2016年03月30日

3月の一冊

今月は14冊読むことができました。

小説が6冊、エッセイ・ノンフィクションが8冊。

小説をもっと多く読みたいのですが、電車の中でしか読みませんのでこのあたりが限度ですかね。

エッセイ・ノンフィクションは酒を飲みながらというのが多い。

飲み屋にひとり出かけ、酒と読書という世界に浸ります。

自宅ではほとんど読書しません。

つまり外で飲みながら読む時間が多いということなのでしょう。(笑)

それはともかく今月読んだのは以下の作品。
 
・「トンデモ本の世界」と学会・編
・「フランス料理を料理する 文明の交差点としてのフランス料理」湯浅赳男
・「解錠師」スティーヴ・ハミルトン
・「ちょっと今から仕事やめてくる」北川恵海
・「食の地平線」玉村豊男
・「せきれい」庄野潤三
・「聖の青春」大崎善生
・「柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方」柴田元幸 高橋源一郎
・「ホルモン奉行」角岡信彦
・「芸術は爆発だ! 岡本太郎痛快語録」岡本敏子 編著
・「寵児」津島佑子
・「行きつけの店」山口瞳
・「壁」安部公房
・「ランチのアッコちゃん」柚木麻子

「トンデモ本の世界」、ほんと独自の世界で日々を過ごしておられる方が多いのだなと思います。

その人にとってはそれが真実であり現実なのだなと。

「フランス料理を料理する 文明の交差点としてのフランス料理」、これはこれで貴重なフランス料理についての考察だと思います。

ですが著者はいったいなにをしたかったのかなという読後感です。

「解錠師」、う~ん、こんなのでいいんでしょうか。

金庫破りなどの解錠を生業とする主人公の心の鍵を開けるのはヒロイン? そりゃどうも。

「ちょっと今から仕事やめてくる」、私的には主人公とヤマモトの付き合いが気持ち悪い。

この作者、今後どのような作品を書くのでしょう。

「食の地平線」、ある意味重箱の隅をつつくような食エッセイ。

雑学的なところが肩の力抜けていいんじゃないでしょうか。

「せきれい」、老人(作者)の日々を綴った小説。

小説というよりもエッセイだと思いますが、地味な中に清々しい内容です。

「聖の青春」、難病を抱えながらも将棋に人生をかけた青年のノンフィクション。

これはもうさすが著者ならではの一冊だと思います。

「柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方」、タイトルにあるように、小説の読み方、書き方、訳し方、これってどうなのよと。

それに興味ある人はぜひぜひ読むべきだと思います。

「ホルモン奉行」、焼肉において今やホルモンは人気です。

被差別部落出身である著者のホルモンに対しての熱い思い入れを読め!

「芸術は爆発だ! 岡本太郎痛快語録」、著者はずっと岡本の秘書を務めてこられました。

そんな立場から岡本太郎という芸術家を紹介しておられます。

「寵児」、娘のことよりも、世間体よりも、今新しくお腹の中に宿った子供を産もうという決意。

女の執念のようなものを感じます。

「行きつけの店」、近所にお気に入りの店を数軒見つけ、ひたすら通う。

ネットでも食べ歩き自慢が跋扈する昨今、そんな風潮に背を向けて読みたい一冊です。

「壁」、カフカの「変身」を思わせるような不条理な設定。

でも私にはもひとつ楽しめませんでした。

「ランチのアッコちゃん」、タイトルにアッコちゃんというのを持ってくるのはどうなのよという感想。

内容とタイトルがそぐわない違和感を持ちました。

さて今月の一冊。

候補は「聖の青春」、「ホルモン奉行」ですね。

「聖の青春」は書物として村山聖という棋士の軌跡を残したという功績が大だと思います。

村山の純粋さ懸命さに心打たれました。

「ホルモン奉行」はホルモン好きとしては実に興味深い内容でした。

上辺だけの焼肉好きというのではなく、根本からホルモンという文化を捉えておられるように思います。

それを楽しく読ませていただいたことに感謝。

ということで今月の一冊は「ホルモン奉行」に決定。

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posted by たろちゃん at 03:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月28日

「ランチのアッコちゃん」柚木麻子

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東京・麹町のはずれにある小学生用の教材を専門とする小さな出版社に勤める澤田三智子は派遣の営業補佐。

会社の近所にはランチメニューやお弁当を出す店がなぜかまったくありません。

ということで昼はいつも誰もいない営業部でひとり、デスクで自作の弁当を広げています。

そんなある日、営業部長の黒川敦子、通称アッコちゃんから1週間ランチを取り替えないかという提案をされます。

三智子の作った弁当を部長が食べ、部長が日頃通っている店に部長の金銭負担で三智子が通う。

あまり気乗りしないながらも受けた三智子ですが、その結果日々にどのような変化が・・・・?

連作短編集です。

表題作とその次の「夜食のアッコちゃん」は三智子が主人公ですが、そのあとの2編はまったく関係なし。

ですがちらっとアッコちゃんが登場します。

でもこれは連作として一冊に収めるために無理やりこじつけたようで、ちょっと苦しい。(笑)

どうせなら三智子とアッコちゃんのコンビでずっといってほしかったです。

もしくは相手が三智子でなくてもアッコちゃんを活躍させませんと。

なんといってもタイトルが「アッコちゃん」なんですから。

続編ではまたアッコちゃんが活躍しているようなので、いずれ読んでみることにしましょう。

ラベル:グルメ本 小説
posted by たろちゃん at 03:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ゆ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月26日

「壁」安部公房

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ある朝、目を覚ますと名前を失くしていた主人公。

動物園でラクダを見ているといきなり「私設警察」を名乗る大男たちに捕まり、洞窟の奥へ連れて行かれます。

そこで裁判にかけられた主人公は・・・・。

とても不条理でややブラックな小説です。

しかし「ですます調」で書かれた文体はユーモラス。

名前を失くすということはこの世界での存在を失うということです。

名前もなくその理由について弁明もできず、一方的に犯罪者扱いにされ。

異質な者を晒し上げる怖さがあります。

名刺や服やネクタイ、眼鏡、靴などがキャラクターとして言動するあたりなど、「不思議の国のアリス」を思わせる雰囲気があります。

ですがファンタジーではありません。

夢を小説にしたのともちょっと違いますね。

私が感じたのはそんなところですか。

ま、正直言いましてあまりよくわかりませんでした。(笑)

ラベル:小説
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2016年03月24日

「行きつけの店」山口瞳

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著者は直木賞作家。

受賞作よりもおそらく「居酒屋兆治」という作品で一般的には知られているんじゃないでしょうか。

そしてサントリー宣伝部のコピーライターであったという経歴。

「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」というコピーが有名です。

この本のタイトルである「行きつけの店」というのはもちろん飲食店のことなのですが、氏の場合あまりグルメという感じがしません。

それは例えば開高健などと比べてのことですが。

料理そのものよりも店の雰囲気、主人や女将の人柄、そういったことに重点を置いておられます。

なので氏は引越ししてもまずは近所にいい店を見つけ、その店にひたすら通うというスタンスです。

近所に限らず日本全国においても。

ということでこのタイトルなんですね。

そうですね、私も同じ考えなのですが、店はやはり人です。

客と店主(従業員)といえども、結局は人と人との付き合いです。

飲食店ですからもちろん肝心の料理がお粗末では話になりませんが、それをクリアした上でやはり店の人柄。

料理が平凡であっても店主の人柄がよければ居心地よく通ってしまいます。

逆にいくら料理が良くても居心地悪い店には二度と行きません。

最近ソワニエなんて言葉を目にします。

フランス料理店でその店において最上級に扱われる客というような意味らしいですが、そんなのを目指そうという特集が料理雑誌であったりします。

アホかと思いますね。(笑)

そんなのは目指すものではありません。

ごく普通にお気に入りの店に通い、いつの間にやら数十年。

それは高級店であろうが大衆店であろうがです。

ちゃんと常識を守り普通に通っていれば、気が付いたときには店はその客をソワニエとして扱ってくださいます。

この本も結局はそういうことなんじゃないかと思います。

行きつけの店、それはすなわち自分が店を理解し、店も自分を認めて受け入れてくれるということなのだなと。

そのような店を持つことができたならば、ほんとに幸せです。

胸を張って「行きつけの店」と言えます。

ラベル:グルメ本 小説
posted by たろちゃん at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月22日

「寵児」津島佑子

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離婚し、ピアノ教室の雇われ講師で生計を立てている高子は36歳。

中学受験を控えた娘、夏野子と二人暮らしです。

しかし夏野子は高子に不満があるのか、受験勉強に専念したいという理由で高子の姉の家に居候しています。

高子の許に帰ってくるのは週に一度。

離婚してからもつねに男の存在があった高子ですが、そのような状況の中、現在付き合っている長田の子供を宿します・・・・。

いわゆるシングルマザーというやつですか。

しかしこの作品では女手で子供を育てている女性の社会的地位がどうのこうのという主張はありません。

母親であり女である高子のまるで子供のような内面の葛藤を描いています。

娘の夏野子に対しても自分の子供ではなくひとりの女として感情をむき出しにしてみたり。

ひたすら自分なんですね。

自分の感情の赴くままに生きようとしているように見えます。

ちょっと精神的に破綻をきたしているようにも私には思えたのですが。

まあそれほど自分の人生に一途ということなのかもしれません。

なんといっても人生の主人公は自分自身ですからねぇ。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする