2015年10月21日

「食の堕落を救え! スローフードの挑戦者たち」小泉武夫

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醤油、みりん、漬け物、鰹節、納豆、味噌、酒、鮒鮓、塩辛、泡盛、ふぐの卵巣の糠漬け、チーズ。

この本に登場する職人さんたちが造っておられる食品です。

もちろんどれも昔ながらの製法で造る本物。

現在ではわざわざ「昔ながら」とか「本物」とかいう肩書きを付けなければならないほど偽物の食品が跋扈しています。

儲けと大量生産を優先するための短期間製造、添加物投入。

みりんなんて家庭でも店でも9割は偽物を使っているんじゃないですかね。

いわゆる「みりん風調味料」というやつです。

漬け物も添加物まみれですしね。

タイトルどおりまさに「食の堕落」です。

しかしいまだに本書で登場する人たちのように時間をかけて丁寧に本物の食品を造っておられる人たちがいらっしゃいます。

芸術の世界には人間国宝というのがありますけども、伝統的な食文化の貢献者に対して人間国宝と認めることがないと著者は嘆きます。

まさしくですね。

娯楽よりも食のほうが人間にとってはよほど大切なことなのに。

ラベル:グルメ本
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2015年10月19日

「残月 みをつくし料理帖」高田郁

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シリーズ第8弾。

「つる家」にひと組の夫婦が訪れます。

澪の幼馴染みである野江ことあさひ太夫のいる「翁屋」の新造だった菊乃です。

現在はしのぶという名前で大店のご隠居の妻となり、幸せに暮らしています。

夫婦は飾り棚に置いてある澪が包丁細工で拵えた剥き物に気付きます。

それを見て夫婦は以前に見事な出来栄えの包丁細工をある人物からもらったことがあるという話をし、それは失踪した「天満一兆庵」の若旦那佐兵衛ではないか澪と芳は顔色を変えます。

しのぶに詳細を聞くと間違いなく佐兵衛のようです。

しのぶがあいだに入りその人物との仲介をするのですが。

澪と芳は佐兵衛と再会できるのか・・・・。(彼岸まで)

相変わらず「つる家」のライバルである「登龍楼」が澪にちょっかいを出してきます。

吉原に出す新店に板長として澪を迎えたいのだと。

今まで散々卑怯な手を使って澪や「つる家」に迷惑をかけておきながらよくもぬけぬけと言えたものです。

当然その言葉には裏があるはずです。

話を受ける気のない澪は四千両という金をふっかけます。

「登龍楼」店主の采女宗馬は吉原にふさわしい逸品を作ればその話を考えてやると、勝手にその話を澪との賭けにします。

あとに引けなくなった澪はどのような料理を作るのか。

そして源斉のはからいにより、幼馴染みの澪と野江ではなく、“「つる家」の料理人とあさひ太夫”として再会するふたり。

ふたりのあいだにどのような会話が交わされたのか・・・・。(みくじは吉)

その他、芳にもいい話があり、今回もめまぐるしい展開です。

前作では又次の死という悲しい出来事がありましたが、本作では確実にいい方向に向かっていることに胸を撫で下ろしました。

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2015年10月17日

「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』」西村繁男

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59年に創刊された『少年マガジン』や『少年サンデー』、そして63年に創刊された『少年キング』に遅れること数年。

68年に『少年ジャンプ』は少年週刊誌の世界に斬り込んでいきます。

最初は苦戦していたものの、やがて『少年マガジン』を追い抜きトップの座へ。

95年には653万部という発行部数を記録し、ギネスブックにも登録された怪物漫画雑誌となります。

その創刊前からずっと立ち会い、3代目の編集長として『少年ジャンプ』を育て上げたのが著者です。

『少年ジャンプ』を立ち上げるまでのいきさつ、その後の経緯がみっちりと語られています。

さすがに後発なのでなかなか大御所の漫画家には描いてもらえず、やむなく新人を起用したこと。

読者アンケートを重視したこと。

専属制を採用したこと。

これらは『少年ジャンプ』を語る上で必ず取り上げられるエピソードです。

永井豪や本宮ひろ志などジャンプで育った漫画家の作品のヒットもあり、ぐいぐいと売り上げを伸ばしていきます。

その後もいろんなヒット作を輩出し、頂点へ。

ですがいつまでもその栄光は続きません。

どんどん部数を落とし『少年マガジン』に追い抜かれ、『少年ジャンプ』に限らず漫画界全体が低迷していきます・・・・。

『少年ジャンプ』の歴史を書きながら週刊誌時代に突入した漫画界の歴史も記した内容。

そして集英社内部の人事についてまで書かれています。

現場に携わった人物ならではの生々しく貴重な記録ですね。

タイトルがちょっと小っ恥ずかしいですけど。(笑)

ラベル:漫画本
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2015年10月15日

「おさな妻」富島健夫

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17歳で母を亡くした玲子。

母と娘ふたりだけの暮らしだったので玲子は叔母の家に引き取られます。

叔母はいい人なのですが、その夫が執拗に迫ってくるのです。

耐えかねた玲子は家を出て一人で暮らすことにします。

幸い母が生前に貯めていてくれた貯金や証券がありました。

玲子は高校に通いながら保育園で働くことになります。

まゆみという園児が玲子になつくようになるのですが、その父親の吉川誠一に玲子は惹かれるようになります。

吉川は30歳手前で妻を亡くしてまゆみとの二人暮らし。

吉川もまた玲子に惹かれるのです。

18歳になり玲子は吉川と結婚します・・・・。

「おさな妻」なんてなんだかポルノ映画のタイトルのようですが。(笑)

そのような内容を想像してしまいがちですが、思春期の女性の恋愛と生き様を描いた青春小説です。

まあ、初夜の描写なんかもあったりしますけどね。

それはともかくとしまして、高校生の女の子が妻になるという斬新な設定。

発表されたのは昭和45年ですからね。

引き取られた家ではスケベオヤジに迫られ、結婚後は夫の浮気疑惑なんてのもあったりして、けっこうパターンな展開ではあります。

悩みながらも健気に夫の愛を信じる玲子。

ロマンチックな小説です。

設定を現在にしてこのような話を書けば時代錯誤もはなはだしいですが、この時代の小説としてこれはありでしょう。

でも現在においても根本は変わらないのではないかという気もしますけどね。

現代のチャラチャラした男女よりはよほどいい。

清々しいものがあります。

ラベル:小説
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2015年10月13日

「相続人の憂鬱」知念みづき

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30歳を迎えた二本柳響子、独身。

二本柳の本家として代々受け継いできた屋敷と土地を継ぐため、一人娘の響子は婿を取るようにと言われ続けてきました。

ですがなかなかそのような相手は見つからず。

自身もホテルのブライダル部門で働いていることもあり、結婚の現実を目の当たりにしています。

おかげで結婚に夢見ることもなくなり、恋愛にも積極的になれず。

職場には神楽坂翼という上司がいるのですが、響子にとっては天敵のような存在です。

ある日、職場に母親から電話がかかってきます。

父親が事故にあったと。

パニクる響子を天敵の翼がバイクの後ろに乗せ、都内から響子の実家がある新潟まで真夜中に飛ばします。

幸い父親の命に別状はありませんでした。

集まった親戚たちに翼を恋人と勘違いされ、実家の響子の部屋で翼と一夜を共にすることになってしまうのですが・・・・。

この件で神楽坂に借りを作った響子は、その借りを返すために婚約者のふりをして一緒に実家に行ってくれと翼に頼まれます。

響子は田舎の地主の跡継ぎですが、翼も実は祖父が民間警備会社を経営しており実家は大豪邸でした。

翼には兄と弟がいるのですが、どうやら祖父の会社の相続のことで揉めているようなのです。

それに巻き込まれることになってしまった響子は・・・・。

最初は上司と部下として反発しあっていたものの、いつの間にかいい感じになってというパターン。

そして相手の男はひとり息子ではありませんが御曹司ですか。

しかし響子も実家の跡を継がねばならない立場。

翼はどうするのか。

ここで男気(?)を見せるところに女性はシビレるんですかね。

でも今後の生活はほんとに大丈夫なのかなと老婆心ながら思ったりもしました。

posted by たろちゃん at 02:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ち』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする