2015年07月31日

7月の一冊

今月は15冊読むことができました。

・「愛より速く」斎藤綾子
・「雁屋哲の美味しんぼ列島」雁屋哲
・「純粋なるもの トップ棋士、その戦いと素顔」島朗
・「蜩ノ記」葉室麟
・「彼の地図 四年遅れのティーンエイジ・ブルース」彩河杏
・「不思議の国の男子」羽田圭介
・「虹色天気雨」大島真寿美
・「続・にっぽん蔵々紀行」勝谷誠彦
・「地獄変」芥川龍之介
・「おすすめ文庫王国2014」本の雑誌編集部
・「朝倉恭介 <Cの福音・完結篇>」楡周平
・「「黄金のバンタム」を破った男」百田尚樹
・「離情」円地文子
・「サンドウィッチは銀座で」平松洋子
・「オレたちバブル入行組」池井戸潤

「愛より速く」、若い女性の奔放な性体験をあっけらかんと面白おかしく綴った内容。

でもそれがどうしたの、と思ってしまいます。

「雁屋哲の美味しんぼ列島」、日本全国の本物の食材の生産者を取材した一冊。

そのような生産者は貴重ですし、このようにもっとマスコミは取り上げるべきでしょう。

「純粋なるもの トップ棋士、その戦いと素顔」、将棋ファンには“島研”で知られた著者。

現在棋界のトップを走る棋士たちの素顔を取り上げておられます。

「蜩ノ記」、やはり時代小説はチャラチャラした人物や風俗が出てこないのがいいですね。

この作品の登場人物の清冽な生き様を見よ。

「彼の地図 四年遅れのティーンエイジ・ブルース」、コバルト全盛時の作品です。

が、さすがにいま読むと・・・・。

「不思議の国の男子」、この作者の作品を読むのは3冊目になります。

過去に読んだ2作はよかったですが、これはいただけませんでした。

「虹色天気雨」、女性にお勧めの一冊。

特に現在ろくでもない男と付き合っている貴女に。(笑)

「続・にっぽん蔵々紀行」、全国の日本酒の蔵を巡る旅の続編。

もう少し一軒一軒をじっくりと書いていただければよかった。

「地獄変」、代表作が集まった本書はさすがの読み応え。

芥川入門者にお勧めできます。

「おすすめ文庫王国2014」、いろんなジャンルの文庫本ベスト10を紹介しています。

本読みにはこういうのはガイドになって重宝するんですよね。

「朝倉恭介 <Cの福音・完結篇>」、シリーズ最終作なのですが。

最後に来てちょっと風呂敷の畳み方を誤った感があります。

「「黄金のバンタム」を破った男」、ファイティング原田をメインに据え、当時のボクシング事情を描いています。

現在に比べてよほど値打ちがあった原田のチャンピオンベルトです。

「離情」、アメリカに留学している女性の恋愛を描いた内容。

けっこうストレートでした。

「サンドウィッチは銀座で」、平松氏の著作は何冊も積んであり古いのから順番に読むつもりでいたのですが、先にこれをいっちゃいました。

やはり谷口ジローの漫画ですよねぇ。

「オレたちバブル入行組」、銀行を舞台にしたエンターテイメント。

ワクワクと堪能させていただきました。

では今月の一冊。

芥川龍之介の「地獄変」。

これはもう私ごときがわざわざ一冊に選ぶ必要はないでしょう。

別格です。

「蜩ノ記」がよかったですね。

さすがの直木賞受賞作です。

武士の凛とした生き様が心に染み入りました。

ですが今月最後に読んだ「オレたちバブル入行組」、これを7月の一冊に選びたいと思います。

小説を読む面白さというものを味わわせてくれるエンターテイメント性。

読み終えた後のお腹いっぱいになったような満足感。

納得の一冊です。

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posted by たろちゃん at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月29日

「オレたちバブル入行組」池井戸潤

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バブルの時代に大手銀行に入社した半沢直樹。

現在は大阪西支店の融資課長です。

支店長浅野の指示で西大阪スチールという会社の融資を取り付けたのですが、5億円の不渡りを出して倒産してしまいます。

この会社に融資するのはもともと気乗りしない半沢でしたが、浅野の強引な指示で稟議を上げたのです。

ところがいざとなってみると粉飾を見破れなかったということで、融資課長の半沢にすべての責任が押し付けられます。

しかし浅野にしろ西大阪スチール社長の東田にしろ、どうも胡散臭い。

追い詰められた半沢はなんとしても債権を回収するべく東田を追い込み、自分を陥れた浅野に対する反撃を開始します・・・・。

なかなかエンターテイメント性の強い作品に仕上がっていますね。

昔とは違ってただの一企業に成り下がってしまった昨今の銀行。

まさかこんな時代になるとは思わずにバブル期に入行した現在中間管理職の半沢。

この半沢のキャラがいい。

支店長の浅野や本部の人間たちにも決して屈しない強気な性格が読者の支持を受けるものと思われます。

追い詰められたところから這い上がる半沢の行動力にカタルシスが満たされますね。

そして銀行という組織はいったいなんなんだという問いかけがあります。

どうしようもない組織だと。

今回の事件でそんな銀行を変えてやるという半沢の思いが強く募ります。

続編も楽しみに読んでいきたいと思いました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月27日

「サンドウィッチは銀座で」平松洋子 画・谷口ジロー

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フードジャーナリストでエッセイストの著者が各章のいろんなテーマにあわせて食べ歩いたグルメエッセイ。

各章のいろんなテーマというよりは、いろんなテーマで各章を作っておられるといったほうがいいですね。

そんな中で表題作にもなっている「サンドウィッチは銀座で」。

やはり銀座というだけあって、文壇バーで『みやざわ』という店のカツサンドを取り寄せてみたり。

深夜の『ロックフィッシュ』という店ではハイボールを飲みながら生ハムとカマンベールのサンドウィッチをつまんでみたり。

銀座というからにはそうなるのかもしれませんが、でもそんなの普通の人には縁遠いですよね。

なので肉屋さんが店先で揚げているというコロッケを使った『チョウシ屋』という店のコロッケサンドなどというのも紹介されています。

他には「いただきます、社員食堂」という章の社員食堂食べ比べというのも面白かったです。

猫も杓子もあの店この店の食べ歩きを写真付きで自慢している昨今、そんなのなんの目新しさもない。

ですが社員食堂の食べ歩きなんて面白いじゃないですか。

猫も杓子もできないからこそいい。

文藝春秋、女子栄養大学、横河電機、新潮社、ポーラ、共産党本部、琉球新報。

いやいやいや。

3ツ星の店がどうたらよりも私にはこちらのほうがよほど興味があります。

こういう所での食事をいろいろと経験したいなぁ。

話題の店の食べ歩きなんてもういいです。

「熊を食べにゆく」なんてのもそうですよね。

猟師を取材し、熊を食う。

なによりよかったのが「孤独のグルメ」でおなじみの谷口ジローの漫画。

イラストじゃなくて漫画です。

これでこの本は値打ちが数倍アップしましたね。(笑)

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ひ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月25日

「離情」円地文子

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茉莉子は日本の短大を出てアメリカに留学しています。

両親からの仕送りも受けず、ベビーシッターなどのアルバイトをしながら遊ぶこともなく真面目に勉強をしている女性です。

将来日本とアメリカの架け橋になるような仕事ができればいいという夢を持っています。

そんな茉莉子に惹かれている2人のアメリカ人。

日本の文化に興味を持つ白人のスカーレンと黒人のベスです。

2人に求愛されますが結局は日本人の曾根の愛を受け入れ、結婚することになり日本に帰ることになります・・・・。

う~ん、なんといいますか、円地文子にしてはけっこうストレートな小説ですね。

主人公の茉莉子がとても清く、女のどろどろした部分が描かれていないせいでしょう。

スパイスとしては白人、黒人、日本人という人種を扱い差別問題も取り込まれていますが、けっこうベタ。

そして茉莉子が甲状腺の病気を患っているという設定も出てきますが。

私がむしろ注目したのは守屋義介という人物です。

守屋は美術評論家であり妻は画家。

日本からアメリカ各地を視察するためやって来る守屋夫妻の通訳を茉莉子が務めることになります。

実は守屋は茉莉子の母である節子と昔愛し合った仲でした。

そんな節子に似た娘である茉莉子に、妻帯者でありながら守屋は恋愛感情を持ってしまうのです。

茉莉子をはじめとしてスカーレンやベス、曾根、みんな純粋で一途な青年たちです。

ですが守屋だけは老年で妻帯者であるにもかかわらず昔の恋人の娘に対してひとりの女として意識し、不倫な感情を抱いている。

このあたりに作者はちょっとした引っ掛かりを作ったのかなと。

ラベル:小説
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2015年07月23日

「「黄金のバンタム」を破った男」百田尚樹

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ボクシング界に「黄金のバンタム」と呼ばれた男がいました。

ブラジルが生んだ史上最強のバンタム級チャンピオン、エデル・ジョフレです。

1960年代に活躍し、デビュー以来8年間無敵という強さを誇っていました。

その「黄金のバンタム」を破り、ベルトを手にしたのがこの本の主人公であるファイティング原田です。

まず日本ボクシングの夜明けということで、第一章は白井義男が登場します。

日本人初の世界チャンピオンです。

階級はフライ級。

当時原田は9歳。

白井がチャンピオンになったときの記憶はないといいます。

その後白井はタイトルを失い、日本人念願のタイトル奪回を8年後に果たしたのが原田です。

やがて原田はバンタム級に階級を上げ、フライ級とあわせて2階級制覇の偉業を成し遂げるのです。

著者はこの本で当時の世界チャンピオンと現在の世界チャンピオンの価値はまったく違うということを何度も主張しておられます。

プロボクシングで最初に設定された階級は8階級です。

そしてボクシング団体は1団体ですから、世界中でボクシングの世界チャンピオンというのは8人しかいなかったわけです。

原田の時代で3階級にジュニアクラスが設定され11階級。

ただしジュニアクラスの評価は一段低かったそうです。

現在はジュニアではなくスーパーと名を変えて本来の正規な階級よりも威厳があるように思われているとも書かれています。

ところで現在(2012年)は17階級あり、しかも主な団体が4つもあるものですから、70人近くもの世界チャンピオンがいるということになるのですね。

それでもたしかに世界チャンピオンになるというのは大変なことでしょうけども、やはり昔のチャンピオンとは値打ちが違うという著者の主張はもっともでしょう。

何階級制覇というのも階級を細かく刻んでいる現在では同じく。

昭和26年に日本に初めてボクシングの世界チャンピオン(ダド・マリノ)が来たときは、銀座から新橋までオープンカーでパレードをし、沿道には何万人もの人々が集まったといいます。

それほどボクシングの世界チャンピオンというのは偉大な存在だったのですね。

そんな流れがある中でのファイティング原田の偉業なわけです。

時代は昭和40年代。

当時の日本人にどれほど夢や希望や自信や活力を与えてくれたことでしょう。

posted by たろちゃん at 03:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ひ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする