2016年05月21日

「超・居酒屋入門」太田和彦

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「あなたは一人で居酒屋に入ったことがありますか? それもはじめての店に」

冒頭で著者は読者に問いかけます。

そして「男たるもの、一人で居酒屋へ入れるようにならなければいけない」と断言します。

というわけでタイトルに居酒屋入門とありますが、これはみんなでぞろぞろ飲みに出かけるということではなく、あくまで一人で居酒屋を楽しむための入門書です。

いるんですよねぇ、一人では入ることができず仲間と連れ立ってしか行動できない人たちが。

私的には特に狭い立ち飲み屋なんかにぞろぞろと数人で入ってくるような連中にいい思いがしません。

それはともかく、この本では居酒屋とはどのような場所であるか、いろんな酒について、酒器について、店の選び方、注文の仕方、などなどが著者の主観で書かれています。

読み物としては面白いと思いますが、これをそのまま真に受けて実践するのもマヌケな話かと。

そもそもこういうのって書物で勉強するようなことではありませんものね。

ですが真剣に一人酒デビューを目指している人には心強いマニュアルとなるのかもしれません。

ひとつ気になったのが日本酒の「冷や」について。

冷蔵庫で冷やした酒のことを「冷や」と書いておられる。

違います。

「冷や」とは常温のことです。

じゃあ著者は本来「冷や」と呼ぶ酒のことをのことをなんて書いておられるか。

「常温」です。

太田氏ともあろう人がこのような間違いをし、「常温」なんて色気のない呼び方をするとはなんという失態か。

居酒屋入門などと書いている場合ではありません。(笑)

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月19日

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学」山田真哉

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車で街中を徘徊して商売しているさおだけ屋。

しかしさおだけなんてそうそう売れるものではありません。

ですが商売が成り立っている。

何か理由があるはずです・・・・。

郊外の住宅地のど真ん中にある高級フランス料理店。

お客が出入りしている様子がまるでありません。

なのに潰れずもう4~5年前から営業しているというのです・・・・。

自然食品の店。

通路や階段にまでうず高く商品が積まれているのですが、客がほとんど見当たりません。

これは売り物というよりも在庫ではないのか・・・・。

てな具合に身近な疑問を取り上げ、面白やさしく会計について書かれたのがこの本です。

さおだけ屋の項目なら「利益の出し方」。

高級フランス料理の項目では「連結経営」。

自然食品の店は「在庫と資金繰り」。

書かれている店が実在するのかこの本のためのネタかどうかはわかりませんが、たしかにこのような店(商売)はありますね。

そのカラクリの紹介が読み物としても楽しい。

そしてわかりやすく会計の基礎を知ることができます。

私は会計について興味はありませんし勉強する必要もありませんが、これは面白く読むことができました。

posted by たろちゃん at 03:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月17日

「書店ガール3 託された一冊」碧野圭

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吉祥寺の新興堂書店で働く西岡理子と小幡亜紀。

30歳になった亜紀は今や中堅の立場です。

育休から明けて職場に復帰したものの文芸担当からは外され、現在はビジネス書の担当です。

文芸担当時代は自分が仕掛けた本が本屋大賞を受賞しプレゼンテターに選ばれたり、出版社の営業マンたちとの交流もありましたが現在は寂しいものです。

不慣れな経済やビジネス書にはモチベーションも上がりません。

客の問いかけにも対応できず失敗を重ね、落ち込む毎日です。

理子は現在吉祥寺店の店長であり東日本エリアのエリア・マネージャーに昇格しました。

新たに傘下に加わった櫂文堂書店のリニューアルのため宮城県の本店にやってきた理子。

店長代理の沢村と出会い、被災地の現状を知ることになります・・・・。

いつもながら話作りが上手いなと思いますね。

今回は東北の震災を取り上げ、もちろんフィクションではありますが被災した人たちの生活や心情を描いています。

そんな人たちに書店員としてなにができるのか。

そのあたりをイベントにした話の持って行き方にややベタではありますが、心動かされてしまいます。

イベントでは実在の作家やその作品がずらりと紹介され、現実にリンクして内容にリアリティを与えています。

亜紀の仕事に憧れる新人バイトの登場もリフレッシュ感あり。

仕事と子育てという女性にとっての大きなテーマも亜紀というキャラクターを通して描かれています。

それぞれの人物が困難を乗り越え、次のステップに進む成長の物語でもあります。

次作も楽しみに読ませていただきましょう。

ラベル:小説 本・書店
posted by たろちゃん at 03:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月15日

「ラーメン屋の行列を横目にまぼろしの味を求めて歩く」勝見洋一

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タイトルの通り「まぼろしの味」をテーマに書かれた食エッセイです。

「この世から完全に絶滅してしまったもの」、「作り方がわからなくなってしまったもの」が「まぼろしの味」の度合いとしては最高位でしょうが、以前とは味が変わってしまったものを「まぼろしの味」というのならばゴマンとあると。

青臭かった昔のトマト、曲がって形は不揃いでも味の濃いキュウリなど。

とまあ、やはりそこにはノスタルジーが入り込みますね。

子供時代の給食とか。

脱脂粉乳、鯨の竜田揚げ・・・・。

さてタイトルにある「ラーメン屋」とはどういうことなのか。

これもやはり昔のラーメンと比較して昨今(この本の出版は2009年)のラーメンに苦言を呈しておられます。

ガイドブックが薦める店を周ってみたものの、そのひどさに嘆いておられるんですね。

『赤坂の裏手にある博多で有名な東京出店』の店とか、『TVチャンピオンラーメン職人王選手権優勝者』の店とか、『日暮里の豚骨と宗太節、サバ節、煮干の魚介系スープ』の店とか。

どうやら昔の東京ラーメンの味は「まぼろしの味」となってしまったようです。

著者の勝見洋一氏はグルメとして知られる人で、フランスにおいてミシュランの審査員をしたこともあるそうで、NHK「男の食彩」のキャスターもしておられました。

中国料理にも造詣が深く、「中国料理の迷宮」でサントリー学芸賞も受賞しておられます。

その他、料理についての著書多数。

世界中でいろんなものを食べてきた著者からすれば、店主をカリスマ視するような傾向も含め昨今のラーメンブームは嘆かわしいことなのでしょう。

「まぼろしの味」イコール「昔ながらの本物の味」とも言えるわけで、そういう意味では現在のジャンクな味がはびこる世の中ますます「まぼろしの味」というのは増えていきそうです。

この本ではそのようなB級グルメだけではなく、日本各地、中国、フランス、イタリアなどの料理についても言及しておられます。

ラベル:グルメ本
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2016年05月13日

「剣客商売 暗殺者」池波正太郎

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シリーズ第14弾。

いつもの連作短編とは違い長編です。

二人の浪人者に襲われつつもそれを軽く撃退した男。

息・大治郎でもその男に勝てるかどうかの腕です。

それをたまたま目撃した小兵衛は、男の名が波川周蔵であることをあとで知ります。

そんな波川が大治郎を襲う計画に加担しているというのです。

気が気ではない小兵衛。

ですが波川という男、決して悪い人物ではないと小兵衛は見ます。

はたして波川を巻き込み大治郎を襲撃する計画というのは、誰がどのような理由で企てているのか・・・・。

前作あたりからでしょうか、主人公の秋山小兵衛の言動に大きな変化があります。

老いによるものでしょうか。

以前の小兵衛にはなかった言動が目に付くようになってきました。

これは作者の池波正太郎氏の当時の近況が反映していたのかもしれませんね。

作者の計算によるものもあったでしょうし、自然と筆ににじみ出るものもあったと思われます。

ただ物語としてはこれで正解かと思います。

シリーズで長期に至る場合、やはり登場人物も歳を取っていくわけですから。

それによる変化もまた長期シリーズの楽しみのひとつでしょう。

本作、波川の人物がよかったと思います。

シリーズも大治郎の妻・三冬の父であり小兵衛とも懇意である老中・田沼意次が失脚し、いよいよかなといったところです。

ついにあと2作となってしまいました。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 03:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする