さてさて、あくまで客の立場からグルメ業界に物言う著者が今回はどのような内容で立ち向かうのか。
タイトルは「堕落のグルメ」です。
サブタイトルは「ヨイショする客、舞い上がるシェフ」。
ということで、客も客ならシェフ(店)もシェフだと。
そういうことですね。
まず第1章ではご自身の経験を例に挙げ、性悪店主を告発しておられます。
店を批評したことにより、脅迫や訴訟をちらつかせられたり出入り禁止にされたり。
第2章では食材の偽装について切り込んでおられます。
これはしょっちゅう問題になっていますもんね。
第5章では客に対しての批判もしておられます。
厚顔無恥な常連客やブロガーたち。
第6章では関西飲食業界を批判。
読み通しまして、確かにもっともだと思う部分は多々あるのですが、苦笑してしまう部分も少なくありません。
そこまで必死に批判しなくてもと。
例えば第4章の料理人(匿名)とのQ&Aではいろんなジャンルの料理人が質問に答えているという形式なのですが、著者が最後にコメントを添えておられます。
このコメントがなんとか著者の思いに持っていこうとする意図が見えすぎてしまっており、読んでいてどうも苦しい。
料理人のコメントだけで客観性を持たせるべきなのですが、ご自身の思想に誘導して着地させておられるのですね。
グルメ業界やそれを取り巻く連中の胡散臭さは、業界に興味を持ち見続けている者には明らかです。
ですがそれを真正面から批判する人がいなかったのは事実。
ジバランを始めとして素人の立場から公平に批評するというコンセプトであるはずのサイトやブログの主催者が、マスコミの声掛けによりコロッと寝返ってしまう。
そんなに“有名人”になりたいんでしょうか。
ギャラが欲しいんでしょうか。
山本益博氏にしてもそうですもんね。
「東京味のグランプリ」を出版した最初の頃の気概はどこへいったのか。
なので著者に批判されるのですね。(笑)
話がちょっと逸れましたけども、そんな中でひたすら問題提起しておられる著者の友里征耶氏、賛否あるでしょうが私は面白い存在だと思います。