深夜マンションの植え込みに転がっていた若い男を発見したさやか。
「咬みません。躾のできたよい子です」の言葉に思わず拾ってしまい、家政夫として同居させることになります。
イツキという名前の彼は植物オタクです。
近所の道端に生えているいろんな植物が実は食用になるんだとイツキに教えられるさやか。
採ってきた植物でイツキが作る料理が絶品です。
週末にはふたりで“狩り”に出かけるのが楽しみになりました。
同居しているにも関わらずイツキはさやかにいっさい手を出したりしません。
そんな紳士なイツキに思いを寄せるさやか。
しかしイツキという名前以外にはいっさい素性を知らないのです。
訊いてはいけないような気がして。
それでもイツキに植物のことを教えられ、彼が作る美味しい料理を食べる楽しい毎日。
こんな生活がずっと続くといいなと思うさやかですが・・・・。
タイトルからしてもちろん植物を扱った話であろうとは思っていましたが、まさか食べる方面の話だったとは。(笑)
いや、嬉しい誤算でした。
それをベースにしてさやかとイツキのピュアな恋愛が描かれています。
イツキに影響を受けて変わっていくさやかが意地らしくかわいいですし、そんなさやかを包み込むようなイツキの優しさもいい。
ちょっと甘い話ではありますが、清々しく切なく美味しい恋愛小説です。
最後の章はほろっとさせられました。
いい一冊だったと思います。
しかしこの作者、ほんと幅の広い作家さんですねぇ。
感服です。