帝国日本陸軍に極秘に存在する諜報機関、通称“D機関”。
結城中佐が率いるスパイ組織です。
しかし非正規のルートから莫大な資金を引き出していたり直属の上官に報告義務を持たなかったり、なにより陸大や陸軍士官学校の卒業生からではなく軍の外部から人員を採用しているというのが異端。
陸大出の奴らは使えないと。
結城中佐の方針です。
当然軍内部にはそれを面白く思わない連中がいます。
阿久津中将は自分と同じく陸大出身でエリートの風戸中佐を呼びつけ、新たな秘密諜報員養成機関を立ち上げるよう指示します。
通称“風機関”。
英国大使を務めたこともある元外交官が英国のスパイと接触し、日本陸軍の軍事機密を漏らすとの情報にD機関と風機関が動きます。
風機関はD機関を出し抜けるのか・・・・。(ダブル・ジョーカー)
シリーズ第2弾、連作短編集です。
なんといいますか、タイトでストイックな雰囲気の世界観がいいですね。
全編を通して誰が主人公というわけではありません。
その章ごとに主人公がいるわけですが、やはり影の主人公は結城中佐でしょう。
ほとんど話の中には直接出てこないんですけども。
でも存在感があります。
前作を読んだときは長編だと思っていたので連作短編にちょっと肩透かし感があったのですが、今回は前もって認識しての読書。
いろんなエピソードで楽しめました。
ぜひ続編も読みたいと思わせるシリーズです。
ラベル:小説