2015年09月07日

「窓の灯」青山七恵

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2編収録。

表題作の「窓の灯」はデビュー作です。

2月のわりと暖かい日に1年も通わなかった大学を辞めたばかりのまりもは、地方の両親ともごたごたしており、そのせいで住む場所さえ危うい状態です。

そんなとき通っていた喫茶店のミカド姉さんに拾われ、店の2階に住み込みで店を手伝うことになります。

ある日、物干し竿を渡せるくらいの距離にある向かいのアパートに若い男性が引っ越してきます。

それまでは空き室だったので窓のカーテンも開けっ放しにしていたまりもですが、それからは当然意識することになります。

しかし向こうは粗いレースのカーテンがぶらさがっているだけで、部屋の中が見えることも意識していません。

たまに彼女が遊びに来ていたりもします。

まりもはカーテン越しに向かいの部屋を覗くことが日課のようになります・・・・。

主人公のまりもは、とにかく他人のことが気になるんですね。

向かいのアパートの男性に対してもそうですし、夜の町を散歩して他人の家を覗いて観察したりもしています。

そしてミカド姉さんの男関係にも。

ミカド姉さんには憧れの感情もあるのですが軽蔑の感情も持ち合わせています。

“先生”というミカド姉さんの愛人にもいい印象を持っていません。

隣の部屋からミカド姉さんの喘ぎ声が聞こえ、向かいのアパートの男性もその声に反応して窓から顔を出しているところにまりもが顔を合わせ挨拶するところで話は終わります。

つねに周りを気にかけているまりもと、けっこうあっけらかんとしているミカド姉さんが対照的です。

少女と大人の女との対比といえるかもしれません。

人生を模索中のまりも、達観しているような熟女のミカド姉さん。

他人の生活、人生=窓の灯。

いろんなドラマがありましょう。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする