2015年12月21日

「私を知らないで」白川三兎

Cimg2707

中学2年生の夏の終わりに富士山の麓の町から横浜市の外れの町へ移り住んできた“僕”。

父親の仕事の都合上転校の多い“僕”は、空気を読みつつクラスに溶け込む術を心得ています。

そんなクラスの中に“キヨコ”と呼ばれクラス中から無視されている美少女がいました。

“キヨコ”の存在が気になる“僕”。

祖母との二人暮らしで貧しいらしく、過去には借金取りも押しかけていたようです。

しかし貧しいわりには高価なものを身に着けており、体を売っているという噂があります。

休みの日になると渋谷に出かけるという“キヨコ”を“僕”は尾行するのですが・・・・。

“僕”と“キヨコ”、そしてもうひとりの転校生である高野三四郎の3人がメインで話が進むのですが。

クラスを仕切っているのが女子生徒だというのはいいとしても、男子生徒の存在感がまるでないのはいくらなんでも。

まるでクラスの男子は“僕”と高野しかいないかのようです。

そして“キヨコ”と高野が恋人関係になるというのもいまいち説得力がなくよくわからない。

“キヨコ”がしでかしたことに対しての結果もはっきりせず生ぬるいですし、終章の持っていきようには苦笑してしまいました。

いや、人によってはここで感動するのかもしれませんが。

私はだめでしたね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月19日

「下ネタの品格」文藝春秋編

Cimg2708

下ネタ。

下品な話題として顔をしかめられたりもするのですが、でも実は皆が興味あることだったりします。

さすがに場所と相手を選ばなければならないでしょうけど。

この本ではいろんな作家や学者が下ネタについて熱く対談しておられます。

最初の鹿島茂×西木正明×田丸久美子のがいちばん面白い。

ガッツリいってます。

林真理子×紫門ふみ×大石静もよかった。

森瑤子×大宅映子×安井かずみでは、大宅映子がちょっと腰が引けてて。(笑)

作家同士の対談では石田衣良村山由佳、北方謙三、高樹のぶ子勝目梓など。

錚々たるメンバーです。

下ネタ=必ずしも下品ではなく、いや下品だから下ネタなんですけど、でも下品さを感じさせることなく下ネタを交えて場を和ませるのもひとつの教養でしょうし、しかし男同士のぶっちゃけた下世話な露骨話こそが下ネタの本領であったり、それよりも実は女同士の話題のほうが身も蓋もない下ネタの真髄であったりします。

ということで下ネタにもいろんな解釈があるわけですが、私が思う下ネタというのはやはり下品さです。

でないと面白くない。

石田衣良×西木正明×勝目梓の対談などは下ネタというよりも性愛論ですね。

というか、この本自体がそんな感じだと思います。

posted by たろちゃん at 03:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ふ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月17日

「海の匂い」芝木好子

Cimg2709

短編集です。

四十歳を過ぎている秋子は係長として官庁に勤めています。

夫が戦死し、女手ひとつで育て上げた息子の宏一は大学生。

月に一度か二月に一度、海辺の研究所から秋子のいる資料室にやってくる鹿島。

房総半島の潮の香りのする男です。

仕事のあと秋子は鹿島と逢瀬を楽しんでいます。

いつものように逢瀬のあと、帰宅した秋子に宏一は言います。

「潮風の匂いがする」。(表題作「海の匂い」)

鹿島との逢瀬のときは女であり、息子の宏一の前では母親です。

しかし息子に女としてのひとときを過ごした男の匂いを気付かれて動揺するわけですね。

夫を亡くし一生懸命に育てた子供が手を離れ、女として自身の人生を楽しむ。

結構なことではないですか。

恋人の前では女ですし、息子の前では母親です。

ですがそのあたりを息子に気付かれてしまった後ろめたさといいますか気恥ずかしさといいますか。

そういうことですよね。

現代ならもっとあっけらかんとするんじゃないかと思いますが、でもいまだにこういうのって微妙かなとも思います。

その他の作品では恭子という名前の女性を主人公にしたのが数編あるのですが、それぞれに繋がりがあるようなないような。

解説によりますと作者は自身の分身を作品に登場させるときに恭子と名付けるときがあると。

なるほどそういうことであれば設定に直接的な繋がりはなくとも、作者の中では根本は同一ということですね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月15日

「世界のホテルで朝食を」村瀬千文

Cimg2710

ホテル・ジャンキーの著者が紹介する世界のホテルの朝食。

各国の高級ホテルが取り上げられています。

人は朝、昼、夜と食事をするわけですが、ホテルに泊まったときほとんどの人が朝食はそのホテルでとるはず。

なので朝食の魅力がそのホテルの印象を大きく左右するようです。

この本を読みますと、ある意味優雅な朝食というのは豪華なディナーよりも贅沢なのでないかと思えます。

ありきたりの料理でお腹を満たして「さあ観光!」とホテルを飛び出るのではなく、特に何も予定などなくただゆったりと質のいい料理とサービスで朝食の時間を楽しむ。

そのあとはプライベートビーチやプールサイドでカクテルでも飲みながら読書し、うつらうつら・・・・なんて。

たまりませんね。

ただ一泊するだけではそのような楽しみ方はできませんけども。

外国の富豪のように1ヶ月とか長期間滞在しなければ。(笑)

この本ではいろんなホテルの朝食の魅力を紹介しておられるわけですが、なにかの雑誌の連載コラムだったんでしょうか、前半の「世界のホテルで朝食を」ではそれぞれのホテルの紹介が1ページ半ほど。

ちょっとあっさりしています。

といっても長々と書くものではないかもしれませんが。

後半の「天国のホテル」ではもう少しページを割いておられますけども。

贅沢な希望を言いますれば、各ホテルの紹介にそれぞれカラー写真が添えられていればと。

巻頭に数ページ写真がありますけども、やはりこれだけでは物足りません。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 02:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 『む』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月13日

「壊れかた指南」筒井康隆

Cimg2711

ショートショートも含め30編が収められた短編集。

ですが不出来と思える作品も多数。

筒井氏ならではの毒気はあまりありません。

やはり夢からヒントを得たであろうと思われる作品が多いですね。

「漫画の行方」なんてまさにそう。

人格が1分周期で入れ替わるという「鬼仏交替」なんかは筒井節です。

「耽読者の家」と「店じまい」が地味ですけど読ませました。

前者は本好きの二人がひたすら本を読み続けるという話。

文学についての薀蓄が語られていますが、特にドラマといえるような出来事はありません。

後者は閉店するレストランにオーナーの身内らが集まって最後の食事をするという話。

ドタバタもなくしみじみと話が進んでいきます。

最後の「逃げ道」なんてのもじんわりと滲み込んでくるような話です。

それらはどれも奇抜な仕掛けのない静寂な作品なのですが、なんといいますか扉1枚向こう側、ふすま1枚向こう側になにか潜んでいるような不気味さもあります。

筒井作品であるからこその感想かもしれませんが。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする