2016年03月10日

「食の地平線」玉村豊男

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日本や世界各地を旅していろんな料理や食文化を検証した食エッセイです。

といっても堅苦しさはまったくなく、まずは「ニラミダイの研究」なんてのから始まります。

京都にニラミダイという風習があると紹介されているのですが、私の住んでいる大阪でもあります。

いや、ありましたと過去形で表現したほうがいいのか。

いまの家庭でどれほど『にらみ鯛』をやっているでしょう。

これは元旦に鯛の塩焼きを出すのですが、箸をつけません。

名前どおり睨むだけです。

三が日これで過ごしまして、四日目にようやく箸をつけます。

しかし三日経った鯛の塩焼きは果たして美味いのか。

著者は実際に鯛の塩焼きを2匹購入し、1匹は72時間後に、もう1匹は毎日少しずつ食べて味の変化を調べる。

ご丁寧に写真まで付けてルポしておられます。(笑)

私の家では元旦だけ睨んで二日目から箸をつけましたが。

省略形でしょうか。(笑)

他には「貴族から乞食まで パリジャンは毎日なにを食べているのか」。

日本人ってフランス料理というと綺麗に盛り付けされた皿が順番に出てくるフルコースを思いがちですが、普通の人たちがそんなものを食べているわけがない。

日本人が料亭や割烹の料理を家庭で食べていないのと一緒です。

一般のパリジャンの食事は質素です。

昼はビフテキ・フリット。

ビフテキにポテトフライが添えられたものです。

凝ったソースなどなく味付けは塩コショー。

夜はスープにサラダ、週末はこれにちょいとした魚や肉の料理。

こんな感じです。

ビフテキというと豪華なように思えますが、日本人の鯖の塩焼きみたいな感覚です。

エジプトの「ハトを撃つ男」なんてのも面白いですね。

エジプトには鳩がいない。

みんな食べてしまうから。

実によろしい。

鳩は平和の象徴なんて言われていますが、元々は食用にしていたんです。

その歴史はニワトリよりも古い。

その他、沖縄の豚料理やラーメンについての考察など。

美味しく楽しめる一冊でした。

ラベル:グルメ本
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2016年03月08日

「ちょっと今から仕事やめてくる」北川恵海

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中堅の印刷関係企業に勤める隆。

上司にボロクソ言われ、夜遅くの残業や休日出勤は当たり前。

心身ともに疲れ果て鬱状態になった隆は、無意識のうちにふと駅のホームで飛び込みそうになります。

とっさに腕をつかんでそれを引き止めたのがヤマモトという男。

小学生のときに大阪に引っ越していった同級生だというのですが、隆には覚えがありません。

しかし大阪人のノリで強引に飲みに誘われ、なんだかよくわからないながらも久しぶりに楽しいと思える時間を過ごします。

その後ヤマモトと付き合いが始まり何かと生活に張りが出てくるのですが、実は同級生だったヤマモトは海外に留学中であることがわかります。

ではアイツはいったい何者なのかとヤマモトのフルネームでネット検索してみると、3年前に自殺した男であったことが判明します・・・・。

鬱病を患っている人が今すごく多いようですね。

有名人の自殺などもときおりニュースで見ます。

そしてサラリーマンも。

ブラック企業なんて言葉も生まれていますが、そんな中で心身を衰弱させてしまう人たちがいます。

この作品ではまさしくそういうのを取り上げているわけですが、やはり日々の中にどこか救いがありませんとね。

隆の場合ヤマモトの存在が精神を上向きにさせてくれるのですが、どうもこのふたりの付き合いというか距離に違和感がありました。

男同士の友情とはいえ、ちょっとベタつき過ぎやろと。(笑)

女性の主要キャラが登場せず隆とヤマモトでひたすら話が進んでいくあたり、ちょっとBL的でもありますね。

ヤマモトを女性ではなく男性のキャラに設定したのは、やはり女性作家だなと思いました。

女性から見た男同士の友情という気がします。

しかし男女かかわらず主人公のように行き詰っている人たちが読めば、昨日までとは違った視点を得ることができるかもしれません。

最後の章が蛇足のようにも思えますが。

ラベル:小説
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2016年03月06日

「解錠師」スティーヴ・ハミルトン

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幼い頃にあるきっかけで言葉を失ってしまったマイクル。

ですが金庫や玄関の鍵を開けることができる才能を持っています。

その才能を見込まれプロの金庫破りとなり、いろんな犯罪に関わることになるのですが・・・・。

最初にマイクルが声を出すことができないということと服役しているという設定が提示されるのですが、それを謎のように含みを持たせて最後までずっと引っ張っています。

その理由なんてのはまったくの予想通りですし、こんなことでもったいぶるなよと思いましたね。

少年が大人の都合で犯罪に手を貸さざるを得ないというような流れなのですが、無視すればいい仕事に首を突っ込んだりしていますし。

主人公自ら作者の都合のいいように理屈を付け渦中に飛び込んでいるんですから、いやはやです。

マイクルが言葉を発せられないというトラウマについては、ふりかけのようなものですね。

このほうが味わいが深くなるだろうと。

不幸な生い立ちの少年がいました、言葉を発することができません、鍵を開けるという特技がありました、犯罪に引き込まれました、トラウマを持つ少年はそんな中でアメリアという女性に恋をし・・・・といったところです。

この恋愛が出汁の素になっていますかね。

ですけども漫画で会話したりとか苦笑してしまいました。

なんだかもう金庫破りでも恋愛でも勝手にしてちょうだいといった感じです。

解錠師である主人公が閉じ込められている“場所”から彼女が鍵を開けて解放してあげるわけですか。

なるほど。

座布団一枚。

ラベル:海外小説
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2016年03月04日

「フランス料理を料理する 文明の交差点としてのフランス料理」湯浅赳男

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世界の三大料理といえば、フランス料理、中国料理、そしてあとひとつはなんでしょう。

なんてクイズみたいですが、一般的にはトルコ料理といわれています。

でも日本人にとってはトルコ料理なんてピンとこないですよね。

料理そのものの完成度というよりも、地理的文明的な側面から三大料理のひとつに数えられているようです。

フランス料理と中国料理に異論は無いとして、あとひとつは私個人的には日本料理ではないかと思うのですが、3つめはそれぞれ自分の国の料理を付け加えておけばそれが正解なんて論もあります。(笑)

さて、本書は世界最高ともいわれるフランス料理について書かれた本です。

中国料理との比較ではオーブンと蒸篭の違いであると論じておられます。

そして系譜としてローマ帝国やイスラーム、イタリア料理からの影響。

サーヴィスについてはロシアが起源なのか。

マナーや食器について、素材の生産地について、などなど。

料理そのものよりも、歴史や文化といった面から外堀を埋めていくようにフランス料理を分析しておられます。

美味しい物を食べるのに理屈はいりませんが、料理をその国の文化として捉えるならば、この本に書かれているようなことを知っておくのも教養でありましょう。

何年も前に大阪で若い女性料理人が店をオープンさせたのですが、情報誌の取材で店のBGMについて「シャンソンはキモいからかけない」というような発言をしていました。

ロックだったかジャズだったかをかけていると。

別にフランス料理店だからシャンソンをかける必要なんてまったくありません。

しかしフランス料理を志していながらその国の文化をキモいなんて言ってのけるその感性に、私は絶対にこんな料理人の料理は食べたくないと思いました。

フランス料理に思い入れがあるのではなく、店主として料理する自分に自己陶酔しているのでしょう。

それをカッコイイかのように取り上げたライターや雑誌にも情けなさを感じましたね。

話が逸れました。

フランス料理に興味のある人なら、“サイドメニュー”としてご一読を。

ラベル:グルメ本
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2016年03月02日

「トンデモ本の世界」と学会・編

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世の中いろんな主張や思想を持つ人がいるわけでして。

例えば『太陽は熱くない』とか、『アインシュタインの相対性理論は間違っている』とか、『ライオンに肉食をやめさせよう』とか、『セブンイレブンは悪魔の陰謀である』とか、『古代、アメリカは日本だった』とか・・・・。

そんな人たちが堂々と本を出版してしまうわけですね。

そういう妄想や勘違いによる本人は大真面目なんだけど常識ある者からすれば笑ってしまうような本を『トンデモ本』と名付け、楽しんでしまおうではないかというのがこの本の趣旨です。

大昔は世界が平面であると信じられており、そんな時代に世界は球形であるなどというと狂人扱いされたでしょうが、今は科学も発達しておりいろんなことが解明されています。

昔のように世界の常識をゴロッとひっくり返すような真実はそうそう出てこないでしょう。

『太陽は熱くない』とか。

ありえない。

それとも数百年後には『実は太陽は熱くなかった』というのが解明されて常識になっているんでしょうか。(笑)

UFOや宇宙人なんてのはまだ未知数な気がしますけど。

でも『地球上の生物はすべて宇宙人に設計された』なんてのはちょっとね。

紹介されているそれぞれの本を読む気はしませんが、この本でなら楽しめます。

ただ読んでいて食傷気味にはなりますが。

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 03:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 『と』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする