2015年12月11日

「「うまいもん屋」からの大阪論」江弘毅

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「ミーツ・リージョナル」という月刊誌が関西にありまして、飲食店やら街の情報やらを細かく網羅した情報誌です。

飲食店の情報などを見ますと「Hanako」や「関西ウォーカー」等のようなガイドブック的紹介ではなく、生のレポートという気がします。

他誌では取り上げないようなローカルで路地裏な店なんかを紹介しておられたり。

他の情報誌とはひと味違った雑誌です。

といっても私はもうここ何年も手に取っていないので最近のことはわかりませんが。

さて、そんな雑誌を創刊し12年間編集長を務められたのが著者。

大阪という“街”を語らせるとウルサイ御方であります。(笑)

なるほどさすがに大阪(以外に京都や神戸も)を熟知しておられます。

関西のいろんな飲食店が紹介されていますしね。

ただちょっと無理に大阪のイメージを強調しようとしておられるように感じないわけでもない。

紹介しておられる店での楽しみ方も別に大阪独特ではないような気がしますが。

他の地方でも似たり寄ったりでしょう。

そして大阪ではお好み焼き屋が地元のコミュニケーションの場的なように書かれていますけども、これも必ずしもそんなことはない。

地域や世代にもよるでしょうが、お好み焼き屋は今やそのような場ではありません。

というか、今の若い人たちにその感覚は通用しないでしょう。

オヤジのノスタルジーです。

吉本新喜劇で大衆食堂を舞台にしているようなものです。

たこ焼き器は大阪のどこの家庭にもあるんだという都市伝説のようなものですかね。

大阪といっても狭くて広い。

飲食に関しては地方世代それぞれあります。

なのでこれはあくまでも著者の“個人的大阪論”です。(あたりまえのことですが)

しかし大阪(関西)の街や飲食についての紹介はじゅうぶんに読ませていただきました。

ラベル:グルメ本
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2015年12月09日

「消えた魔球 熱血スポーツ漫画はいかにして燃えつきたか」夏目房之介

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スポーツ漫画の書評集です。

いや、ちょっと違うか。(笑)

昔は漫画に『スポ根』なんてジャンルがありまして、つまりスポーツにおける根性物語のことですね。

スポ根の代名詞といえばやはり梶原一騎、そして「巨人の星」でしょう。

「巨人の星」といえば魔球。

大リーグボールですね。

消える魔球とか。

そして格闘技漫画なら必殺技。

「リングにかけろ」では必殺技の名前を叫ぶだけでその技がいったいどのようなものなのか何もわからず、背景が宇宙になり相手がぶっ飛んでいくという。

いろんな必殺技が出てくるのですがパターンは皆同じ。

そんな馬鹿馬鹿しいスポーツ漫画を取り上げて分析しておられます。

紹介しておられるのはそのような漫画だけでなく幅広いですけど。

柳沢きみおの中年男の物語だったり、谷口ジローのクライマーの物語だったり、小林まことのエロシーンだったり。

この著者のすごいところは他の著書でもそうなのですが、紹介している作品のすべてのシーンを模写しておられるということです。

これはなかなかできることではありません。

例えば、あだち充、水島新司、望月峯太郎、山本鈴美香、ちばてつや、江口寿史、柳沢きみお、谷口ジロー、福井英一、藤子不二雄・・・・。

漫画を知る人ならわかると思いますが、これらの漫画家のまったく異なるペンタッチを描き分けるなんて至難の業です。

それをやっておられるんですよね。

漫画界のものまねスターです。(笑)

たぶん普通の漫画読者なら本人の描いたものと見分けがつかないのでは。

もちろん絵だけではなく、漫画に対する分析もするどい。

これは「マンガ夜話」(ネット動画で視聴可能)でもお馴染み。

漫画ファンならご一読を。

といっても20年近く前の内容ですが。

ラベル:漫画本
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2015年12月07日

「携帯を盗み読む女」さとうさくら

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花屋でバイトするフリーターの封。

他人の携帯電話を盗んではメールのやりとりを読むのが楽しみ。

一人暮らしのアパートのマンションは盗んだ携帯電話が床を埋め尽くしています。

すべてバイブモードにしているので、ある日マンションの下の階から「天井がきしんでブルブルする」という苦情を受けます。

仕方なくマンションの隣にある不気味な洋館の庭に埋めることにするのですが、そこで白い布を体に纏いギターを持った“神様”と出会うのです。

願いを叶えてあげるという“神様”に封は彼氏になってほしいとお願いし、同棲生活が始まります。

“神様”は毎日のように封に小遣いをせびるのですが・・・・。

タイトルに興味をそそられて読んでみたのですが、どうも内容が幼稚。

読んでいて「んなアホな」と思う所も多数です。

盗まれた電話がいつまでも鳴り続けるなんてありえません。

デパートでエレベーターガールをしていたときのエピソードも同じく。

エレベーター内で携帯電話を拾うとそれが自分の彼氏の浮気相手の女のものであり、メールを盗み読んでみると封の悪口が散々書かれてあり、それを読んで彼氏にメールを送り、泣き崩れ、ヒールの踵で踏み潰す。

アホかと。

エレベーターガールにそんなことしている余裕があるわけないでしょ。

そしてデパートのバックヤードに小型家電回収箱というのがあり、捨てられた携帯電話がメールを受信しているとか。

契約が切れていない携帯電話を誰が捨てますか。

しかもデータを残したままで。

つーか、そんな回収箱なんてのが共用のバックヤードにあるわけないし。

細かな部分にリアリティがないと読んでいて白けてしまうんですよね。

封と“神様”のやりとりはそれなりに面白かったとと思いますので、細かなエピソードをもう少ししっかりと固めてほしかったです。

ラベル:小説
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2015年12月05日

「なにたべた? 伊藤比呂美+枝元なほみ往復書簡」伊藤比呂美 枝元なほみ

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詩人と料理研究家の往復書簡。

お二人は20年来の友人だそうです。

仕事の話だの恋愛の話だのしつつ、でもやはり料理の話は欠かせません。

レシピも紹介されています。

詩人はアメリカと日本の家庭を往復しつつ、料理研究家も二人の男のあいだを揺れ動きつつ。

私としましては料理研究家の裏話的な話が読めて楽しめました。

やはり失敗もするし、料理にうんざりすることもあるんだなと。(笑)

ラベル:グルメ本
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2015年12月03日

「坊っちゃん」夏目漱石

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物理学校を卒業し、すぐに四国の中学校に赴任した“坊っちゃん”。

ですが周りにはろくなやつがいません。

校長の“狸”、教頭の“赤シャツ”、英語教師の“うらなり”、数学教師の“山嵐”、画学の“のだいこ”。

どれも一癖ある連中です。

生徒からも洗礼を受けます。

初めての宿直で蒲団の中に数十匹のいなごを入れられたり。

そして普段の行動が筒抜け。

天麩羅屋でどうしたの団子屋でどうのと翌日の黒板に落書きされてあります。

江戸っ子で一本気な坊っちゃんにとってはむかつくことばかりです・・・・。

普通こういう話って最初は皆から受け入れられないけれどだんだんと友情や仲間意識が芽生えてきて・・・・となりがちですが、この作品ではそうはなりません。

山嵐とは気を許し合う中になりますが、それだけですかね。

“マドンナ”という女性が出てきますが、恋愛がどうこうなんてなりませんし。

生徒に慕われて先生先生と言われるわけでなし。

結局むかついて山嵐と一緒に赤シャツやのだいこに天誅を加え、とっととこの地におさらばします。

だらだらとした甘い青春学園物語にならないところがいいじゃないですか。

ただラストがあっけらかんとし過ぎに思いましたが。

枚数も多くなくエンターテイメント性もあり読みやすく、初めて夏目漱石を読もうと思っている人にお勧めの作品です。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする