中年男に誘拐されたアレックス。
廃墟ビルに連れ込まれ、前かがみになり膝をかかえて丸くなっているしかない身動きできない状態で格子状の木箱に裸で押し込められ、天井から吊るされます。
なぜわたしなのか。
男は言います。
「おまえがくたばるのを見たいからだ」
一方、アレックスが車に押し込められ拉致されたのを目撃した人物がおり、通報によって警察が動きます。
指揮を執るのは身長145センチのカミーユ・ヴェルーヴェン警部。
以前に妻を誘拐され殺害されたトラウマを持っています。
しかし警察の捜査はまったくはかどりません。
その間、アレックスは糞尿垂れ流しの状態でどんどん衰弱していきます。
やがてネズミが檻の周りに集まりだし、アレックスの命を脅かします・・・・。
ここまでが序章なんですね。
なぜアレックスがこのような目に合わなければならないのか、誘拐した中年男は何者なのか。
読み進めていきますとアレックスが単なるそこらの女性であり被害者ではないことが明らかになってきます。
被害者のアレックスが実は・・・・ということで、ぐわっと立ち上がってくるんです。
この展開はすごいですね。
なんといいますか、何度も右に左にハンドル切って大きく方向転換し、読者を揺さぶってくれます。
ただ、ラストに関しましては私はそれは違うやろと思いました。
「われわれにとって大事なのは、警部、真実ではなく正義ですよ」
違います。
あなたたち警察や予審判事にとって大事なのはあくまでも真実です。
心情的にはわかりますが、真実をもって裁かなければなりません。
なのでこの作品、最後に首をかしげざるを得ませんでした。
ラベル:海外小説