30歳で売れない小説家の私。
なぜかカルチャー番組の司会に抜擢され、その番組でADをしていた8歳年下のズームーと知り合い一緒に暮らし始めます。
ですが私にはカシキという既婚者の恋人がいます。
ズームーにカシキにはない魅力を感じるのですが、しかし私はカシキのことが気になってしょうがありません。
ひたすらカシキからの電話を待ち、呼び出されれば真夜中にタクシーに乗ってでも会いに行ってしまいます・・・・。
カシキという既婚者と付き合いつつ、主人公の30歳から7年間のズームーとの暮らしを描いています。
とにかくカシキに振り回される主人公のバカさ加減が、ある意味この小説の読みどころといえましょう。
そして人のいいズームーに安らぎを求める身勝手さ。
しかし一緒に暮らしてはいるものの、ズームーとの関係は恋愛ではないでしょう。
都合よく扱われつつも恋愛しているのは明らかにカシキに対してです。
でもこういうのって実はよくあることではないでしょうか。
実際いま付き合っているパートナーを本当に好きなのか。
本当に好きな相手がいるにもかかわらず、埋め合わせに付き合っているだけではないのか。
燃えるような気持ちはないけれども、とりあえす付き合っていて悪くはないしとか。
いろんな事情があると思いますけども。
そう考えると主人公の行動というのは滑稽で情けなくはあるものの、実に自分に正直なのだなと思えてきます。
ズームーという一緒に暮らしている男がいるにもかかわらずひたすらカシキからの連絡を待ち、呼び出されれば飛んでいく。
じゃあズームーの存在は必要ないのかというとそうではないんですね。
ズームーがいてこそのカシキとの恋愛であると。
お汁粉に塩を入れて甘さを引き立たせるようなものでしょうか。
ちょっと違うか。
ま、誰しも恋愛にはおバカさんになるのかもしれません。(笑)