国文学者であり大学教授である著者による食エッセイです。
新聞や週刊誌に掲載された文章を一冊にまとめておられます。
北陸は酒とさかなが旨いからと、東京から魚津に移り住んでしまったほどの食道楽。
この本ではいろいろと食べ物について幅広く書いておられますが、第2章の「ひがしの味」ではやけに上方の味を攻撃しておられます。
なにをそんなにムキになっておられるのだろうと思いきや、巻末の解説を読んで「ああ、そういうことか」と。
週刊誌連載の企画で東と西の味を自慢し合うということだったんですね。
なので東の著者は一生懸命東を持ち上げておられたというわけ。
ほっとしました。(笑)
著者の実家は銀座の天ぷら屋だったそうです。
なので店の名前を出すことについては「つい、営業妨害になることには臆病であって」と心配りをされていたようです。
貶すのはもちろん、一軒の店を褒めても他の同業の店のプライドを傷つけてしまうと。
普通はあの店は美味しかった、あの店はたいしたことなかったと店名を出してしまいがちですが、店にとっては大きなお世話かも。
それはそれでひとつの見識だと思います。
そしてただ単に食べ物の話をするだけでなく、その周辺の話という意味で食中ではなく「食前食後」というタイトルなのだとか。
なるほどと思いました。
ラベル:グルメ本