2015年07月25日

「離情」円地文子

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茉莉子は日本の短大を出てアメリカに留学しています。

両親からの仕送りも受けず、ベビーシッターなどのアルバイトをしながら遊ぶこともなく真面目に勉強をしている女性です。

将来日本とアメリカの架け橋になるような仕事ができればいいという夢を持っています。

そんな茉莉子に惹かれている2人のアメリカ人。

日本の文化に興味を持つ白人のスカーレンと黒人のベスです。

2人に求愛されますが結局は日本人の曾根の愛を受け入れ、結婚することになり日本に帰ることになります・・・・。

う~ん、なんといいますか、円地文子にしてはけっこうストレートな小説ですね。

主人公の茉莉子がとても清く、女のどろどろした部分が描かれていないせいでしょう。

スパイスとしては白人、黒人、日本人という人種を扱い差別問題も取り込まれていますが、けっこうベタ。

そして茉莉子が甲状腺の病気を患っているという設定も出てきますが。

私がむしろ注目したのは守屋義介という人物です。

守屋は美術評論家であり妻は画家。

日本からアメリカ各地を視察するためやって来る守屋夫妻の通訳を茉莉子が務めることになります。

実は守屋は茉莉子の母である節子と昔愛し合った仲でした。

そんな節子に似た娘である茉莉子に、妻帯者でありながら守屋は恋愛感情を持ってしまうのです。

茉莉子をはじめとしてスカーレンやベス、曾根、みんな純粋で一途な青年たちです。

ですが守屋だけは老年で妻帯者であるにもかかわらず昔の恋人の娘に対してひとりの女として意識し、不倫な感情を抱いている。

このあたりに作者はちょっとした引っ掛かりを作ったのかなと。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする