2015年11月10日

「戦う将棋指し」別冊宝島編集部 編

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この本が出版されたのは98年。

当時のトップ棋士へのインタビューやアンケート、エピソードなど。

98年といえばすでに羽生善治が七冠を達成していましたし誰もが認める棋界の頂点でしたが、この本では直接に羽生を取り上げていません。

しかし谷川浩司や中原誠といった大物へのインタビューでライバルは羽生であると語らせています。

羽生包囲網といった感じですかね。

森内俊之も登場しますが、この時点ではまだタイトルに縁のない存在でした。

2015年現在、トップレベルで活躍しておられる、渡辺明、郷田真隆などは登場していませんね。

20年近いあいだに棋界の顔ぶれも変わりました。

中原誠は引退し、米長邦雄は亡くなりました。

谷川浩司もA級から陥落しました。

ですが羽生善治はいまだに第一線で活躍しておられます。

これはすごいことですね。

ですがやはりいずれ羽生も・・・・。

それはともかく。

いろんな裏話や棋士のプライベートなエピソードもあり、将棋好きにお勧めしたい一冊です。

posted by たろちゃん at 03:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 『へ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月08日

「残花繚乱」岡部えつ

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会社の常務である柏木荘太と不倫の関係にあった西田りか。

それを知った荘太の妻美津子はりかに近付き、一人娘の美羽が兄と慕い家族の一員のように付き合っている落合圭一をりかの見合い相手に押し付けます。

見合い話は美津子からりかへの警告だったわけですが、見合いをした圭一はりかを見初め、りかもこの話を進めてほしいと美津子に返事をします。

美津子としては圭一がりかを気に入るはずなどなく、りかが居づらくなって会社を辞めていくだろうという思惑でした。

しかしその思惑とは違い、やがて二人は結婚することになります。

もちろんりかは美津子の思惑を知ってのことです。

そうなるとこれからもずっとりかと柏木夫婦の付き合いは続いていくわけです。

何事もなかったかのように二人を祝う荘太と美津子。

水面下でそれぞれの思惑とプライドが交錯し、物語は意外な方向に・・・・。

りか、圭一、荘太、美津子を中心に、柏木夫妻の娘の美羽、りかの友人の麻紀、りかや麻紀が師事する書道家の龍子なども絡んで複雑な人間関係が展開されるわけですが、とにかく狭い範囲で関係がつながりすぎです。

すべての登場人物がどこかでリンクしている。

これはこれで小説のひとつの手ではありますが、ちょっとご都合すぎて私はあまり好きではありません。

んなわけないやろと白けてしまうんですね。

それはそれとしてふむふむと読みましたけども。

まあ節操のない男と女たちの話ですね。

残花繚乱というよりも男女紊乱といったところでしょうか。

ラベル:小説
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2015年11月06日

「ニセモノ食品の正体と見分け方」中川基

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食品偽装というのがたびたび世間を騒がせています。

最近の大きなところでは「木曽路」がありましたね。

松阪牛でない牛肉を松阪牛として出していたという。

そしてもう10年近く前になりますが、腹話術の記者会見も話題になった「船場吉兆」。

これはかなり大きな看板だっただけにインパクトも大きかった。

産地偽装だけではなく、賞味期限切れの販売、客の食べ残しの再利用など、もうどうしようもない。

あの「吉兆」がと。

その他、細々とした事例は数知れず。

でも飲食店だけでなく、一般の人がごく普通に購入するスーパーの食品にも偽装ははびこっているのです。

というか、今やそれが当たり前の感さえあります。

黒豚なんてそんなに数が出回るわけありませんしね。

というわけで、この本。

例えばサイコロステーキがクズ肉を成型したものであるというのはもはや誰もが知る話。

その名前でちゃんとした肉を出しておられる店ももちろんあります。

ですがスーパーで売っているのはたいがい成型肉。

ねぎとろなんてのも安マグロにショートニングを添加したもの。

プラスチックを食べているようなものです。

ファストフードで人気のチキンナゲットなんてのも、普通の鶏肉を揚げたものではないんですよね。

これ、ちゃんとした鶏肉を揚げた物だと思っている人多いんじゃないでしょうか。

チキンナゲットはクズ肉と大豆たんぱくの成型品。

クズ肉かどうかはともかく、食べたらわかりますけどね、鶏肉そのまんまでないというのは。

でも子供たちはわからないかも。

まあ言い出したらきりがありません。

そういういろいろなことをこの本では紹介しておられます。

しかし情けない時代になりましたよねぇ。

とほほ。

ラベル:グルメ本
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2015年11月04日

「赤塚不二夫対談集 これでいいのだ。」赤塚不二夫

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漫画家・赤塚不二夫と各界著名人との対談集です。

登場するのは、タモリ、柳美里立川談志、北野武、ダニエル・カール、荒木経惟、松本人志。

タモリや立川談志はわかりますけど、柳美里なんていったいどういういきさつで対談となったのか。

顔ぶれの中ではいちばん興味がありました。

私は柳氏のファンですし。

柳氏はさすがに家族というものについて一生懸命話し始めるのですが、赤塚氏はぜんぜん話に乗ってこない。(笑)

「家族シネマ」「ゴールドラッシュ」などで家族をモチーフにして書いてこられた柳氏ですから、やはり「天才バカボン」の家族関係なんかについて問いかけるわけです。

しかし赤塚氏は「ああ、水割りウマイぞ」(飲みながら対談しておられます 笑)、「ただ面白ければいい」ってのらりくらり。

やがて柳氏もビールを飲み始めて。

いいなぁ、こういうの。

たしかに赤塚不二夫は「天才バカボン」を描く上で家族がどうだのなんて考えていなかったと思います。

対談でも「勘弁してくれよォ、そんなこと考えてないよォ」なんて言っておられますしね。

でも意識では考えていなくとも無意識が影響する場合もあります。

赤塚不二夫のギャグってただ単にドタバタなギャグじゃないんですよね。

なんというか、哲学がある。

すべての作品にというわけじゃないですけども。

話が逸れました。

強烈な作品やパフォーマンスが印象ある赤塚氏ですが、実はとてもシャイな人。

そんな赤塚不二夫の本音を垣間見れる対談集であります。

posted by たろちゃん at 03:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

「告白」町田康

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時代は明治26年。

実際にあった『河内十人斬り』という大量殺人事件を題材にした作品です。

幼い頃は周りにちやほやされて育った城戸熊太郎。

しかし実際は他の子供に比べて何もできないことに自ら気付きます。

自分の考えを上手く言葉で表現できず周りとコミュニケーションできないもどかしさをつねに抱える日々です。

そのせいかいい歳になっても働かずぶらぶらし、博打に手を出し勝つこともできず、侠客としても中途半端。

ですが、やがてひょんなことから弥五郎という弟分ができます。

その弥五郎と、借金や内縁の妻の浮気でコケにされた松永宅に乗り込み、主の傳次郎や息子の熊次郎たちを次々と惨殺します・・・・。

主人公の熊太郎は純粋で不器用なため上手く世渡りできないわけですが、別の言い方をすれば見栄っ張りで優柔不断な馬鹿です。

よく昔の天才が奇抜な言動ゆえに周りの人間とは合わなかったなんてエピソードがありますが、それとはちょっと違う。

借金にしろ妻の浮気にしろ、自分の優柔不断さと間抜けさが招いたこと。

もっとしっかりと自分を律し、毅然と相手に対すればそのようなことは起きなかったはず。

といってもそのようなことができない人間だからこその悲劇なわけですが。

私はこの主人公に同情できません。

ただ小説としては傑作だと思います。

840ページ弱のブックカバーに収まらない(笑)分厚さに躊躇しますが、読み進めていきますとむしろこのボリュームがありがたい。

これを3分の1程度の枚数で収められては困ります。

町田作品ならではのとぼけた言い回しで笑わせてくれますし、後半の惨殺シーンも筒井康隆的なスプラッタで容赦がありません。

読み応えじゅうぶん、作者渾身の大作ですね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ま』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする