2015年07月11日

「不思議の国の男子」羽田圭介

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「おれ」こと遠藤は男子校の高校1年生。

年下ということを隠して女子校3年生のナオミと付き合っています。

ラブホテルでSMならぬSSプレイをする仲ですが、まだ童貞と処女です。

学校の友人たちも皆童貞。

しかも仮性包茎。

集まればその話題でもちきりです・・・・。

男子高校生の性をテーマにした青春小説です。

この連中、とにかく集まれば包茎だ仮性だ真性だなどというような話をしていますが、こんな男子高生おらんでしょ。(笑)

そりゃ男が集まれば下ネタな話題にもなります。

特に高校生ともなれば興味津々。

しかしこんなに包茎に特化した話題ばかりいつもいつもなんてあり得ない。

作者の高校生時代はそうだったのかもしれませんけども。

まあ元々のタイトルは「不思議の国のペニス」なんですけどね。

普通は自分の性器のことなんかより女の話題です。

それとも昔と違いインターネットで無修正の画像や動画を当たり前に観ることができる昨今、女の体よりも自身の性器のほうが関心事なんでしょうか。

この小説内のエピソードというのはすべてが仮想なんですよね。

遠藤と彼女の関係がまずそう。

ラブホテルでコスチュームつけてSSプレイなんてことを演技しています。

ですが肝心のセックスはしていません。

友人たちも理屈だけはいっちょまえですが経験はない。

後半遠藤たちがライブをするんですけど、演奏はすべてエアー。

やはり上辺だけで中身がない。

そして仮性包茎。(笑)

大人になるまでの通過点であるガキンチョの象徴として仮想であり仮性包茎なんでしょうか。

でもやっぱりこの設定はいただけませんね。

ラベル:小説
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2015年07月09日

「彼の地図 四年遅れのティーンエイジ・ブルース」彩河杏

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角田光代のコバルト時代の青春小説です。

大学生の実香は21歳。

周りが就職を決めていくなか、大学院に進むことを考えています。

そういえば最近仲のいいスグルの姿を見かけません。

気になり彼のアパートを訪ねてみると、散らかり放題の部屋にボロ雑巾のようになったスグルがいました。

もう学校へは行かず、卒業も就職もしないというのです。

大人の言いなりにはならない、反抗してやるんだなどと言い出します・・・・。

いやぁ、青いですねぇ、なにもかもが。

まずサブタイトルが「四年遅れのティーンエイジ・ブルース」。

ティーンエイジ・ブルースって・・・・。

いまからするとちょっと耐えられないですね。

「彼の地図」というメインタイトルは尾崎豊の「十七歳の地図」からきています。

作品中にも具体的な名前は出てきませんが、尾崎を思わせるフレーズがいくつも出てきます。

で、スグルがそれに影響を受け、大人に反抗し、夜の校舎の窓ガラスを壊して回ったりするんですね。

もちろん実香はそんなスグルに目を覚ますよう説教するのですが。

そして元カノやら昔の友人やら出てきたりして、いろいろとエピソードもあるんですけど。

まあ結局はええ歳こいてダダこねてんなよと。

ロック歌手の歌に影響受けてんじゃねぇよと。

いつまでも10代のガキじゃねぇんだぞと。

ラストの冬の夜中、砂浜でのおしくらまんじゅうのシーンは青春ドラマの「あの夕陽に向かって走ろう!」的なノリでお見事でした。(笑)

ちょっと強引ですがこんなとこでよろしいでしょうか、彩河さん。

ラベル:小説
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2015年07月07日

「蜩ノ記」葉室麟

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第146回直木賞受賞作。

城内で刃傷沙汰をおこした檀野庄三郎。

相手の水上信吾は家老の中根兵右衛門の甥です。

本来なら切腹となるところですが、向山村に幽閉中の元郡奉行である戸田秋谷を監視するという役目を与えられます。

秋谷は七年前に側室と密通し、それに気付いた小姓を切り捨てたということで切腹を命じられています。

ただし十年後。

それまでに家譜編纂を終えるのが役目です。

切腹までにあと三年。

秋谷が切腹を恐れて逃げ出さないか、もしそのときは監視役の庄三郎は秋谷だけでなく家族ともに斬らねばなりません。

しかし身近で秋谷に接していくにつれ、庄三郎は秋谷の無実を信じるようになります。

その凛とした生き様はとても側室と密通するような人物ではありません。

なんとか秋谷の切腹を回避することはできないものかと庄三郎は思い始めます。

そして真実はどうなのか・・・・。

いやぁ、よかった。

やはり秋谷の姿勢ですよねぇ。

三年後に切腹という絶望があるにも関わらず、秋谷の姿勢にはまったく揺らぎがありません。

その日が刻々と迫ってきても。

なんと清冽なことか。

そんな秋谷に仕える妻の織江、そして娘の薫、息子の郁太郎。

夫を信じ父を誇りに思う家族の気持ちのなんと静かに、しかし深く熱いことか。

現在ではあり得ない武士の生き様。

男の生き様とも言えます。

こういうところに時代小説の魅力のひとつがあると思えます。

切腹はともかくとしても、これを現在のサラリーマン社会に置き換えてこのような物語は書けないでしょう。

いくらフィクションとはいえ、現代小説でこのような人物は描けませんもんね。

時代小説ならではの魅力をじゅうぶんに味わえるいい小説でした。

ラベル:時代小説
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2015年07月05日

「純粋なるもの トップ棋士、その戦いと素顔」島朗

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この本が単行本として出版されたのが平成8年。

今から20年ほど前です。

ここで紹介されている“将棋界を支える若者たち”として紹介されているのは、主に森下卓、佐藤康光、森内俊之、羽生善治の4人。

ただし若者といいましても、当時からすでに皆さん凄まじい活躍をしておられましたが。

現在では当然ベテラン棋士であり、将棋界のトップとして活躍しておられます。

ちなみに著者は初代竜王であり、将棋ファンには伝説的研究会として知られる『島研』を率いた棋士です。

佐藤、森内、羽生がそのメンバーでした。

彼らの先輩として接してきた立場からその成長ぶり活躍ぶり、内面についても書いておられます。

「純粋なるもの」というタイトルには彼らの将棋に対しての真摯な姿勢はもちろん、現在の若者が失いつつある品のよさ、謙虚さ、根気などといったものを備えた人間性に対しての敬意も込められています。

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2015年07月03日

「雁屋哲の美味しんぼ列島」雁屋哲

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著者はグルメ漫画「美味しんぼ」の原作者です。

この本の前半はNHKの「にっぽん列島朝いちばん」という番組で著者がリポーターとして取材したことを「ウィークス」という雑誌向けにまとめたものだとのこと。

その後番組は終了し「ウィークス」誌に不定期連載したものを追加。

後半は「ペントハウス」誌に連載したオーストラリア編です。

そして巻末では香港の事情に詳しい山口文憲氏と香港の食について対談しておられます。

内容としましては日本各地の本物の味を訪ねて歩くというもの。

生産者への訪問です。

利尻の昆布や海の幸、仙台のソーセージ業者、東京の下町の豆腐屋などなど。

昔ながらの本物の材料と調理法で作った食品はやはり美味しいし体にもいいのだと。

もっともだと思います。

ですが現在はほとんどがまがい物です。

ソーセージやかまぼこなどの原材料表示を見るとほんとに大丈夫なのかなと思いますもんね。

味や体に与える影響よりも効率や利益を優先した食品があふれかえっているわけです。

著者も「美味しんぼ列島どころか悲観列島、絶望列島ではないかと思えるほどだ」と嘆いておられます。

そんな中にあってこの本で紹介されているようないまだに本物の食品にこだわる生産者がいます。

頭が下がりますね。

ラベル:グルメ本
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