by たろちゃん at 03:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月27日

「アジア怪食紀行 「発酵仮面」は今日も行く」小泉武夫

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味覚人飛行物体、ジュラルミンの胃袋、そして発酵仮面とも呼ばれる小泉センセイ。

この本ではアジア各地の珍味、そして酒を存分に楽しみ紹介しておられます。

例えばラオスではカイ・ルゥク、石ガメ、カエル、ヘビ、ネズミ、なんだかよくわからない虫。

ベトナムではイエトカゲ、ナマズ、そしてもちろん発酵食品としてニョク・マムですね。

韓国ではホンオ・フェ。

ウイグルでは砂漠でたくさんの砂トカゲを発見し、捕まえて食べておられます。

その他いろいろ・・・・。

いやまあ、とにかく土地のものを食べる食べる。

そして土地の人と仲良くなり、食べつつ飲む飲む。(笑)

この本を読んでいますと紹介されているそれらの料理が実に美味しそうに感じられ、例えば虫なんかでもスナック感覚で食べられそうな気がしてきます。

私も食にはかなり興味のあるほうなので食べてみたいなぁとは思うのですが、いざそれらの料理を目の前に出されるとどうだか。

ただラオスの項で紹介されているカイ・ルゥク、これはぜひ一度と思っています。

ベトナムではホビロン、タイではバロットと呼ばれている食べ物です。

孵化直前のアヒルのゆで卵ですね。

興味あります。

それはともかく、小泉センセイの著書は読んでいて楽しいです。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月25日

「二度はゆけぬ町の地図」西村賢太

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短編4編収録。

主人公はお馴染み北町貫多です。

「貧窶の沼」では三畳のアパートの家賃がまともに払えません。

中卒で17歳の貫多はなかなかまともな仕事にありつけず、どうにか酒屋のアルバイトをみつけます。

しかしそこでも自己中心ぶりを発揮し、彼女にも愛想を尽かされ・・・・。

「春は青いバスに乗って」は爽やかなタイトルですが、相変わらず短気な貫多はバイト先の居酒屋の主任に暴力を振るい、12日間留置場で過ごすことになってしまいます。

しかしそんな生活も悪くはないなと思ってみたり。

「潰走」は老夫婦が経営するアパートの家賃をさんざん滞納し、あげくのはては夜逃げして踏み倒し。

しかしその後訪問販売のアルバイトをしているときに・・・・。

最後の「腋臭風呂」はタイトルがすごいですね。(笑)

いつも通う銭湯でたびたび腋臭の持ち主と遭遇し不快に思うという話なのですが、話は20年後に移ります。

呼んだデリヘル嬢が強力な腋臭でしかもマン臭であったということで、20年前の腋臭風呂の思い出に重ねます。

そこに話が着地するかと。(笑)

どの作品も相変わらずわがままで短気で貧乏で情けない主人公の姿を描いています。

でもそれが滑稽でどこか憎めないんですよね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月23日

「文士の魂・文士の生魑魅」車谷長吉

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小説を書く人のことを作家や小説家という以外に文士という呼び方をすることがありますけども、そのような呼び方がふさわしい人はそうそういません。

車谷長吉という人は数少ない文士だったと思います。

そんな著者は今までどのような小説を読んできたのか。

どのような文士を評価したのか。

たいへん興味深いところです。

この本ではいろんなジャンルからそれぞれ数冊を取り上げ、その作品を初めて読んだときの自身の境遇や作品から受けた印象などを述べておられます。

といっても本屋大賞系のような作品はもちろん皆無ですが。

いかにも著者らしい選択と評価です。

しかしお亡くなりになったのはたいへん残念。

またひとり文士がいなくなってしまいました。

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 03:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 『く』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月21日

「その女アレックス」ピエール・ルメートル

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中年男に誘拐されたアレックス。

廃墟ビルに連れ込まれ、前かがみになり膝をかかえて丸くなっているしかない身動きできない状態で格子状の木箱に裸で押し込められ、天井から吊るされます。

なぜわたしなのか。

男は言います。

「おまえがくたばるのを見たいからだ」

一方、アレックスが車に押し込められ拉致されたのを目撃した人物がおり、通報によって警察が動きます。

指揮を執るのは身長145センチのカミーユ・ヴェルーヴェン警部。

以前に妻を誘拐され殺害されたトラウマを持っています。

しかし警察の捜査はまったくはかどりません。

その間、アレックスは糞尿垂れ流しの状態でどんどん衰弱していきます。

やがてネズミが檻の周りに集まりだし、アレックスの命を脅かします・・・・。

ここまでが序章なんですね。

なぜアレックスがこのような目に合わなければならないのか、誘拐した中年男は何者なのか。

読み進めていきますとアレックスが単なるそこらの女性であり被害者ではないことが明らかになってきます。

被害者のアレックスが実は・・・・ということで、ぐわっと立ち上がってくるんです。

この展開はすごいですね。

なんといいますか、何度も右に左にハンドル切って大きく方向転換し、読者を揺さぶってくれます。

ただ、ラストに関しましては私はそれは違うやろと思いました。

「われわれにとって大事なのは、警部、真実ではなく正義ですよ」

違います。

あなたたち警察や予審判事にとって大事なのはあくまでも真実です。

心情的にはわかりますが、真実をもって裁かなければなりません。

なのでこの作品、最後に首をかしげざるを得ませんでした。

ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 03:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ひ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする