2015年09月09日

「SF魂」小松左京

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日本のSF小説の第一人者であった小松左京。

そんな小松氏がSFについて語ったエッセイです。

文学の世界でSFというジャンルは迫害を受けてきました。

こんなのは文学ではないと。

しかし小松氏はSFというジャンルはすべての文学を網羅するとの確信を得ます。

いろいろな苦難がありつつも「日本沈没」などの作品を発表し、その地位を不動のものとします。

そしてSFの地位も高めていかれるのですね。

小説以外にも万博などのいろいろなプロジェクトに関わり、SFを基礎に大いに日本の文化を広めることに貢献されました。

ということで、これは小松氏の日本のSFについての貴重な記録であります。

文学史においてもこの本は貴重な一冊となりましょう。

ただ私個人の意見としましては、小松作品には馴染めず。

やたら文章が理屈っぽいんですよね。

それが鼻について読んでいて楽しくない。

文章にやたら傍点を付けるのもウザイ。

なので今まで小松作品は「さよならジュピター」しか読んだことがないんですよね。

でもまた読んでみようかなという気持ちがちょっと。(笑)

posted by たろちゃん at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月07日

「窓の灯」青山七恵

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2編収録。

表題作の「窓の灯」はデビュー作です。

2月のわりと暖かい日に1年も通わなかった大学を辞めたばかりのまりもは、地方の両親ともごたごたしており、そのせいで住む場所さえ危うい状態です。

そんなとき通っていた喫茶店のミカド姉さんに拾われ、店の2階に住み込みで店を手伝うことになります。

ある日、物干し竿を渡せるくらいの距離にある向かいのアパートに若い男性が引っ越してきます。

それまでは空き室だったので窓のカーテンも開けっ放しにしていたまりもですが、それからは当然意識することになります。

しかし向こうは粗いレースのカーテンがぶらさがっているだけで、部屋の中が見えることも意識していません。

たまに彼女が遊びに来ていたりもします。

まりもはカーテン越しに向かいの部屋を覗くことが日課のようになります・・・・。

主人公のまりもは、とにかく他人のことが気になるんですね。

向かいのアパートの男性に対してもそうですし、夜の町を散歩して他人の家を覗いて観察したりもしています。

そしてミカド姉さんの男関係にも。

ミカド姉さんには憧れの感情もあるのですが軽蔑の感情も持ち合わせています。

“先生”というミカド姉さんの愛人にもいい印象を持っていません。

隣の部屋からミカド姉さんの喘ぎ声が聞こえ、向かいのアパートの男性もその声に反応して窓から顔を出しているところにまりもが顔を合わせ挨拶するところで話は終わります。

つねに周りを気にかけているまりもと、けっこうあっけらかんとしているミカド姉さんが対照的です。

少女と大人の女との対比といえるかもしれません。

人生を模索中のまりも、達観しているような熟女のミカド姉さん。

他人の生活、人生=窓の灯。

いろんなドラマがありましょう。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月05日

「夜歩く」横溝正史

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屋代寅太は三文探偵小説家。

酔っぱらっている友人の仙石直記から愚痴のような話を聞かされます。

キャバレーである女が佝僂の画家を拳銃で撃つという事件がありました。

その女とは直記の妹である八千代だというのです。

画家の名前は蜂屋小市。

八千代とはなんの面識もありませんでした。

なぜ八千代は蜂屋を撃ったのか。

ところがその八千代が蜂屋と結婚するというのです。

いったい二人のあいだになにがあったのか。

それが首なし殺人事件の始まりでした・・・・。

いつものごとく探偵の金田一耕助が登場するのですが、相変わらずあまり役に立っていません。(笑)

さんざん人が殺されたあとで最後に事件のタネあかしをするだけで、犯罪の抑止力とはなっていないんですね。

もっと早く犯人を推理して犯罪を止めろよと。

ところでこの作品には最後に大きなどんでん返しが仕掛けられています。

でもこれって夢オチの変形バージョンみたいなもので、ちょっとどうかなと思ってしまいました。

たしかにこれだと読者が犯人に気付くのは困難でしょうけど。

私はどうも釈然としませんでしたね。

ラベル:小説
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2015年09月03日

「再婚生活 私のうつ闘病日記」山本文緒

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直木賞作家の著者による“うつ闘病記”です。

もともとは再婚生活について書くはずのエッセイだったのですが、ちょうどその頃からうつ病を患い結果的に闘病記になってしまったとのこと。

なのでメインタイトルは「再婚生活」ですが、サブタイトルに「私のうつ闘病日記」となっているのですね。

この日記は2003年8月から2006年12月までですが、途中2004年3月から2006年5月までの2年3ヶ月がすっぽりと抜けています。

いちばん状態が悪いときだったそうで、この期間については振り返って書きおろしとして最後に追加しておられます。

しかし最近鬱病というのはよく聞きますね。

この著者の場合トータルで約11年ほど患っておられたそうですが、そのあいだ約5年間本業の小説が書けなかったといいます。

ひどいときには自殺なんてことにもなるようですが、この本の中にもそのような誘惑があったことが書かれています。

現在(2009年)は全快しておられるとのことで何よりです。

この本を読むことにより、同じ病気を患っておられる方やそのご家族の参考に少しでもなればとのことです。

ラベル:エッセイ
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2015年09月01日

「世界一周ひとりメシ」イシコ

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ひとり飯が苦手だという著者。

ひとりで食べるのが苦手なのではなく、ひとりで食べる店を選ぶのが苦手だとのこと。

そんな著者が世界一周の旅に出ます。

もちろんひとりで飲食店に入らなければなりません。

言葉も風習も違う外国で果たしてどうなることやら・・・・。

ひとりで飲食店に入るのを躊躇する人はけっこういますね。

特に女性に多い気がします。

男性でもひとりで始めての店に入るのはちょっと勇気がいるもの。

それが言葉も通じない外国となるとなおさらです。

高級店よりもむしろ地元の人が普段使いしている店のほうが怖いですね。

その店独特のルールがあったりして。

それにしても著者はご立派。

なんだかんだ言いつつインドやペルーやカンボジアや中国やらの怪しげな店に勇気を出しつつ飛び込んでおられます。

面白おかしく書いておられますけども、なかなかできることではありません。

巻頭にそれぞれの国の料理がカラー写真で紹介されているのが嬉しい。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする