2015年12月27日

「春雷」立松和平

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農家は皆土地を売り、その跡にマンションが建ったり中古車センターになったりしています。

それでも頑なに農業にこだわり、ビニールハウスでトマトを栽培する満夫。

父親は家を捨て出て行き、嫁のあや子と母との3人暮らしです。

満夫と父との確執、あや子と姑である母とのぎこちない生活。

そんな状況の中で満夫はひたすらトマト作りに打ち込みます。

ある日、出て行った父親がふらりと満夫の前に姿を現すのですが・・・・。

この作品は「遠雷」の続編となります。

やはり地にしっかりと足が着いているという印象が強いですね。

方言による会話や生活感のある描写など、とてもリアリティがあります。

こういうのを読むと他の小説がいかにも作り話に思えてしまう。

いや、小説なんて作り話ですのでそれが悪いというわけではありません。

でもこのようなどっしりと腰を据えた小説を読みますと、味わいと言いますか存在感と言いますか、やはり文学はこうでなくてはなんて思ってしまうのですね。

地味でまさしく土の匂いのするような小説ですが、読み応えのあるいい作品でした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする