2015年09月29日

「今夜も残業エキストラ」吉野万理子

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就職氷河期で入社試験さえ受けさせてもらえなかった紺野美穂。

ようやく大学の先輩の会社に就職できたものの3年で倒産。

その後幸運にもキャラクタービジネスの会社に就職することができました。

大手企業の下請けとしてキャラクターグッズを作ったりそれに関連するホームページを作ったり、冊子を作ったり。

ですがいわゆる縁の下の力持ちなわけで、決して世の中の主役にはなれないエキストラです・・・・。

いわゆるお仕事小説。

今の仕事を気に入っている人いない人いろいろいると思いますが、自分が世の中の主役のように感じている人なんてほとんどいないと思いますけどね。

そういう意味ではたいがいの人がエキストラでしょう。

じゃあどういう立場が主役なのか。

やはりマスコミに登場するような人ということになるのでしょう。

こういう価値観を持っている人は多いと思います。

それは向上心であり上昇志向でもあるわけですから、決して悪いことではありません。

それだけその仕事で活躍しているという社会的な評価ですから。

私自身はまったくそのようなことに興味はありませんが(ボンクラでけっこうだと思っています 笑)、世の中で活躍している人には興味ありますし職人仕事に惹かれます。

ま、私のことはともかく。

この作品はややエタニティ文庫的なノリで一般小説としては軽いですが、若い女性が読むぶんには元気をもらえるかも。

苦労しつつも自分の仕事を認めてもらえたり、憧れの先輩と一緒に仕事をしてときめいたり。

それにしてもこういう小説って「プロジェクト」という言葉が好きですねぇ。

大きなプロジェクトに関わる自分。

キャリアウーマンに憧れる女性好みのキーワードといえましょう。(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 『よ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月27日

「枕もとに靴 ああ無情の泥酔日記」北大路公子

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朝起きたら記録的な二日酔い。

そして枕もとに靴。

酒飲みを自認する人ならば、たいがいこのようなわけのわからないエピソードを持っていることと思います。

この本も「枕もとに靴」をタイトルにし、サブタイトルが「ああ無情の泥酔日記」。

さてどのような酒の失敗エピソードを紹介してくれているのかと読んでみたのですが・・・・。

残念ながらこの内容のどこが泥酔日記なのかと。

もちろん酔っぱらってのエピソードもありますが、ぜんぜん関係ない話が多数。

はいはいはいとスルーしたくなる創作話も。

サブタイトルに「泥酔日記」と付けるからには徹底的に泥酔してほしかった。

酒でのエピソードに特化してほしかったと思います。

というわけで私にとっては肩透かしな内容でした。

ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月25日

「五年の梅」乙川優三郎

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表題作他4編収録の短編集。

「五年の梅」は藩主の黒田豊前守直亨の食がめっきり細くなって約1年。

藩医が代わる代わる治療に努めたものの効果がありません。

このままでは衰弱してしまいます。

責任の槍玉に挙げられているのが台所奉行の矢野藤九郎です。

しかし友人の村上助之丞から見て藤九郎の献立に手落ちはありません。

ある日助之丞が藤九郎の家を訪れ、妹の弥生との話はなかったことにしてほしいと申し出ます。

他の女とのあいだに子供がいるのだと。

助之丞と弥生は本人たちも周りもいずれ結婚すると認知されていた仲でした。

藤九郎は怒り、弥生は涙を流します。

後日、藤九郎は助之丞が蟄居となったことを知らされます。

顔色を変える藤九郎。

話を聞くと助之丞は豊前守に恐れながらと次の間から大声をかけたというのです。

病でもないのに食物を無駄にし、家臣を案じさせるのは藩主たる者の為すべきことではないと。

そのために誹謗され進退を迫られている者がいるのだと。

国許で猫の額ほどの畑を耕し、口を糊する家中のことをどうお考えかと。

しかも殿は気が小さいとまで言ったとのこと。

もちろんそれは友人の藤九郎を思っての言動です。

あのときの助之丞は、重科はもとより死を覚悟の上で弥生に別れを告げに来たのかと藤九郎は悟ります・・・・。

自らを犠牲にしてまでも友人の正当を訴えた助之丞の毅然さ。

これが胸を打ちます。

その後の弥生を想い続ける気持ちもいいですね。

嫁いだものの不幸になっていると耳にし、なんとか手を貸してあげたいと尽力します。

そして豊前守も決してわがままな殿様ではなく、話がわかり心の広いところを見せます。

他の収録作もそうですが、最後にじんわりと暖かい場所に落ち着くのがいいですね。

地味な生活でこれからも苦労が予想されますが、ほっこりと落ち着くべき場所に落ち着いて過ごす人生。

幸せな生活とは何か。

そんなことを考えさせられる一冊でした。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 02:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月23日

「ファミリーレストラン 「外食」の近代史」今柊二

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ファミリーレストランといえば「ロイヤルホスト」とか「すかいらーく」とか「デニーズ」とかを思い浮かべます。

ですがもっと広く言えば「スシロー」や「くら寿司」などの回転寿司や「牛角」などの焼肉屋も範疇に入ってくるでしょう。

どこも家族でよく賑わっています。

いまや家族で外食なんて珍しくもないと思いますが、昔はちょっとしたイベントでした。

駅前の大衆食堂からデパートの食堂、そしてファミリーレストランへ。

この本ではファミリーレストランを取り上げることにより、家族の外食がどのように変遷していったのかを検証しています。

やはりまずはデパートの食堂ですよねぇ。

どのデパートにも屋上には遊園地がありました。

そして最上階には大食堂です。

子供にとっては実に晴れがましい場所でした。

いや、大人にとっても。

ですが現在は遊園地はもちろん大食堂もなくなり、小洒落た飲食店街になってしまいました。

家族で行くような場所ではなくなってしまったのです。

それに変わるように出てきたのがファミリーレストランなんですね。

ですがそれも時代に合わせて多様化していきます。

店も利用する客も。

コーヒーおかわり無料やドリンクバーなどで喫茶店にいくよりも気軽に安く過ごせます。

家族で食事というイベント感は薄くなりました。

ですが著者はこれからもずっと家族で食事できる場としてあり続けてほしいと書いておられます。

私もそう思います。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 04:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月21日

「ほんわか! 本についてわからないこと、ねほりはほり!」北尾トロ

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本の周辺についてのいろいろを書いた企画的な内容です。

本好きはモテるのかを検証してみたり。

読み終えてゴミに出された本の行方を調べるべく張り込みをしたり。

チリ紙交換なんてこともやっておられます。

官能小説のタイトルはどのようにして付けられるのかとか、車内吊りの広告の製作現場を取材したりとか。

なるほど本にまつわるいろんな裏話や雑学的なことを知ることができました。

ただ第3章のラブレターの項なんかはどうでもいいように思いますけどね。

第4章のお遍路さんなんかも。

たしかに本をきっかけにしているのですが、行動自体は本と関係ありませんし。

なのでそのあたりちょっと散漫な印象を受けました。

posted by たろちゃん at 02:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする